呟き短編帳

阿沙🌷

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#一次創作BL版深夜の真剣60分/120分一本勝負

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 お願いだから、断ってくれ!!
 サイテイな願い事。そうだと分かっていても、そう願わずにはいられない。
 何故なら、今、目の前で、先輩が告白されているからだ。

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 図書室。
 放課後は夕暮れのオレンジが窓から差し込む小さな空間。
 そこへと僕は足を向けた。全ては彼を眺めたいという欲望のままに。

 彼というのは、僕より一つ年上の先輩。
 細いフレームの銀縁メガネの似合う物静かな先輩だ。
 近寄りがたいオーラを発しているというか、住んでいる世界が違うというか。
 クールで沈着で鋭くて、なんと形容していいのか分からないが、彼の存在に気が付いたら最後。
 僕はもう、彼のことで頭がいっぱいだ。

 話したこともないのに、変かもしれない。
 けれど、この感情に名前をつけるのなら「好き」といってもいいかもと、勝手に夢を見るためだけに、図書室を訪れる。
 そう、夢なのだ。
 叶うことがないから、夢なのだ。
 話しかける勇気もないから、これはただの――。

 それでも、先輩が誰かのものになるだなんて、僕は一切想像していなかった。
 そういう可能性がゼロじゃないわけじゃないのに。

 今日もやってきた図書室前。
 ここに彼がいる。
 そう思うだけで、心拍数があがる。
 締め切った扉へと汗ばんだ手を伸ばしたとき、誰かの声がした。
「好きです」
 その言葉に僕は凍りつく。
 ドアに触れた手はそのまま動かなくなった。
 女の声だったからだ。
 先輩が告白されている。
 それだけで背筋が凍りつく。
 逃げたいと思っても、足が動かない。

 頼む、神様。
 お願いだから、断ってくれ!!
 サイテイな願いごとだ。わかっている。
 それでも、そう願わずにはいられない。

 ああ、なんてことだ。
 先輩が誰かの隣にいるのを想像して、くやしくて涙が出てくる。
 これも遠くから眺めるだけでよいとあきらめてきた僕が悪かっただけなのかもしれないが。
 でもやっぱり、話しておけば良かった。
 勇気を出しておけば――。


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お題は第362回#一次創作BL版深夜の真剣120分一本勝負(お題:バウムクーヘン/滲む視界/「知らないほうがいい」)からいただきました。
一人称、難しい。図書委員の先輩とうだうだ高校生くんのお話を書きたかったのですが、最後まで書けませんでした。途中までですが、ご供養させてください。お目汚し失礼します。2020.03.08
 
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