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第2話 『願いが叶う人狼?! バクストマック・ゲーム、スタート!』
⑥
しおりを挟むウエイトレスのかっこうのクセに、ミアは腕いっぱいにクレープやタピオカミルクティーを抱え込んで、すきなものから勝手気ままに食べている。っていうかタピオカミルクティーにタピオカぎちぎちに詰めすぎだろ。グロいうえに、もうほとんど〝ティー〟要素がない。
一方ホマレはひかえめにチュロスをかじりながら、感心したように言う。
「この世界自体がなんかすごいよね。夢のなかのはずなのに、食べ物もおいしいし。なんかみんなで遊園地に遊びにきたみたいだ」
「うんうんっ、ホントサイコー! 小5になってから、3人で遊ぶめっきり時間減っちゃったもんね」
ものすごい勢いで腕の中のフード&ドリンクを完食したミアは、くずカゴにゴミを捨てる。そして珍しく、ちょっとしおらしいそぶりを見せた。
「願い事叶えるのも大事だけど……ミア的にはもう、けっこー満足かな」
「そうなん? さすがに早すぎね? あ、わかった。俺に勝てねーってわかってるから先に逃げ道作ってんだろ」
「うっさい、バカフウキ!」
ミアが俺のほおをつまんで、おもいきり左右にひっぱる。人が絶賛アイスクリーム中なのをわかってのヒレツな犯行だ。空いた手でどうにか反撃しようとしたが、そのまえにミアはひらりと離れていった。
くっ、あとでおぼえてろよ……って思ったけど。
すんっと鼻を鳴らしてこっちを見たミアは笑ってた。
なんか、こんなどうでもいい時間が、すっごい宝ものみたいに。
「でも、確かにちょっと早すぎかもね。もっとみんなで遊びたいもん。へへっ、欲ばっていくよー!」
「ふん、そんなこと言ってられるのも今のうちだってーの」
トゲトゲしい女子の声に、俺らは振り向く。あっと、ホマレが怯えた。
見るからにヤンキーって感じの3人組だ。どっかで見たような……と考えて、すぐ思い出す。隣りの5年2組の連中だ。
あんま似てない双子の、竹内兄妹。小3のとき同じクラスだったけど、なにかとエバりたがるからすごくムカついて、俺らあいうトリオとは犬猿の仲だった。それは小5の今になっても変わってなくて、忘れられないくらい憎たらしい顔なのに、なんでかすぐにわからなかった。
それもそのはず、現実の竹内たちはいかにも育ちのよさそーなかっこうしてる(それをまた自慢してくるんだ、どこどこのブランドだとかって)のに、今目の前にいるこいつらはケバケバしたスカジャンにド派手なメイク、シルバーアクセをてんこ盛りと、どこから見ても恥ずかしくない不良スタイルだったんだ。もう一人いる腰ぎんちゃくみたいなヤツまで、それっぽい。
なんでこんなチョイスにしたのか興味が湧いた……と思ったけどやっぱいいや、竹内だし。こいつらにはロクな思い出がない俺たちあいうトリオは、すかさずアイコンタクトをとる。めんどうごとは《逃げる》一択だ。
だけどそれを見こしたように、竹内兄が言う。
「おまえら、ずいぶんヨユーだな? ま、すぐ後悔することになるぜ」
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