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28.「港」
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冷静に考えるとおかしい状況だとは思うんだが、隣で只、寝てるだけの、しかも相手がマーレスという絶対的に信頼出来る相手を追い出す必要性も感じない。
心配なのは人肌が近くにあるのは落ち着くってのに慣れると困るなと思ったぐらいで…。
そんな事を考えて起きてたせいか、寝ていると思ってたマーレスが目を開けて軽く俺の頭に触れて来た。
「眠れないのか…?」
「あ、いや、まぁ…さっきまで寝てたからな。」
「そうか…。」
そう言うマーレスは少し眠そうで、口調がいつもより柔らかい。無意識なのか髪を撫でたり、頭皮に指を滑らせるんで少し擽ったかった。
最終的には抱き寄せられて、背中をゆっくり優しく叩かれるってさっき俺がやった寝かしつけを明らかに眠いのを我慢してやられると小さく喉を鳴らしながら笑ってしまった。
「俺のことは良いから、寝ろ…。」
「うん…でも、折角、ソルが隣にいるから…。」
「最近はずっといるだろ?」
「一緒には、寝てなかったから、寂しかった…。」
なんだこの可愛らしい、大きな子供は。
たまに、父性を刺激して来るなとか真剣に考えてたら何故か今度は頭を抱え込まれて唇が頭皮に軽く触れる。
「好きだ、ソル…何処にも行かないで…。」
「マーレス…。」
どんだけ心配してんだよとか、完全に寝ぼけてんなとか色々思う所はあるが背中を安心させるように軽く叩いた。
「何処にも行かねぇし、何処か行くときは一緒だ。明日は海だろ?」
「そう…だった…な、楽しみ…」
「いいから、寝ろ。」
「ん…」
完全にふにゃふにゃして来てるマーレスの真っ黒な髪も撫でてやると漸く瞳を閉じて、眠ってくれた。
何故か俺の額に思いっきり唇を押し当ててからなんだが…。
少し起き上がりたくなったものの、完全に片腕が体に巻き付いて抱き込まれてるんで動けん。本当にどれだけ寝ぼけてんだよと思いながらも段々と微睡んで来て、いつの間にか俺も眠っていた。
「ソル。」
「…ぅ、ん?」
「起きれるか?朝だ。」
「ああ…おう、だいじょうぶ…。」
早朝だが、しっかりと眠ったお陰で寝ぼけながらも起き上がれた。
少し朝は冷えるんで毛布とマーレスの体温に心残りはあるものの、早くしねぇと日があっと言う間に昇ってしまう。
まだ、暗い内に宿屋の洗面所を借りて顔を洗い、簡単に身支度を済ませて早速宿を出て港に向かって歩いて行くと潮の香りが徐々に濃くなってくる。自然の香りは多少濃くても違和感が無いんで楽しめて好きだった。
空気も澄んでて、胸いっぱいに吸い込むと気持ちが良くて、それだけで調子がどんどん上向いて来る感じだ。
「気持ち良いなぁ…。」
「ああ、早朝に海を見に行くのも初めてだし、休暇みたいで楽しい。」
「休暇で間違いねぇよ。遊びに行くようなもんだからな、マーレスにはそういう生活を沢山してって欲しいと思う。」
ちょっと驚いた顔をされたが、幼少期からまともに過ごせたとは到底思えないし、もう一生分は余裕で働いてるだろうから後は出来るだけゆっくりしたら良いと思う。
「つか、マーレス…歪まずに育って凄いな。」
「そうか?人間不信ではあるし、物事に余り関心も無いが…ソルは嫌じゃないか?」
「全然。流石に俺とも話してくれなくなったら泣くけど、根っ子の部分が良いってか、マーレスには良心がしっかりあるし、意思も強い。物事に関心が無くても、それがマーレスで、そのままでも大丈夫だ。まあ、好きな物とか増えたり楽しんでくれんのは個人的には嬉しいけど、なんだろ、上手く言えないが、俺が敵になることは無い。」
「それは…そうだな、説得力しかない。ありがとう。」
「ああ、もっと自信持ってくれ。」
「ソルが言うなら、分かった…。」
少し狡かったが納得して貰えて良かったと人通りの無い道を夜目を駆使して歩んで、目的の時間までには海岸に出られて安心した。
結構、ぎりぎりだったみたいで、直ぐに朝日が顔を出し始めて、曇っても無かったんで目的の朝焼けが綺麗に拝めた。
マーレスが好きだって言ってたんで、久しぶりに意識して見たんだが、黒い海面から昇る黄金色が青い空の下部を染め上げる。
淡い色彩が幻想的で、対照する色合いに見たことがない遠い感覚を呼び起こされるようで不思議な感覚に陥る。
