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#82 儀式
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今年は少し雪解けが遅かった。
だから、戴冠式の時には、ハズレの村ではまだ森にも、牧場や畑にも、辻辻に根雪が残り、広場に集まる村人達の息も白く、皆厚手の羊毛や毛皮の身支度で万全の防寒をして居た。
国中の主立った都市や街の広場では、戴冠式、その後の神子様を奉じる儀式とパレードなど、魔道具を使って同時配信されることになって居る。
さすがにこれは立体で再現というわけでは無い。空間にかなり大きめの画面が出て、映像を投影してくれるものらしい。
それでも、智の女神ヤスティナ・テマ神を主神とするテマ教神殿総本山から、直々に教皇猊下がお越しになり、手ずから祝福と共に王冠を授けてくださる戴冠の儀。
元コンセデス領の領民が、まさしく全てにおいてラグンフリズ王国の国民となる、長年の悲願が叶う瞬間を、湧き上がる感慨を胸に心待ちにしていた。
荘厳な主祭壇を前に、神官達による頌歌が高らかに歌い上げられて、敷き詰められた赤い長絨毯を踏み進み、壇上に坐す教皇様に建国の誓いを立て、祝福の詔を授かる。
その空間を元帥であるリオネス様を先頭に、全身を甲冑で包んだ騎士達がずらりと立ち並んで護る。
教皇様の御手ずから、アーノルド様の頭上に王冠が乗せられた瞬間、神殿の外から地響きのような歓声が上がったのが聴こえた。
おそらく国中のあちこちの広場からも同時にあがったことだろう。
その後、王冠を戴いた国王陛下が長いマントを捌きながら後退る。
祭壇を望む階段下のホール部分はクロッシングで、その両脇には翼廊部分が有る。
翼廊から黄金の甲冑を身につけた騎士が進んできて、それぞれの手にラグンフリズ王家の旗とテマ教の御旗とを掲げ、祭壇の幅分距離を空け向き合ったまま直立する。
まあ、片方は俺なんだが。
しんと静まりかえる。
祭壇前に設えられた厳かな玉座前に教皇猊下が立ち、ホールの空間を空けて、距離を取った位置に向かい合う形で国王陛下が凜と佇む。
にわかにホールの中央に光が走り、魔法陣が浮かび上がる。
目がくらむほどの光の柱が立ち、それが再び魔法陣に吸い込まれて消えていく中に、人影が浮かび上がり、教皇猊下と向かい合う形で神子様が現れる。
完全に魔法陣が消えた後に神子様が猊下に、胸に手を当て一礼する。
すると猊下は壇を降り、神子様の前に膝を突く。そして厳かに祈りを捧げる。
その場に居た全ての関係者が息を飲んだ。
目の前に神子様が現れた後に猊下がどのように対応するかは猊下にお任せしていた。
まさか、猊下が膝を突かれるとは予想していなかったのだ。
これは、猊下が神子様を女神の依り代として認めたことを表す。
神子様は光沢有る白いフード付きローブマント姿だった。
当たる光の加減で金色にも淡い萌葱色にも見える糸で、唐草の精緻な刺繍による縁飾り。
その所々に雪解けの早春に膨らみ始めた小さな野花を思わせる、ごく淡い薄桃色や透明感のある黄色、淡い水色や紫の宝石を散らしてある。
華美では無い。清楚だが壮麗なもの。
マントの前は、同じ淡い色味の宝石を繋いだ留め金で繋ぎ、白地に金糸銀糸の縁飾り刺繍が施されたスカプラリオが覗く。
徐に神子様は、目の前で跪かれた猊下に対し、自身も膝を突いて手を添え共に起立した。
逆に猊下が神子様のその手を導き壇上に上がると、国王を招く。王冠を戴いた国王陛下が神子様に対して跪き、帰依の誓いを告げた後、その手を額に押し頂いた。
ここの箇所で、儀式の段取りの打ち合わせでは、ずっとアーノルド陛下は爪先に口づけたいのだと言い張っていたのだが、王冠を乗せたままでは無理だからと、神子様に説得されて、この形になったという裏事情がある。
そもそも、実は、神子様がどこから登場するかも結構揉めた。
拝廊側正面の扉から現れて、結婚式みたいに身廊をしずしず歩いて、祭壇に近づいていくんで良いんじゃ無いかと神子様は言っていたが、身廊は信者の道であるから、祭壇に向かい俗世界から来たみたいな印象になる。神子様を貶める演出であると猛反対をくらった。
