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・地下室調教編(Day7~)

一日目 3-2

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 青年は、さっとそれを見た。
 己の足と足の間に、正座し、前かがみになった状態で、ガーゼを手に持つ男の姿を。黒い仕立ての身分をあきらかにするスーツを身にまとってはいるが、中身はただの人間である。
 膨らんでいる前を確認して、永遠に悦を与えられつづけているこの地獄から脱したい青年の脳味噌は、ぐずぐずに溶けて消えてしまいそうな理性を総動員で集めて、ぐるぐると動き始めた。
 とはいえ、緩慢な動きになってきたとはいえ、敏感な部分を彼の手中に握られているのだ。先端に永続的にくわえられる責めに、びくびくと震える。
 出すものがなくなっても、中身が軽くなった袋が悦に先導されて、ぴくりと上に持ち上がる。
 よだればかりを垂らしてどろどろになった花幹の芯部分が痛みだしている。到達のたびに、奔流がここを通っていくその感覚に犯されつづけたせいだ。
「っ――!!」
 もう何度目のそれであろうか。
 それがやってきて、青年は奥歯をかみしめたが、受け取るにはあまりにも大きすぎて、とりこぼして全身がひたっていく。
 呼吸がとまってしまうかもしれない。
 けだるさ、倦怠感。疲れ切っているはずなのに。まだ頂点から降りてこられないのだ。
 浅く、呼吸を繰り返す。どれだけ、酸素を求めても、じゅうぶんに補給されない。甘いベールにつつまれたかのように、肉体が重い。
 身体が勝手に跳ね上がる。
 使用人の手がゆるんだ。それに少しほっとする。先端を責め続けていたガーゼが宙に少しの間、浮いた。
 その間に、必死になって、青年は、叫んだ。
「いい! もういいから!」
 止めてくれ、やめてくれ。
 そう懇願しても、この男は――絶対君主藤滝に忠誠を誓う彼は止めてはくれないだろう。それは、さきほどの行動からも、如実に知れることだ。
 ならば――。
 青年は賭ける、それだけだ。
 忠誠というころもを着せられた、ひとりの使用人相手に戦うのではない。衣の下にひそんでいる、一匹のただの人間、ただの男に、訴えて、こちら側に転がしてやるのだ、と。
 
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