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・Day5/chapter2 間奏

61.

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 その後の記憶がない。
 青年は薄暗い倉の中でうずくまった。ズキリと脳の奥を痛みが襲う。
 この肉体の重さ。ずっしりと腰の奥にたまった鈍い違和感。ひりつくような後ろの痛み。砂漠のように渇いてとげとげしい喉の奥。なぜか前には誰も触れていないのに、いまだに誰か男の手で幹を握りしめられているかのような感覚が残っている。
 気持ち悪い。
 情事のあと、そういう気分になったことは今まで何度もあった。しかし、今回は、むせかえるような不愉快感と、全身から力が徐々に抜けていくような疲労感の渦にいる。
 うっと腹のそこから這い上がってくるものがあって、青年はそのまま吐瀉した。登って来た胃液が弱っていた喉を焼き払う。
 舌の上に滲んだ嫌な感覚に背筋がぞくぞくと震える。足元。己の吐き出した液体が、どろりと存在を放っていた。
 物音がした。
「目が覚めたか」
 声、誰の――。
 青年は回らない頭で扉のあるほうと見る。
 思わず、藤滝ではないかと思った。だから、知らない男のシルエットを捕えた途端に、ぞっと血の気が引いた。
 いや、よくよく考えればこの反応はおかしい。青年は、己を嘲笑した。
 その笑みをどうとらえたのか、男は――黒服の、とく藤滝の傍にひかえることが多い長身の男が近づいてきた。
 そのまま男の腕が青年を捕える。
 抵抗、など、する気にもなれなかった。
 なされるがまま、押し倒され、足を左右に開く。
 羞恥など、全身を包み込んでいる鈍い鈍痛の中に溶けて消えていた。
 男は無言で青年の蕾を凝視していた。そこは中にねじ込まれたもので大きく広げられており、真っ赤に充血していた。
「――よし」
 それを確認して手を放そうとした使用人に、青年は思わず声をかけた。
「しないのか?」
 てっきり、手酷く弄ばれるのだとばかり思っていた。
 意外そうに眼を丸くした使用人だったが、何を思ったのか、両足を大きく開いた青年の奥へと手を伸ばした。
「うっ」
 中に差し込まれているものを掴むと、じっと引き抜こうとしてくる。
 媚肉がとたんに蠢きだし、青年の肉体に火が点火された。
「あ、ああ……」
 震える声がいつ切ったのだろうか、端の切れた唇から漏れる。血の味がした。
 ごくりと男が生唾を飲み込む音がした。
 と、中のものが強引に抜き取られていた。
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