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3章
89.「信用」
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フォルクが立ち去る姿を見送って、暫く茫然自失としとった。いやもう、諸々衝撃的過ぎたんもあるけど、完全に俺…浮気を疑われてる人やよね!?そもそも、お付き合いも何もしてなかったんやけど!!!!
てか、浮き名を流してる状態で付き合って下さいとも言えんよな!?そりゃ信用もされへんて!?
怒るのも最もやし、正論やし、これからどないしょう…。
失った信頼を取り戻すのってどうやったらええんやろう、信頼を裏切るのは簡単でも取り戻すのは難しいって聞きます、教えてフォルク先生ってふざけてもられへん!!!!
ガクーっと項垂れながら、一先ず【浄化】を発動させる。虚しいのは気のせいでは無い、寧ろ全力で認めて行こう、とっても虚しい…。
あんまり自分に対して真剣になることって無かったんやけど、流されるまま適当に生きてたせいで好きな人から嫌われるのだけはマジで勘弁やった。
いや、嫌われてるのと同時にポジティブに考えたら好かれてもいるって感じやった気がするけど、にやにや出来る状態では全くもって絶対に無い。
どう考えても擦れ違って、ニアミスミスミスって、分厚い壁を隔ててますーって、また、がっくりと項垂れた。
結局、そのまま答えが出る訳も無く、心配したリベラが迎えに来てくれるまでバルコニーで頭を抱え続けてた。
一晩寝て起きても俺の頭の中はどうしよう!?で、ぐるぐる思考が回るは、決定的な解決策が思い浮かばんくて散り散りやったものの当のフォルクは何事も無かったように朝の挨拶をしてくれた。
いや、正確には何事も無くはないってか、笑い方が若干違うってか、ひたすらに爽やかで可愛いかった笑顔が、なんかこう、どこか艶っぽいです…。
彼の中では間違いなく、何かが変わったんやろうって鈍感な俺でも流石に気付く。
こっちが戸惑いながら挨拶して、暫くぼんやりしてたら何故かヴィーダーさんに思いっきり頭をぐしゃぐしゃに撫でられた。
「わぷっ!何するんですか!?」
「間抜け面だったからな。目は覚めたか?」
「あ、はい…なんとか…お陰様で。」
「そうか。」
良かったなとばかりにまた髪をわしゃわしゃされて戸惑いつつ、正気に返れたんは良かったなとも思いながら腕から素早く抜け出す。違うんです、浮気症な男や無いんですとフォルクの背中に視線で訴え掛けたものの、そんなもんで伝わらん。
抱っこ紐で抱えてるクライにも心配そうな目を向けられて辛うじて笑い返したけど、苦い表情にはなってたやろう。
ぽんぽんとクライの頭を撫でてから、はーっと溜息は自然と出てまうものの決意は固める。
信用して貰う為にもそっち方面での守備力が高い男になるんや。んで、ちゃんとフォルクと話し合う。分かって貰えるか分からんけど…好きな人を追い詰めたままってのは良くないし、俺の気持ちを知って欲しい。
そんな決意を胸にその日は一歩を踏み出して、直ぐに転びまくるとは思わんかった…。
朝食を有り難く済ませてから一先ず、卵をウンエントリヒさんに渡しに行こうと居場所を確認しながら皆で向かった。
商業地区の無事な区画の建物で今後の偵察の見積もりを立てて準備を開始してたウンエントリヒさんを見つけて時間を取って貰ったまでは良かった。
クライが抱っこ紐の中で殆ど抱えてくれてた卵を貰って「実は、これを受け取って欲しいんですけど…。」て、真面目に話し出した瞬間に表情が固まってどないしたんかなと思ってたら…。
「…卵?俺に?」
「はい。実は事情があって持ってて欲しいんですが、駄目ですか?」
「いや…だが、卵だろう?」
「え…はい。」
なんでかめっちゃ戸惑ってる様子にこっちまで困惑する。
いやまあ、いきなりダチョウの卵ばりに大きいもん渡されたら俺も戸惑うなって思って説明しようと呑気に構えながら口を開く前に、ウンエントリヒさんが爆弾発言をした。
「抱いた覚えは無いし…、そっちも抱かれた覚えはないよな?理由は分からんが、他の奴との卵を俺に預けるのは考え直した方が良いぞ。お互いの為にならん。」
「…え、ん?お?」
至って真面目に、冗談とかでは無く、険しい表情で腕を組んでお断りの返事を頂いたものの意味が分からん。
「あのさぁ、竜人族にとって子供は卵から生まれんだよ。だから、戸惑ってんじゃないの?んで、誰との子供だよ?卵。」
ナイスフォローでは無いけども恐らくラオネンくんの補足に状況は分かった、めっちゃ理解した、オーケー。
だがしかし可笑し、待って、待って。今、一番誤解されたくないナンバーワンのフォルクは事情を知ってるものの、なんか世間的には俺の泣けなしの信用がガラガラ崩れてる気がする。後、神様ぶっ飛ばすぞ!!!!絶対に確信犯やろがっっっ!!!!
表面上は冷静に、一度フォルクの方を確認すると微笑まれた…なんか、生ぬるく感じるのは自分だけやろか。
吸って吐いて、吸って吐いて、落ち着いてからウンエントリヒさんに向かって仮面の中からやけど澄んだ瞳を向ける。
「俺が生んだ卵やないんです。後、竜人の卵でも無いです。お助けアイテムなので、説明を聞いてから受け取るかどうか決めて下さい。」
「お、おう。大丈夫か?誤解して悪かったが、生きてるか…?」
瀕死です!なんなら、ついでに泣きます!
