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・Day5/chapter3 捕獲者たち

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「はいはーい、おはよー、にぃさぁん」
 意識を取り戻したとたん、目の前に、美麗な少年の顔が見えて、青年は飛び上がった。
「おっと。暴れないでくれるかなあ」
「ちょちょちょ! ちょいまっ、待って、芹那!? 何して!?」
「ちょっと、何その反応。ひどいなあ。ぼくがせっかくずっと一緒にいてあげてたのにぃ」
 さっきまで彼が寝込んでいた布団の上で身を固くしている青年に少年はため息をついた。
「お、お前、変なこと、してないよな……?」
「変なこと?」
 この少年、芹那には前科がある。
 といっても、どうせその裏には、彼の支配者の命令があったのだろうが。と、青年はじっと芹那に目で訴えた。
「はーいはい。ほんと、何もしてませーん。手なんか出すかよ。いびきかきのおっちゃんに」
「おっ、い、いびき!?」
 ショックを受けたような様子の青年。
「うっそ。まじ静かに熟睡だったよ。今日はなんだか、脱走者が出たらしくて騒がしかったけど……って、ここまで奥の部屋にいたら聞こえないか」
「脱走者?」
「そう。にぃさんが熟睡中にひとり若いものが逃げたって、黒服が追っかけてた。かわいそー。お昼には無事、捕まったららしいよ。……いや、無事、じゃすまないか。でも、にぃさんみたいに庭まで脱出する前に、屋敷の中でとらえられたみたいだし、ね?」
「……俺が不良みたいな雰囲気で言うなよ」
「だって~」
「確かに脱走犯なんだろうけどな、俺は」
 自分が何もされていないことにほっと胸をなでおろして、青年は緊張の色を抜いた。
「でも、こんな場所にいたら、こっちまで気が狂ってしまう。それなら……」
「あー、またそういう。だったら気が狂いそうな地獄をとことん楽しんじゃえばいいのに」
「だから! どうしてお前はそういう発想になるんだよ!!」
「さーあねえ。ところでにぃさん、元気?」
「ん?」
「まあ、跳ね起きたからには大丈夫そうかあ」
「へ? おいおい、何だよ」
「……聞かないでよ~。言いたくないから」
「は?」
 青年はまだ疲れがどこか残っている肉体をふっと布団に沈ませた。だるい、というか疲れている。
 そういえば、朝から使用人に襲われたはずだったのに、やけに、身が軽い。誰かが始末をつけてくれたのか? それとも、夢――。
 ふっと周りを見て、倉にいるとばかり認識していた青年は、自分が別の場所に控えていることに気が付く。
「まー、言っちゃってもいいか。楽しめそうだし」
「は?」
「えー、でも、ぼくから聞いたってのは、誰にも言わないでね、にぃさん」
「は? だから、なんなんだよ」
 芹那はもったいぶりながらも、情報を漏らした。
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