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エピローグ 『むかしむかし、はむかしの話』
②
しおりを挟む謝る前に、思わず叫んでしまった。
あの日と同じようにぶつかった相手……本間先生は、めずしく、戸惑ったように返す。
「蒲帆、君、学校は……」
「それはこっちの台詞だ! なんの事情も説明なしにクラス放置する担任がどこにいるんだよ! あ、ここですかー……じゃねえわ!!」
「放置ではない、元の状態に修復を……」
と言いかけたが、先生は諦めたのかため息を吐いた。
「……わかった、こっちに来なさい。飲み物くらいはごちそうしよう」
先生に連れられて、俺はほど近いところにあった公園にやってきた。大人しくベンチに座っていると、自販機で飲み物を買ってきた先生が戻ってくる。
でも差し出されたのがオレンジジュースで……俺は、ぷいっとそっぽ向いた。
「いらない」
「汗だくだ、そうとう駆けまわったんだろう? なにか飲んだほうがいい」
「こんな甘いの、飲んでられるかっての。……そっちのなら、もらう」
俺は先生がもう一方の手で持っていた、ブラックコーヒーを指す。
しぶられるかと思ったけど、先生はすんなり渡してきた。
「カフェイン飲料は水分摂取に適さない。こちらも、あとで飲みなさい」
そう言ってオレンジジュースも俺の隣に置いてから、先生はやっと座った。
ふと、その手がスーツの胸ポケットに伸びて、タバコを取り出し……かけたけど、すぐに気づいて止めた。
「別に、吸ってもいいぜ?」
「いや、気が緩んでいたがここは公園だ。なにより生徒の……子どものまえで、そうはいかん」
「なんだよ、今さら子ども扱いなんて。俺がいなけりゃ今頃みんな仲良くバクストマックであいつの栄養になってたんじゃないですかー?」
「……やはりあるのか、記憶が」
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