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第4話 『本気モード! ロード・トゥ・〝ぜんぶに勝つ〟』
①
しおりを挟むその夜、部屋で寝る前の準備をしているとスマホに電話がかかってきた。ホマレからだ。
『フウキ、あの、今朝のことだけど……』
「ああ、もう怒ってねーって。つか俺もちょっとキツすぎたかなって」
『ちがうんだ、えっと、僕も、……いた気が、するんだ』
えっ、と聞き返すと、ホマレはたどたどしく、けど必死に言う。
『東間の僕と蒲帆のフウキ、その間に誰か、もうひとり……大切な友達が。なのに、どうしても思い出せなくて……!』
泣き出しそうなホマレに、俺の鼻までツンとした。
放課後、あの午後4時44分の結界のなかで、本間先生は話してくれた。バクストマック・ゲームの呪いに存在を喰われた子どもは、現実世界でみんなからから忘れ去られてしまう――だけど、その痕跡がときおり、誰かの心に残っていることがある。
大切な自分の子どもが、友達が、生徒が、たしかにいたはずなのに、思い出せない――そんな悲しい人たちの証言を頼りに、本間先生たちCCCはずっとジュースの起こす事件を追ってきた。この街にやってきたのも、その調査の結果だったらしい。
「……ホマレ、枕の下になんか入ってないか?」
『え?』
少し間を開けてから、とまどうようなホマレの声がした。
『入って、なかったけど……』
「そっか……」
やっぱり、手遅れなんだな。せめてホマレだけでも助かればって思ったけど……。
俺は覚悟を決めて、こう言った。
「ホマレ、詳しいことはあとで話す。だからとりあえず、今日は寝てくれ」
『……? わ、わかったよ』
通話を終了し、俺は家族のメッセージラインにおやすみスタンプを押す。父さんは残業、母さんは夜勤。昔は日付が変わるまで待ってたこともあるけど、最近はこうして眠っちまう。
それに、今日はそんな悠長なことしてられなかった。
俺はベッドに潜り込み、まぶたを閉じる。
あのいまいましい夢の世界へ――バクストマックへ、ダイブする。
◇◆◇
「……フウキ!!」
昨日と変わらないテーマパークみたいな街並みに、ホマレの悲痛な声が響く。俺が振り向くと、いつもは冷静なホマレがパニック状態で抱きついてきた。
「僕、僕……思い出したよ……ああ、ミアっ!」
ぐっと腕にこもる力でわかる――どれだけ、ホマレが悔やんでいるのか。
「まさか追放されたら、現実世界じゃ消えてしまうなんて……僕のせいだ! 僕が、こんなゲームに参加するって言ったから……! あのとき二人は、逃げようとしたのに……!」
「落ちつけ、ホマレ」
「だめだよ、僕、もうムリだ! ミアは僕を勝たせようと……願いが叶うのを応援してくれたのに、そのミアがもうこの世のどこにもいないなんて……!」
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