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・地下室調教編(Day7~)
三日目 3-2
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「……っ!」
男のくぐもった声が聞こえた。
使用人が眉根をひそめて、洩れて発した声だった。
彼の足元には、青年が膝まづいている。彼は、使用人のズボンから、男の象徴を取り出して、口でそれを施して、爆発させていた。
爆ぜるまえに、彼は口を離したが、そのせいで、頬へと横に発射されたものをあびた。
不愉快そうに、彼は顔をひそめながら、そっととびちったものをぬぐった。ぬめっとした、欲望の感触が手に触れる。それもいやだ。放たれたものから、欲望の独特のにおいが鼻につく。
「これで、いいんだろ?」
悪態をつく子どものように、ニヤリと勝ち誇ったような笑みを青年はうかべた。ここでのルールはあの男によってきめられている。食事のまえに、別の食事をしろというのなら、うけてたつまでだ、と青年は自ら、黒服の男たちの目の前にひざまづいてみせたのだった。
あきらかに、青年の態度が変化している。その内面まで、見通すことができない使用人たちは狼狽しながらも、それが彼らにいいつけられている使命であるがために、そのまま、自分たちの仕事を終えていた。
「トレーはあとで回収にくる」
調子が狂う。そう思っているかのようだ。逃げるかのように、使用人たちが、そそくさと退散していく。
床には、トレーの上に乗った食事が用意されていた。
「どうせ冷えているんだろうな」
青年はそれを手に取る。
「また、へんなもの、いれてないだろうな」
腹の虫が鳴った。
じっと、それとにらめっこをしていた青年だったが、彼の相手は、彼を笑わせてくれるような存在ではなかった。屋敷から与えられるものに関しては、絶対に、何かがある。青年が経験してきたことから編み出した彼の結論だ。だから、簡単に口にするのも、どうかと思うが、ここで何も腹にいれてなければ、体力的にもたないだろう。だが――。
逡巡したが、後者をとった。
青年は、プレートにそっと唇を付ける。
先日、食事のなかに、まぜられていた興奮剤のことを思うと、慎重にならざるをえない。けれど、どうせ食らうならば、皿までだ。
やるなら、こい。藤滝。
そのとき、青年のなかにあったのは、闘志だった。
まだ正体がしれないとはいえ、自分にはある切り札――滝田という男を得ていた。彼がどの程度、役に立つのかさえ、わからないが、まさか藤滝も、屋敷で働く使用人のうちに、謀反者をかかえているとは考えていないだろう。
もしかしたら、彼を追い詰めるいいカードになる。
青年は、まだ、そう思っていた。
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