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第5話 『ガチバトル! 俺は負けねぇ、おまえも負けんな!』
⑥
しおりを挟む「わかった。それが、おまえが決めたことだもんな」
俺は立ち上がりその場を離れようとした。
だけど思い出して、振り返る。
「あ、小野って下の名前なんつーんだっけ?」
「マコト、だけど……」
「よっし、じゃあ……勝負だマコト! 俺、絶対負けねーからな! だから――おまえも負けんな!」
あとは、思いっきりぶつかりあうだけだ。だって、楽しくともなんともねーけど……これも一応、人狼ゲームだしな。
そうこうしているうちに、ガランゴロンとあのベルの音が鳴った。
ジュースの呼ぶ声がして、俺も、他のプレイヤーたちも集う。
「さぁさぁさぁ、名残惜しくも自由時間は終了だ! そして、ルール改定後記念すべき第一回目の狼投票だよ。昨日はほとんど議論が起きなかったが、今日は……」
「はいはいはいはーい!」
俺は今回もまっさきに手を挙げ、そのまま両手の人差し指であるプレイヤーをズバリと指した。
「中島くんって、なんか見るからにケモノくさくね? つか中島くんはどうしてそんなに口デカいの? 耳ダンボなの? 目ぇギラギラさせてんの? わかった、俺らを食べるためでしょー!」
「蒲帆てめっ、目ん玉イカれてんのか?! オレの口も耳も目もふつーの、」
「というわけで、中島くんがオオカミだと思いまーす! 俺は中島くんに投票しまーす!」
聞く耳持たず一方的に言いきって、俺はおじぎする。ホマレもルリアもポカンとしていた。もっと地味な合図だって思ってたんだろう。
だけど、これは大切な投票だ。それっぽ~くアイマイな合図で意思疎通失敗なんてしたらシャレにならねぇ。というわけで、堂々とアピールしたわけである。むしろ思い切った決断に称賛がほしいくらいだね。
なんて思ってたら、パチパチと拍手がした。だけどそれはあからさまにイヤミなタイミングで――手を叩いた竹内兄が、案の定バカにした顔で俺を見てきた。
「しらじらしい芝居もそこまで行くと表彰もんだよな、さすがオオカミ少年ってか?」
「てめーにほめられてもピコも嬉しくねーんだけど、一応訊いてやるわ。アーユーなんのつもり?」
「とぼけんなよ。おまえが既に他のヤツら抱きこんでるなんて、もうわかってるんだっつーの」
竹田妹がキャラキャラ笑って追従する。
「すっごいよねー、舌何枚あるのぉ? どいつもこいつもたぶらかしてさぁ、将来有望なサギ師じゃん。社会のために先にタイホされちゃえばぁ?」
「いや、ホントまいったまいった! 蒲帆がちょっと言えば、ホントかどーかも考えないで票入れるヤツが過半数だもんな! たまったもんじゃねーよ、こんなのいじめだろ」
竹内たちの援護に調子を取り戻した中島まで、そんなことを言ってきた。ふん、と竹内兄が鼻で笑って、ツカツカと俺のほうへと歩いてくる。
「なぁ、どんな気持ちだ? ベシャりかましてツレをいいように操って、人をおとしいれる……おまえにゃ人の心ってもんはねーのか?」
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