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第7話 『とびこえてその先できみの声を聞く』
⑦
しおりを挟む一方、やりたい放題やってくれたホマレは改めて竹内兄妹に向きなおり、はっきり断言した。
「悪いけど、今の演説はぜんぶムダだよ。だって僕は信じてる……フウキのつくウソごと、フウキのことを信じてる!」
「おまえ、バカじゃねぇの! 蒲帆がCCCとつながってるのはマジなんだぜ? 友達だなんだっていっても、そんな重要なことを話さないなんて、」
「フウキが話さないほうがいいと判断してウソをついたなら、それでいいさ」
リンゴは地面に落ちる、とでもいうようにホマレは言い切る。
「僕ら、小学一年生のときからずっと一緒の《あいうトリオ》なんだよ? フウキがどんなときにウソついて、どんなときにつかないかなんて、わかりきってるんだ……そして、《あいうトリオ》の欠けたひとりを取り戻すために――ぜんぶに勝つ、ってフウキは言った。それだけは、絶対ほんとうのことだ! そのためにフウキがついたどんなウソも……僕は、肯定する」
「こ、の……」
怒りでブルブルふるえる兄に代わって竹内妹がでしゃばり、ホマレに噛みついた。
「なんだよ、この男女! 男子のフリして、結局女子なんじゃん……あんた蒲帆のことすきだからそんなふうにかばってるだけでしょぉ!?」
――それを聞いた瞬間、俺は駆け出した。
ルリアに絡んでいる竹内妹を無理やり引きはがして、腹の底から、いや、心の底から煮えたぎる怒りを叫びにして叩きつける。
「おまえ、二度とホマレを侮辱するな!! したら、ようしゃしねぇ!! 一生外歩けなくなるようなウソを、世界じゅうにバラまいてやる!!!」
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