170 / 285
・地下室調教編(Day7~)
三日目 2-1
しおりを挟む✿
――遡ること、数分前。
「俺も、わかった。まだ、この屋敷の周辺のことに全然、気が付いていなかった。だから、ただ単身で逃げ出しても、どうにもならないかもしれないってこと……だから……」
「協力してくれるのか!?」
「う、だから、まだ信用が……、でも、ギブアンドテイクだ。あの部屋が監視されていると、教えてくれたから」
「ああ、ありがとう」
「よしてくれ。そんなにおおげさな。……ところで、やけに静かじゃないか」
「へ?」
「あの部屋、みられているから、俺が姿を消したというのが館側もわかっているはずだ。それなのに、やけに静かだ」
「ああ。それなら……」
「いま、仕掛けが作用しているところだ」
仕掛け? 青年が問い直そうとしたところだった。
「――ッ!!」
急に青年が前かがみになって、息をつめた。
「どうした?」
不思議に思って、滝田が尋ねてくる。
「いや……なんでも……」
そう答えるが、青年の額からは大粒の汗が滲みでてきていた。それどころか、頬が紅潮している。
「……あちらの仕掛けだな」
ぽつろと、滝田がつぶやいた。
「正直に言え。大変なんじゃないか?」
浅く息があがりはじめ、もじもじと、太ももを動かし始めた青年に対して滝田が問う。
「……っ」
言えるわけがない。
青年は唇をかみしめた。
「盛られたのは、どこだ?」
だが、そんな青年の心情をこの男はわかっていなかった。
「あの男のことだ、どうせ遅延で効いてくるやつをしこんでおいて、今日のいたぶりに使おうとでも思っていたんじゃねえか?」
「いたぶり……」
「おっと、知らないよな。今日は、例の上客たちが、屋敷にやってくる。その合わせに誰を配置するのか、藤滝は名言していない。おそらく、お前さんを引き出す寸断じゃないかってな……」
青年の唇が震えた。
「前にもあったらしいんだ。ここで、こっぴどく折檻したあとに、客の前に出して、そこで責めて、所有を認めさせるっていう手が」
「そうか……っ」
青年は、びくりと肩を震わせた。我慢できずに、腰が動いてしまう。
「そんなにひどいのか。いま、ものすごく色っぽい顔している」
滝田に指摘されて、彼の頬の色がさらに濃くなった。
「っ、うるさい」
「どこをやられた? ん?」
「聞くな」
「そういうなよ。仲間だろ? な?」
だれが、仲間だ。まだ完全に滝田のことを、信用しきっているわけではないというのに。
「俺ならなんとかできるかもしれない。周りの眼が離れたすきに、いろいろとちょこまかしているからな」
だが――。
21
お気に入りに追加
670
あなたにおすすめの小説
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる