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第1話 『魔法のカードでご招待、ウソみたいな夢の国!』
⑤
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その晩、風呂に入って、食器も片付けて、まぁ宿題は明日やることにして、俺は部屋にひっこんだ。スマホで家族のメッセージラインにおやすみのスタンプを投げてから、例のものを用意する。
そう、放課後あのピエロにもらったカードだ。
「……まっ? キタイしてるわけじゃねーけど? 試してやるくらいなら、なぁ?」
なんて、誰に向けて言ってるのか自分でもわからなかったけど、俺はいそいそと枕の下にカードを入れる。それからソッコーで電気を消して、ベッドにもぐりこんだ。
おやすみ三秒が特技の俺は、今日もすぐさま眠りにつく。
そのまま気づいたら朝になって……なんて、ことにはならなかった!
「……ん? おあっ?! なんだここ……!!」
さっきパジャマを着て毛布をかぶって寝たはずの俺が、今はどこにいると思う?
快晴の空に、ポンポンと打ちあがる花火!
おとぎ話みたいな街並みと、三等身の動物マスコットたち!
どこからか陽気な音楽が流れてきて、思わず心も体も踊りだす、まるでかの有名な夢の国みたいな――ん? 夢の、国?
「フウキー! こっちこっちー!」
知ってる声が聞こえて、俺は振り返る。そしてすぐさま驚いた。
「えっ……おまえ、ミアかっ? そっちは……ホマレ、だよな!」
「フウキ、こんばんは……で、いいのかな?」
ミアとホマレは、たしかにミアとホマレだけど……ふだん学校で見るのとは全然ちがうかっこうだった。
ミアはカラフルなウエイトレスみたいな恰好で、なぜか頭に包丁のレプリカがぶっ刺さっている。全身に水色や黄緑で描かれた水玉は、よくみると、血ノリなのかこれ?
ホマレは豪華なシルクハットとタキシード、手に持った杖はなんだか絵筆に似ている。ミアの格好がぶっとんでるからマトモに見えるけど、ファンタジーっぽさがあるデザインだ。
それで気づいたけど、俺もパジャマ姿じゃなかった! まえに動画で見た音楽隊の一員みたいに、ピシッした衣装――へぇー、かっこいいじゃん!
「なんかフシギだよね。ミアたち、同じ夢見てるんだ!」
「こんなふうに、ミアやフウキと喋れるなんて、まるで起きてるみたいだよ」
「おいおい、これ、いったいどーいうことなんだ……?!」
俺は辺りを見渡す。見るからに人間じゃないマスコット以外に、俺たちと同じような子どもが何人かいるみたいだ。
そこで誰かが手をならし、俺たちはいっせいにそっちを見た。
そして思わず、あっ! と叫んだ。
「ウェルカム、ボーイズ&ガールズ&クィアーズ! 夢いっぱい興奮いっぱい、楽しい楽しいゲームの世界へ」
そう言って出迎えるように丁寧なおじぎをしたのは、あいつ――
俺たちにあのカードを渡した、謎のピエロだった!
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