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・Day1/chapter1 言いつけは百回

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 納屋。薄暗い空間に青年の吐息と鈍いバイブレーター音が響き渡る。
「は、あ………くぅ」
 身を捩って逃れようとしても、彼に成すすべはない。全身に絡みつく赤い縄が青年の健康的な肌によく生える。亀の甲羅のように胴に巻き付くのみならず、縄によって男は行動を制限されている。高い梁から通された縄が男の左足の膝裏に通され、彼は片脚で立っているかのような格好で吊るされている。腕は背中に回され、手首から二重に拘束された状態でびくともしない。
 肌を隠すものなど一切ない。片足を上げる格好から恥部を後ろまで晒すようなみっともない姿である。それだけでも青年のプライドをへし折ろうというのに、彼には仕掛けが付属させられていた。
 二時間前に局部に塗られた媚薬と、後孔に入れられた丸い楕円形の小さなローター。彼の後ろから垂れる導線は右太腿にテープで貼られたローターの操作本体にまで続いている。



 青年は幼い頃、人買いに買われ、そこに現れた二十代後半の男、彼の屋敷に買われていったのが彼の運命の尽きだった。まだ若い男は使用人としてではなく欲望の発散のため、青年を買ったのだった。屋敷には彼の他にも何人もの若い男が富豪たちの遊びのために飼われている。そのうちの一人になった青年は昨夜、屋敷からの脱走を企てた。なんとか屋敷を抜け出したはいいものの、青年が抜け出したことを察知した男の使用人に敷地をぬける前につかまってしまった。
 仕置だ。
 薬を盛られ、微弱な刺激を与えられ、あられもない状態で、時も忘れるくらい放置されている。
 もう、限界だ。けれど逃げ場はない。どうすることもできない無気力感と、高められつつも達することのできないもどかしさに男はもみくちゃにされていた。
 しかし、その鼓膜に音が響いた。外からだ。だんだんと大きくなるそれは、足音。助けを求める青年の頭の中に希望と絶望が生まれた。
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