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93.「揺蕩う」※

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「う…っ、…ん…?」

 重い瞼を押し開けると艶やかな銀髪が一番に視界に映り、状況が一瞬分からずに混乱仕掛けて、下半身の違和感と異常な体の熱さに先程までの事を思い出す。
 身動ぎにシュヴァルト様も俺が目覚めた事には気がついて、支えて下さっていた腕を緩めながら此方を覗き込んで来る。
 無言のまま互いに見つめ合っていると優しく微笑まれ、頬を指で撫でられた。
 暫く、遊ぶような手つきで擽られていると額に口付けられて直ぐに離れる。

「…湯浴みを致しましょうか…。」

「……?」

 唐突な提案に瞬くも、何とか鈍い動作で理解して頷くと腰に巻きついていた影を解かれ、体をゆっくりと持ち上げられてシュヴァルト様自身を引き抜かれ始めたのだが、中の摩擦にやはり意図せず体が反応してしまう。

「ぅっ…、ふっ…」

 続きをしている訳では無いと、自分自身に言い聞かせながら力を抜く為に息を何度も吐き出している内に、やがて全てが抜け切ったのだが引き抜く時にぐぷりと体液が中から溢れて大腿を大袈裟に伝う。

「あっ…!」

 まるで、粗相をしてしまった感覚に慌て、流れ出る白濁を拭おうと手を伸ばしたのだが、シュヴァルト様に途中で手を取られて流れるままになってしまう。
 しかも、何故かその様子を見つめられ、只でさえ熱い頭が沸騰しそうだった。

「コウセイが女性ならば、直ぐに懐妊させてしまう所でした…。」

「シュヴァルト様…っ!?」

「考えて置いてくれませんか…?私との子供を…。」

 柔らかく微笑まれて本気なのか、冗談なのか、分からなくなる。
 シュヴァルト様との子供が出来るのならば勿論、嬉しいが…俺が果たして生めるのか…?
 地球では考えられなかったが、此処では同性でも可能なのだろうか?
 そう言えば、シュタルクさんに守護神の子を宿したと勘違いされて心配はされたな…。
 鈍い思考のまま、答えの出ない疑問を巡らせているとシュヴァルト様が立ち上がる気配に気がついて体の上から退き、そのままベッドに座り込んでいると衣服を軽く整えた彼に横抱きで抱き上げられる。
 確かに体に力が余り入らず、歩行も怪しいが、当たり前のように抱かれる状態に戸惑いが隠せなかった。

「シュヴァルト様…。」

「気にしないで下さい。」

 短く答えて下さる声は何処か常と違って固い。
 どうしたのだろうかと思う間にも風呂場へと運ばれ、その先で答えは分かった…。














「コウセイっ…。」

「シュヴァ…ぁあ、…あ…く!」

 シャワーのような魔道具から出る湯を体に浴びながら、壁に手を付いて俺はまた彼を受け入れていた。
 最初はシュヴァルト様に促されて中に出された精液を掻き出して貰っていた。
 せめて、自分でやらせて欲しいと伝えたのだが苦い表情で今回はと言われお任せしたのだが、案の定、洗浄だというのに彼に触れられれば我慢が効かなかった。
 掻き出されている内に何度も指を締め付けてしまい、気がつけば前も反応していてと…体が強請った状態になってしまい、貫かれてはしたなくも歓喜を覚えた程だ。
 自分の状態に情けなく思っていると後ろから抱き締められて、少し辛そうに囁かれる。

「…貴方をまだ、離せそうにありません…。」

「…シュヴァルト様…。」

 その言葉に、何処かぎこちなかった原因が分かった気がする。
 体が大丈夫かどうかは正直、分からない。
 だが、緩く振り返りながら頷くと少しは安心されたのか、腕の力が緩み、顔を傾けられると口付けられた。
 労うように優しく唇を吸われ、緩やかに腰を動かされ始めると舌が口内に入って来る。
 少しは呼吸にも慣れ、シュヴァルト様の舌に愛撫を返すと、お返しのように小刻みに尻の中を揺さぶられて熱が容易に上がった。
 キスと腰の動きに翻弄され、溺れるままになっていれば右の乳首を不意に摘ままれてぎゅっと中を締め付けてしまう。
 継続する気持ち良さに、今こんなになってしまっていて、今後は大丈夫かと少し意識が逸れると左手で性器を握り込まれて強く上下に扱かれた上にぐりぐりと鈴口を爪で虐められた。

「っン!んン、ぐっ…、ぅ…っ、く…ぁ」

 何がどうしたのかと驚いていると僅かに唇が離れて、熱を帯びた真摯な瞳みに見つめられる。

「今は、…私の事だけ…考えてください…。」

 甘く懇願するように囁かれて胸がぎゅっと握り込まれたようだ。
 答えようとする間にも性器を弄られながら動かれ続けて堪らないが、何とか口を動かした。

「違っ…ぁ、貴方…だけですっ…、貴方で、いっぱいで…よくて、よすぎて…しんぱ…ぁっ…は…ンぅ…っあ、アッ…く!」

 言葉を紡ぐ内に快楽が増し、頭の中が真っ白に染まる。
 イったのだと理解し、脱力仕掛けたのと中を擦り上げられたのが同時で思わず体が大袈裟に跳ね、爪先立ちになる。
 しかし、そのまま腰を掴まれて後ろから何度も穿たれてしまい崩れ落ちそうになるのを何とか壁に縋りながら耐えているとシュヴァルト様も達したのか中が熱く濡れた。

「あっ…あ、…ぅ…あアッ…!」

「っ…ン…く…」

 彼が限界を迎えた筈なのに、注ぎ込まれた体液で俺の方が駄目になってしまう。
 逆上せたように視界も体も熱く、消えない快楽に頭の中が暴力的に掻き回されてでもいるようだ。
 それなのに、もっと欲しくて堪らないー…。
 浅ましくもシュヴァルト様の上に股がって貪りたいとさえ想像し、頭を振るが、彼の熱棒が中から抜け行く感覚に力を入れてしまっていた…。

「あっ…まだ、抜か…ないで、くださ…い…っ…」

「………………。」

 沈黙だけが返って来て居た堪れないが、もう少しだけ中にいて欲しい。
 そう思っていると結合がまた深くなり、壊れ物でも扱うように背後から抱き締められる。

「…貴方は何処まで…私を馬鹿にさせるのですか…。」

「…シュヴァルト様…?」

 何を言うのだろうと思い、普段理知的なシュヴァルト様がそう言うのであればと紐解いてしまったのがいけなかったのかも知れない。

「あの…俺の前では…馬鹿になって…ください…、俺も…ご一緒、します…。」

「…っ…。」

 自分で言っていて段々と恥ずかしくなるのだが、言った後はそれ所では無くなると、この時の自分は実に楽観的だったと思う。
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