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・地下室調教編(Day7~)
二日目 3-4
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内側が、ぎゅうっと激しく収縮しだして、青年は身悶える。
何かが来る――。
それも、体内の深淵から湧き上がってくるものが――。
「おい、どうした? 想像しただけで、感じたのか?」
藤滝の声。
「とんだ、好きものだな、お前は」
面白がるように青年を見下ろす男に、青年は必死に頭を働かせた。
「こ、んなところに、よく足を運ぶな。暇、なのか……」
意気がって睨みつけたところでそれに効果があるわけではないことくらい知っている。それでも、なぜかこの男の手中に落ちてはならない意地がまだ青年には微細ながらにも残っていた。
藤滝は満足げに目を細めた。
「減らない口だな」
藤滝が不気味な笑みを浮かべた。ここで負けたくないと、青年は必死に言い返す。
「それは、っ、お前もだ……」
だが――ぎゅっと、深い波がやってきて青年は、思わずぎゅっと瞼を閉じた。なんとか受けながそうとするが、無理だった。
「ひ、ああ、ああああ……」
がちゃがちゃと、激しく拘束具が音をたてる。全身が震え上がり、彼は、深く到達を見た。否、唐突と呼ぶには、まだ、彼は甘い余韻により、さらに激しい官能の渦のなかに、巻き込まれて、余計に逃げ路を失うだけの――。
「あ、うう……うあ……」
口元から、ことばすら失って、悶える。
そんな様子の青年に、男は、薄気味わるい満足げな笑みを浮かべながら、たずねてきた。
「楽になりたいか?」
よく見ると、彼の手のなかには、ある小型のリモコンが握られている。
思わず、縦に何度も青年はうなづいてしまった。だが、それに気が付かないふりをして、男はさらに話をつづけた。
「それなら、ちゃんと、お前はお前の置かれた状況というものを今度こそ理解しなくてはならないな」
くすっと笑いが混じっていた。
「お前は誰のものだ? 一体、誰に所有されている?」
ここで用意されている、彼が待っていることばは容易に想像できる。それが青年の喉元まで、せりあがってくる。だが。
必死でそれを飲み込んで、青年は、尚も苦しみ続ける愉悦の中で、うめき声をあげた。
「強情だな」
男の腕が伸びてきて、青年の髪に触れた。それだけで、何倍もの、刺激を受ける。「ひっ」と声を洩らした青年に、男はふっと息をかけた。
「今、お前は、指一本、自由にならない。それはなんでだ?」
答えない青年を待たずに、男は続けた。
「それは、お前が誰かに所有されているからじゃないのか? そして、それをお前は心から望んでいる」
「……っ!?」
「驚いた顔をするな。誰だって、誰かに支配されたい、誰かに所有されたいという思いを心のなかに隠して生きている。それが別に恥ずかしいことでも、なんでもない。俺は、そんな人間に居場所を与えているだけだ」
「な……」
なんて、ことを。
よくもまあ、いけいけと、そんなことを言えたものだ。
青年は、そう思ったが、もう肉体はずぶずぶにとろけきっていて、いうことをきかない。何も、手出しができない。
「そうだろ? それはお前もそうだ。だろう? 弥助」
男が自分の名前を呼んだ。途端に、身体に一瞬、火がともった。それは、快感でも、官能でもない。怒りの火だった。
何かが来る――。
それも、体内の深淵から湧き上がってくるものが――。
「おい、どうした? 想像しただけで、感じたのか?」
藤滝の声。
「とんだ、好きものだな、お前は」
面白がるように青年を見下ろす男に、青年は必死に頭を働かせた。
「こ、んなところに、よく足を運ぶな。暇、なのか……」
意気がって睨みつけたところでそれに効果があるわけではないことくらい知っている。それでも、なぜかこの男の手中に落ちてはならない意地がまだ青年には微細ながらにも残っていた。
藤滝は満足げに目を細めた。
「減らない口だな」
藤滝が不気味な笑みを浮かべた。ここで負けたくないと、青年は必死に言い返す。
「それは、っ、お前もだ……」
だが――ぎゅっと、深い波がやってきて青年は、思わずぎゅっと瞼を閉じた。なんとか受けながそうとするが、無理だった。
「ひ、ああ、ああああ……」
がちゃがちゃと、激しく拘束具が音をたてる。全身が震え上がり、彼は、深く到達を見た。否、唐突と呼ぶには、まだ、彼は甘い余韻により、さらに激しい官能の渦のなかに、巻き込まれて、余計に逃げ路を失うだけの――。
「あ、うう……うあ……」
口元から、ことばすら失って、悶える。
そんな様子の青年に、男は、薄気味わるい満足げな笑みを浮かべながら、たずねてきた。
「楽になりたいか?」
よく見ると、彼の手のなかには、ある小型のリモコンが握られている。
思わず、縦に何度も青年はうなづいてしまった。だが、それに気が付かないふりをして、男はさらに話をつづけた。
「それなら、ちゃんと、お前はお前の置かれた状況というものを今度こそ理解しなくてはならないな」
くすっと笑いが混じっていた。
「お前は誰のものだ? 一体、誰に所有されている?」
ここで用意されている、彼が待っていることばは容易に想像できる。それが青年の喉元まで、せりあがってくる。だが。
必死でそれを飲み込んで、青年は、尚も苦しみ続ける愉悦の中で、うめき声をあげた。
「強情だな」
男の腕が伸びてきて、青年の髪に触れた。それだけで、何倍もの、刺激を受ける。「ひっ」と声を洩らした青年に、男はふっと息をかけた。
「今、お前は、指一本、自由にならない。それはなんでだ?」
答えない青年を待たずに、男は続けた。
「それは、お前が誰かに所有されているからじゃないのか? そして、それをお前は心から望んでいる」
「……っ!?」
「驚いた顔をするな。誰だって、誰かに支配されたい、誰かに所有されたいという思いを心のなかに隠して生きている。それが別に恥ずかしいことでも、なんでもない。俺は、そんな人間に居場所を与えているだけだ」
「な……」
なんて、ことを。
よくもまあ、いけいけと、そんなことを言えたものだ。
青年は、そう思ったが、もう肉体はずぶずぶにとろけきっていて、いうことをきかない。何も、手出しができない。
「そうだろ? それはお前もそうだ。だろう? 弥助」
男が自分の名前を呼んだ。途端に、身体に一瞬、火がともった。それは、快感でも、官能でもない。怒りの火だった。
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