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・Day1/chapter2 そして触ってもらえない

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 百回、叩くのはやめにした。そのかわり、百回、果てろ。
 尻を叩かれて感じてしまった青年に下されたのは、傍若無人な命令だった。絶句する青年は敏感になっている尻たぶを強引に掴まれて、肩を揺らした。
「ほう、ここを触れられるだけで、こんなになるとはな」
 今にもはちきれそうになっている青年のペニスを見ろしながら男が言った。
「だが、どうする? このまま何もせず指を加えてると永遠に終わらないぞ」
「ざけんじゃねぇ!! アッ!」
 青年は男を睨む。しかし、次の瞬間、男はその節の太い指を青年の後孔に突き立てた。長い間、ローターをくわえこんでいたそこは、抵抗なく、ずぷりと男のそれを受け入れた。
「すごいな。ここに来たばかりは、痛い、痛いと言ってばかりだったのに。もうずっぷりだ」
 男のことばに青年は羞恥に震えた。
「とんだ好き者になったもんだよな」
 そう。
 作り変えられていく。
 無垢で未熟で何も知らなかった肉体に次々に教え付けられる肉の愉悦。知らなかった場所の快感。ひとつひとつ植えつけられていったそれらが何重にも積み重なり、自分が自分じゃなくなるような感覚に溺れていく。完全に、作り変えられてしまった。
 だからこそ、ここにいては危険だ。日々の行為に自分で自分を失っていくような、自分が自分でなくなっていくような危機感が積もる。不快感、違和感、気持ち悪さだけではない。ここにいては人格すら、尊厳すら、最後の一滴まで奪われてしまう。
 だから、青年は逃げた。逃げようとした。今も、逃げようとする心が燃えている。
 だが。
 逃げたいと思っていたはずなのに、火照る身体に、刺激を求めて震える身体にすべてを束縛される。自由になりたいと願っているのに、もっと強く管理されたいという気持ちすらうまれてくる。
 これはいったいなんだ。
 彼が、この男が、この屋敷が、何をした。
 決して誰にも踏みにじることのできない領域、心のなかにまで、男の手は入ってきてしまうのか。作り変えられていこうというのは身体だけではないのか。内側まで、壊れてきている――。
 青年がなんなく飲み込んだ指は内側で指先を折り曲げ、青年の内壁を刺激し始める。
「いやだ! や、あ、やめてくれ!」
 青年は必死で男に懇願する。しかし、内側の愉悦を既に覚えている青年の後穴は、男の指をぎゅっと締め付けて離さない。男はそれを指摘してあざ笑うかのように青年をいたぶる。お前の下の口は正直だな、などと。
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