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・Day4/capter1 挑戦

38.

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「離してくれッ!!」
 青年は、彼らを振り切ろうとして、上半身を起こした。その勢いに、三人の若花たちは驚いて身を引く。
 その反応。
 まさしく、彼らはまだこの屋敷にきてから日が浅い。そのことを確信した。
 何をさせるつもりなんだ……?
 中途半端に高められた肉体の中で惑う青年の精神が問い続ける。
 この残忍な男の考えること。考えそうなこと。
 手が打てるのなら、今のうちに打っておいたほうがいいに決まっている。
「カウントはまだ続いているのだぞ」
 若花を退けた青年に対して、男は不気味なほど静かに言い放った。
「カウント!?」
 まさか、と脳裏に、己の立たされた状況が鮮明に戻ってくる。
「言っただろう。仕置きは百回だと」
「――っ!!」
「覚えていないのか。愚鈍だな」
 いや、青年は覚えていた。忘れられるわけがない。あんなにも一歩的で屈辱的な――。
「今夜は客間に出す」
 冷淡な声が突きつけたのは、饗宴への贄としてふたたびそこに傷りだされるという事実現実だった。
 そこまでを予告しておいて、男の狙いは? 青年の背筋をぞっと冷たいものが走る。
「今のうちに果てておいたほうが、残りの仕置きの回数が減る。三人もいるが、従順になるように仕込んだだけで彼らは未熟・・だ。お前が心配するように、お前を屈服させたり押さえつけたりなどはできないだろう?」
 男のことばに青年は理解した。
 男の突きつけていることの趣旨を。
「まあ、そのあとは、その春を客間で咲かせてもらうがな。体力を残しておきたいのなら、好きにすればいい」
 そうだ。
 これは、選択を迫られているのだ。
 けれど、それは青年の選択肢を増やすためのものでも、彼に対して自由を決められるものではない。
 あきらかに、青年を追い詰めるために。
 ふたつの道を男は指示した。
 逃亡の仕置きとして百回もの絶頂を要求されている。たとえ拘束されていたとしても、この若花たちは稚拙で青年ならなんとか逃れることができる。けれど、逃れたのち、襲ってくるであろう、男からの力任せの凌辱を受ける回数自体をここで減らすこともできるのだ、と突きつけられたのだ。
 そのために必要なのは、自身の意思。
 どういう選択を取るのか、男は高見の見物、ということらしい。
「悪魔め……」
 青年は男を見上げて睨んだ。
 男はそんな青年の反抗的な瞳を心底面白そうに眺めていた。
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