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・Day5/Chapter4 水揚げには違いない

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 一糸まとわぬ状態で、両腕、両足も自由になった。やれることはやれる。そんな状態なのに――。
「はっ、あ、ああ……、なんだ、これ……っ」
 青年は使用人に畳にねじ伏せられたときの姿勢のまま、動けないでいた。
 さっき、藤滝に背筋を撫でられてから、火が付いたように身体が熱い。全身があぶられているかのようだ。
 心臓が破裂しそうにバクバクと暴れている。激しい運動をしたあとのように。
 それだけじゃない。
 手足は自由になったはずだ。
 男も使用人も姿を消した。否。使用人だけは、もしかしたら、襖を隔てた向こう側に何かあったときのために残っているのかもしれないが。
 客の男たちの隙を見て、彼らを押しのけて、庭へと逃げるのには、今しかない。
 それなのに。
「は……、あ、こ、これ……っ」
 立ち上がろうとして、指先に力を込めた。そのまま、腕を起き上がらそうとして、青年は、べしゃりとつぶれるようになって、倒れた。
 力が、入らない。
 壊れたように、指先がしびれていて、いうことを聞かないのだ。
 なのに――。
「さーて、藤滝ンの秘蔵っ子ちゃん。よろしく頼むねえ」
 客たちが近寄って来た。その腕が自分に向かって伸びてくるのを捕えて、振り払おうとしても、手足はびくともしなかった。
 それどころか。
「ひゃあっ」
 ただ、わき腹に触れただけなのに、ずんぐりとした黒い欲望が、下半身の奥に滲んだ。たまらなく青年の胴体をのけぞらせる。
「おっと、こりゃ可愛い反応だな」
 違う。
 青年は、恐怖に滲んだ顔で彼らを見上げた。
 感覚がオカシイ。
 皮膚が狂っている。
 どんな些細な感覚でも、なぜか身体が、拾い上げてしまう。
 こんな鋭敏な状況で、三人もの相手をしなくてはならないことに青年は絶望を覚えた。
「だ、だめだっ、触らないで……ッ!!」
 必死に逃げおおせようとして青年が叫んだ。
「おやおや、泣きそうだねぇ」
「可愛そうに、可愛そうに」
「藤滝の旦那に盛られれちまったんだろう? ……つらいだろう?」
 知っている。
 彼らは藤滝が青年に使ったものを知っているのだ。
「おいで。おじさんたちが楽にしてあげようね」
「は……、え……」
「おやおや、知らないのかい? 藤滝の旦那も、説明不精だなあ。薬の解読方法はただ一つ――」
 青年は彼らのことばに絶句した。
「男の精液を摂取するしか、終わらないんだよ」
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