むしろ祭壇の奥から現れてはどうだ、等という意見も出た。
だけど、猊下よりも奥から出るのはちょっと…と神子様が嫌がった。
で、結局あの形になった。
魔法陣から現れるなんて、ちょっとチューニっぽいよね、と苦笑していらしたが、その案が義兄から出たときにはその場に居た護衛騎士や文官、侍女達も含め全員が「それがいい!」と言う意見になった。
チューニっぽい、の意味はよく分からない。
酷く照れていたから、照れくさいという意味合いなんだろうと思う。
戴冠式が無事に終了し、再び神官達の頌歌に合わせ、猊下や神子様、陛下とラグンフリズ王族及び王侯貴族達が退場する。
その後はパレードだった。
陛下の馬車、猊下の馬車、神子様の馬車がそれぞれ、金モールの馬具に飾られた白馬に跨がる近衛の列に護られながら、ガチガチに警備されている目抜き通りをゆっくり進んだ。
陛下も猊下も花びらを浴びながら手を振る。ランドー型オープンの馬車だ。
無論背後に護衛騎士が同乗している。
花びらでは無く、正確に言えば赤児の掌大に切った透けるほど薄手のリネンだ。
まだこの時期この地では充分な花は無いから、沢山の花びらなどは手に入らない。その代用だ。
一陣の風が吹いて、大空に薄亜麻の花びらが舞い上がる。
その瞬間に神子様のフードが外れて、艶やかな黒髪がこぼれた。
沿道の群衆からどよめきがあがった。
靡いた黒髪は風になぶられ舞い乱れ、形の良い額や顎を露わにする。女性達の黄色い声が絶え間無しにあがる。
顔が晒されたことで、急に恥ずかしくなったのか、耳たぶまでほんのり赤らめて、困ったように笑いながら、隠すように両手を顔の前で大ぶりに振った。
そんな姿にも歓声と拍手が起きる。
どこからともなく、バンザイの声が上がり始め、沿道中に伝播していった。
バンザイ!
独立万歳!
ラグンフリズ、バンザイ!
陛下バンザイ!
神子様、バンザイ!
猊下バンザイ!
女神様、バンザイ!
雪解けバンザイ!
美味い酒バンザイ!
串焼きバンザイ!
ウチのカアちゃん、バンザイ!
そのうち何でも良くなってきて、ひたすらバンザイを言い合い、手拍子や口笛が響いていた。
だから、戴冠式の時には、ハズレの村ではまだ森にも、牧場や畑にも、辻辻に根雪が残り、広場に集まる村人達の息も白く、皆厚手の羊毛や毛皮の身支度で万全の防寒をして居た。
国中の主立った都市や街の広場では、戴冠式、その後の神子様を奉じる儀式とパレードなど、魔道具を使って同時配信されることになって居る。
さすがにこれは立体で再現というわけでは無い。空間にかなり大きめの画面が出て、映像を投影してくれるものらしい。
それでも、智の女神ヤスティナ・テマ神を主神とするテマ教神殿総本山から、直々に教皇猊下がお越しになり、手ずから祝福と共に王冠を授けてくださる戴冠の儀。
元コンセデス領の領民が、まさしく全てにおいてラグンフリズ王国の国民となる、長年の悲願が叶う瞬間を、湧き上がる感慨を胸に心待ちにしていた。
荘厳な主祭壇を前に、神官達による頌歌が高らかに歌い上げられて、敷き詰められた赤い長絨毯を踏み進み、壇上に坐す教皇様に建国の誓いを立て、祝福の詔を授かる。
その空間を元帥であるリオネス様を先頭に、全身を甲冑で包んだ騎士達がずらりと立ち並んで護る。
教皇様の御手ずから、アーノルド様の頭上に王冠が乗せられた瞬間、神殿の外から地響きのような歓声が上がったのが聴こえた。
おそらく国中のあちこちの広場からも同時にあがったことだろう。
その後、王冠を戴いた国王陛下が長いマントを捌きながら後退る。
祭壇を望む階段下のホール部分はクロッシングで、その両脇には翼廊部分が有る。
翼廊から黄金の甲冑を身につけた騎士が進んできて、それぞれの手にラグンフリズ王家の旗とテマ教の御旗とを掲げ、祭壇の幅分距離を空け向き合ったまま直立する。
まあ、片方は俺なんだが。
しんと静まりかえる。
祭壇前に設えられた厳かな玉座前に教皇猊下が立ち、ホールの空間を空けて、距離を取った位置に向かい合う形で国王陛下が凜と佇む。
にわかにホールの中央に光が走り、魔法陣が浮かび上がる。