暫く、美しい光景に見入ってからマーレスの方へ視線を移すと風に靡く黒髪や綺麗に伸びた姿勢、揺るぎ無く遠くを見つめる姿にまるで本当に物語りの騎士のようだなと思いを馳せながら、短い朝焼けを楽しんだ。
心配なのは人肌が近くにあるのは落ち着くってのに慣れると困るなと思ったぐらいで…。
そんな事を考えて起きてたせいか、寝ていると思ってたマーレスが目を開けて軽く俺の頭に触れて来た。
「眠れないのか…?」
「あ、いや、まぁ…さっきまで寝てたからな。」
「そうか…。」
そう言うマーレスは少し眠そうで、口調がいつもより柔らかい。無意識なのか髪を撫でたり、頭皮に指を滑らせるんで少し擽ったかった。
最終的には抱き寄せられて、背中をゆっくり優しく叩かれるってさっき俺がやった寝かしつけを明らかに眠いのを我慢してやられると小さく喉を鳴らしながら笑ってしまった。
「俺のことは良いから、寝ろ…。」
「うん…でも、折角、ソルが隣にいるから…。」
「最近はずっといるだろ?」
「一緒には、寝てなかったから、寂しかった…。」
なんだこの可愛らしい、大きな子供は。
たまに、父性を刺激して来るなとか真剣に考えてたら何故か今度は頭を抱え込まれて唇が頭皮に軽く触れる。
「好きだ、ソル…何処にも行かないで…。」
「マーレス…。」
どんだけ心配してんだよとか、完全に寝ぼけてんなとか色々思う所はあるが背中を安心させるように軽く叩いた。
「何処にも行かねぇし、何処か行くときは一緒だ。明日は海だろ?」
「そう…だった…な、楽しみ…」
「いいから、寝ろ。」
「ん…」
完全にふにゃふにゃして来てるマーレスの真っ黒な髪も撫でてやると漸く瞳を閉じて、眠ってくれた。
何故か俺の額に思いっきり唇を押し当ててからなんだが…。
少し起き上がりたくなったものの、完全に片腕が体に巻き付いて抱き込まれてるんで動けん。本当にどれだけ寝ぼけてんだよと思いながらも段々と微睡んで来て、いつの間にか俺も眠っていた。
「ソル。」
「…ぅ、ん?」
「起きれるか?朝だ。」
「ああ…おう、だいじょうぶ…。」
早朝だが、しっかりと眠ったお陰で寝ぼけながらも起き上がれた。
少し朝は冷えるんで毛布とマーレスの体温に心残りはあるものの、早くしねぇと日があっと言う間に昇ってしまう。
まだ、暗い内に宿屋の洗面所を借りて顔を洗い、簡単に身支度を済ませて早速宿を出て港に向かって歩いて行くと潮の香りが徐々に濃くなってくる。自然の香りは多少濃くても違和感が無いんで楽しめて好きだった。
空気も澄んでて、胸いっぱいに吸い込むと気持ちが良くて、それだけで調子がどんどん上向いて来る感じだ。
「気持ち良いなぁ…。」
「ああ、早朝に海を見に行くのも初めてだし、休暇みたいで楽しい。」
「休暇で間違いねぇよ。遊びに行くようなもんだからな、マーレスにはそういう生活を沢山してって欲しいと思う。」
ちょっと驚いた顔をされたが、幼少期からまともに過ごせたとは到底思えないし、もう一生分は余裕で働いてるだろうから後は出来るだけゆっくりしたら良いと思う。
「つか、マーレス…歪まずに育って凄いな。」
「そうか?人間不信ではあるし、物事に余り関心も無いが…ソルは嫌じゃないか?」
「全然。流石に俺とも話してくれなくなったら泣くけど、根っ子の部分が良いってか、マーレスには良心がしっかりあるし、意思も強い。物事に関心が無くても、それがマーレスで、そのままでも大丈夫だ。まあ、好きな物とか増えたり楽しんでくれんのは個人的には嬉しいけど、なんだろ、上手く言えないが、俺が敵になることは無い。」
「それは…そうだな、説得力しかない。ありがとう。」
「ああ、もっと自信持ってくれ。」
「ソルが言うなら、分かった…。」
少し狡かったが納得して貰えて良かったと人通りの無い道を夜目を駆使して歩んで、目的の時間までには海岸に出られて安心した。
結構、ぎりぎりだったみたいで、直ぐに朝日が顔を出し始めて、曇っても無かったんで目的の朝焼けが綺麗に拝めた。
マーレスが好きだって言ってたんで、久しぶりに意識して見たんだが、黒い海面から昇る黄金色が青い空の下部を染め上げる。
淡い色彩が幻想的で、対照する色合いに見たことがない遠い感覚を呼び起こされるようで不思議な感覚に陥る。
暫く、美しい光景に見入ってからマーレスの方へ視線を移すと風に靡く黒髪や綺麗に伸びた姿勢、揺るぎ無く遠くを見つめる姿にまるで本当に物語りの騎士のようだなと思いを馳せながら、短い朝焼けを楽しんだ。
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