「はい…っ!」
「泣くなって!おい!?」
その後、泣き出した俺にウンエントリヒさんが手拭いみたいな布を貸してくれ、びちょびちょにしてもうたのに、卵は大事そうに無事に受け取って貰えて良かったのか、悪かったのか…。
てか、浮き名を流してる状態で付き合って下さいとも言えんよな!?そりゃ信用もされへんて!?
怒るのも最もやし、正論やし、これからどないしょう…。
失った信頼を取り戻すのってどうやったらええんやろう、信頼を裏切るのは簡単でも取り戻すのは難しいって聞きます、教えてフォルク先生ってふざけてもられへん!!!!
ガクーっと項垂れながら、一先ず【浄化】を発動させる。虚しいのは気のせいでは無い、寧ろ全力で認めて行こう、とっても虚しい…。
あんまり自分に対して真剣になることって無かったんやけど、流されるまま適当に生きてたせいで好きな人から嫌われるのだけはマジで勘弁やった。
いや、嫌われてるのと同時にポジティブに考えたら好かれてもいるって感じやった気がするけど、にやにや出来る状態では全くもって絶対に無い。
どう考えても擦れ違って、ニアミスミスミスって、分厚い壁を隔ててますーって、また、がっくりと項垂れた。
結局、そのまま答えが出る訳も無く、心配したリベラが迎えに来てくれるまでバルコニーで頭を抱え続けてた。
一晩寝て起きても俺の頭の中はどうしよう!?で、ぐるぐる思考が回るは、決定的な解決策が思い浮かばんくて散り散りやったものの当のフォルクは何事も無かったように朝の挨拶をしてくれた。
いや、正確には何事も無くはないってか、笑い方が若干違うってか、ひたすらに爽やかで可愛いかった笑顔が、なんかこう、どこか艶っぽいです…。
彼の中では間違いなく、何かが変わったんやろうって鈍感な俺でも流石に気付く。
こっちが戸惑いながら挨拶して、暫くぼんやりしてたら何故かヴィーダーさんに思いっきり頭をぐしゃぐしゃに撫でられた。
「わぷっ!何するんですか!?」
「間抜け面だったからな。目は覚めたか?」
「あ、はい…なんとか…お陰様で。」
「そうか。」
良かったなとばかりにまた髪をわしゃわしゃされて戸惑いつつ、正気に返れたんは良かったなとも思いながら腕から素早く抜け出す。違うんです、浮気症な男や無いんですとフォルクの背中に視線で訴え掛けたものの、そんなもんで伝わらん。
抱っこ紐で抱えてるクライにも心配そうな目を向けられて辛うじて笑い返したけど、苦い表情にはなってたやろう。
ぽんぽんとクライの頭を撫でてから、はーっと溜息は自然と出てまうものの決意は固める。
信用して貰う為にもそっち方面での守備力が高い男になるんや。んで、ちゃんとフォルクと話し合う。分かって貰えるか分からんけど…好きな人を追い詰めたままってのは良くないし、俺の気持ちを知って欲しい。
そんな決意を胸にその日は一歩を踏み出して、直ぐに転びまくるとは思わんかった…。
朝食を有り難く済ませてから一先ず、卵をウンエントリヒさんに渡しに行こうと居場所を確認しながら皆で向かった。
商業地区の無事な区画の建物で今後の偵察の見積もりを立てて準備を開始してたウンエントリヒさんを見つけて時間を取って貰ったまでは良かった。
クライが抱っこ紐の中で殆ど抱えてくれてた卵を貰って「実は、これを受け取って欲しいんですけど…。」て、真面目に話し出した瞬間に表情が固まってどないしたんかなと思ってたら…。
「…卵?俺に?」
「はい。実は事情があって持ってて欲しいんですが、駄目ですか?」
「いや…だが、卵だろう?」
「え…はい。」
なんでかめっちゃ戸惑ってる様子にこっちまで困惑する。
いやまあ、いきなりダチョウの卵ばりに大きいもん渡されたら俺も戸惑うなって思って説明しようと呑気に構えながら口を開く前に、ウンエントリヒさんが爆弾発言をした。
「抱いた覚えは無いし…、そっちも抱かれた覚えはないよな?理由は分からんが、他の奴との卵を俺に預けるのは考え直した方が良いぞ。お互いの為にならん。」
「…え、ん?お?」
至って真面目に、冗談とかでは無く、険しい表情で腕を組んでお断りの返事を頂いたものの意味が分からん。
「あのさぁ、竜人族にとって子供は卵から生まれんだよ。だから、戸惑ってんじゃないの?んで、誰との子供だよ?卵。」
ナイスフォローでは無いけども恐らくラオネンくんの補足に状況は分かった、めっちゃ理解した、オーケー。
だがしかし可笑し、待って、待って。今、一番誤解されたくないナンバーワンのフォルクは事情を知ってるものの、なんか世間的には俺の泣けなしの信用がガラガラ崩れてる気がする。後、神様ぶっ飛ばすぞ!!!!絶対に確信犯やろがっっっ!!!!
表面上は冷静に、一度フォルクの方を確認すると微笑まれた…なんか、生ぬるく感じるのは自分だけやろか。
吸って吐いて、吸って吐いて、落ち着いてからウンエントリヒさんに向かって仮面の中からやけど澄んだ瞳を向ける。
「俺が生んだ卵やないんです。後、竜人の卵でも無いです。お助けアイテムなので、説明を聞いてから受け取るかどうか決めて下さい。」
「お、おう。大丈夫か?誤解して悪かったが、生きてるか…?」
瀕死です!なんなら、ついでに泣きます!
「はい…っ!」
「泣くなって!おい!?」
その後、泣き出した俺にウンエントリヒさんが手拭いみたいな布を貸してくれ、びちょびちょにしてもうたのに、卵は大事そうに無事に受け取って貰えて良かったのか、悪かったのか…。
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