目がくらむほどの光の柱が立ち、それが再び魔法陣に吸い込まれて消えていく中に、人影が浮かび上がり、教皇猊下と向かい合う形で神子様が現れる。
完全に魔法陣が消えた後に神子様が猊下に、胸に手を当て一礼する。
すると猊下は壇を降り、神子様の前に膝を突く。そして厳かに祈りを捧げる。
その場に居た全ての関係者が息を飲んだ。
目の前に神子様が現れた後に猊下がどのように対応するかは猊下にお任せしていた。
まさか、猊下が膝を突かれるとは予想していなかったのだ。
これは、猊下が神子様を女神の依り代として認めたことを表す。
神子様は光沢有る白いフード付きローブマント姿だった。
当たる光の加減で金色にも淡い萌葱色にも見える糸で、唐草の精緻な刺繍による縁飾り。
その所々に雪解けの早春に膨らみ始めた小さな野花を思わせる、ごく淡い薄桃色や透明感のある黄色、淡い水色や紫の宝石を散らしてある。
華美では無い。清楚だが壮麗なもの。
マントの前は、同じ淡い色味の宝石を繋いだ留め金で繋ぎ、白地に金糸銀糸の縁飾り刺繍が施されたスカプラリオが覗く。
徐に神子様は、目の前で跪かれた猊下に対し、自身も膝を突いて手を添え共に起立した。
逆に猊下が神子様のその手を導き壇上に上がると、国王を招く。王冠を戴いた国王陛下が神子様に対して跪き、帰依の誓いを告げた後、その手を額に押し頂いた。
ここの箇所で、儀式の段取りの打ち合わせでは、ずっとアーノルド陛下は爪先に口づけたいのだと言い張っていたのだが、王冠を乗せたままでは無理だからと、神子様に説得されて、この形になったという裏事情がある。
そもそも、実は、神子様がどこから登場するかも結構揉めた。
拝廊側正面の扉から現れて、結婚式みたいに身廊をしずしず歩いて、祭壇に近づいていくんで良いんじゃ無いかと神子様は言っていたが、身廊は信者の道であるから、祭壇に向かい俗世界から来たみたいな印象になる。神子様を貶める演出であると猛反対をくらった。
むしろ祭壇の奥から現れてはどうだ、等という意見も出た。
だけど、猊下よりも奥から出るのはちょっと…と神子様が嫌がった。
で、結局あの形になった。
魔法陣から現れるなんて、ちょっとチューニっぽいよね、と苦笑していらしたが、その案が義兄から出たときにはその場に居た護衛騎士や文官、侍女達も含め全員が「それがいい!」と言う意見になった。
チューニっぽい、の意味はよく分からない。
酷く照れていたから、照れくさいという意味合いなんだろうと思う。
戴冠式が無事に終了し、再び神官達の頌歌に合わせ、猊下や神子様、陛下とラグンフリズ王族及び王侯貴族達が退場する。
その後はパレードだった。
陛下の馬車、猊下の馬車、神子様の馬車がそれぞれ、金モールの馬具に飾られた白馬に跨がる近衛の列に護られながら、ガチガチに警備されている目抜き通りをゆっくり進んだ。
陛下も猊下も花びらを浴びながら手を振る。ランドー型オープンの馬車だ。
無論背後に護衛騎士が同乗している。
花びらでは無く、正確に言えば赤児の掌大に切った透けるほど薄手のリネンだ。
まだこの時期この地では充分な花は無いから、沢山の花びらなどは手に入らない。その代用だ。
一陣の風が吹いて、大空に薄亜麻の花びらが舞い上がる。
その瞬間に神子様のフードが外れて、艶やかな黒髪がこぼれた。
沿道の群衆からどよめきがあがった。
靡いた黒髪は風になぶられ舞い乱れ、形の良い額や顎を露わにする。女性達の黄色い声が絶え間無しにあがる。
顔が晒されたことで、急に恥ずかしくなったのか、耳たぶまでほんのり赤らめて、困ったように笑いながら、隠すように両手を顔の前で大ぶりに振った。
そんな姿にも歓声と拍手が起きる。
どこからともなく、バンザイの声が上がり始め、沿道中に伝播していった。
バンザイ!
独立万歳!
ラグンフリズ、バンザイ!
陛下バンザイ!
神子様、バンザイ!
猊下バンザイ!
女神様、バンザイ!
雪解けバンザイ!
美味い酒バンザイ!
串焼きバンザイ!
ウチのカアちゃん、バンザイ!
そのうち何でも良くなってきて、ひたすらバンザイを言い合い、手拍子や口笛が響いていた。
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