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・Day5/Chapter5 水揚げには違いない(2)
79.
しおりを挟む悲鳴が上がった。
さんざん嬲られ続けたその場所は想像以上に、弱り切っていた。彼が自身の手で包んだだけで、まるで棘が刺さったかのような感覚だった。
涙が奥からぼろぼろとこぼれていく。ここではだめかもしれない。
青年は、手を口元まで持ってきて、その指先を舐めしゃぶった。
充分に濡らしたそこを再び自身の一物に宛がう。ゆるく、握り込んではいるが、目からはボロボロと雫がこぼれだす。
その様子に、客たちが嘆息する。
「ちょっとイタズラが過ぎちまったかい」
「何を言っとる。こんなぎこちなくて可愛いんだから、応援してやらなにゃ、拍子でも取ってやるか」
リズムを取るように、手を叩かれて、青年は我にかえった。
自分が彼らの前で、自らのそれを慰めようとしている、浅ましい姿を晒しているということに。
それでも、青年は止められなかった。止まることができなかった。
何度も上下に擦って、早く熱の地獄から逃れようとする青年を、彼らは手も触れずにただ見守っていた。
否。
その爛れた視線は、青年の全身を蹂躙し、青年自身ものそのことを知っていた。
駄目だ。
男の部分をいくらどうこうしようとしても、とっくにその部分の機能は弱りきっている。
さんざん、絞られるだけ絞られている。出るものもなく、触れているだけでも、かなりきつい。
けれど、体内の熱はもっと、もっとと渇望し、焼き爛れてしまいそうだ。
苦しい。
悦を求めれば求めるほど、自分で自分の首を絞めている。
――「おやおや、知らないのかい? 藤滝の旦那も、説明不精だなあ。薬の解読方法はただ一つ――男の精液を摂取するしか、終わらないんだよ」――
ふっと、彼らが口にしていたことばが青年のなかでよみがえった。
そうか、と乾いた口のなかで小さくため息をつく。
熱に壊れそうになっている、ぼろぼろの肉体のなかで、彼の頭が急にふっと軽くなった。
何もかも放り出して、楽になりたかった。
それだけ彼は追い詰められていた。
青年は自身の男の部分から手を離した。おやと首を傾げた男たちを目の前にして、彼らに視線を向けた。
仰ぎみるような扇情的な青年の視線に男がごくりと生唾を飲んだ。
見せつけるようにゆっくりと、青年は自身の後ろへと腕を回す。自分でそこを開いてみせると、すぼまりに、つんとやさしく指をたてた。
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