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3章
78.「救援」
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街は相変わらず騒がしいままやったけど、ルツとリベラのお陰で港には無事に着いた。
でも、待てど暮らせどフォルクとヴィーダーさんが一向に戻ってこうへん。
なんかあった、それだけは間違いなかった。
「リベラ、悪いねんけど二人を迎えに行きたい。」
「ダイチ…、実は…」
歯切れの悪い様子に反対されるのは当たり前やと思ってたんやが、そうや無くて、先手を打つようにフォルクから指示があったと教えられる。
黙ってても良かったやろうに詳細を明かしてくれ、リベラは俺に選ばせてくれる様子やった。
「強引にでもダイチとクライを『土の国』へ連れて行こうかとも迷ったんだけど…、アインにさ。無理矢理、国に戻された時の事思い出しちゃって。凄く悲しくて、腹立たしかった…どうして一緒に戦わせてくれないんだって。彼の気持ちも分かるけど、好きな人の事が大事なのはこっちも一緒だ。」
「リベラ…。」
「俺は今、凄く後悔してる。半殺しにしてでも傍にいれば良かったって。」
「うん…半殺しはあかんけど、気持ちは同じや。」
「本当に危なければ俺が責任を持って逃がすから、助けに行こう。」
「ほんまにありがとうな、リベラ!」
決断すると【無敵の盾】を周囲に展開させてルツに現場へ超特急で向かって貰う。
クライを危険に巻き込む事だけが今更ながらに不安やったけど、俺が気張れば結界は破れん。
絶対に傷つけさせへんと心に誓い、街の上空をリベラの案内で迅速に進むと異様な光景が見えて来た。
商業地区と思われる建物群の一部ではあるが木っ端微塵に破壊された大きな建物。
多分、ウンエントリヒさんの商会事務所があった場所やないんかと顔が引き攣り、周囲も地面が抉れたり、穴が空いてたり、半壊してる建物が幾つか見える。
この時点で頭を抱えたくなったのは言うまでも無いけど、そんな場合や無い。
フォルクとヴィーダーさんを探すと直ぐに見つけられて、二人共生きてる事に一先ず安堵した。
「良かった!」
怪我はしてるかもしらんけど、生きてるならなんぼでも回復させたらええ。
安心しながらも二人を取り囲んでる竜人が三人いる事に首を傾げ、更に一人は全身血塗れやし、残る二人もそれなりに負傷してる。
思った程、心配する必要も無かったんかと思い、そのまま距離を詰めると全身血塗れの男がこっちを向いた。
射殺すような殺気を含んだ瞳と視線が合い、間髪入れずに飛躍して来る。
「ダイチ!」
「任せて!」
リベラの声に攻撃が来ると分かり、気を張った瞬間、鋭い剣撃が結界を大きく揺らす。
しかも、どうやったんか【無敵の盾】に取り付くと攻撃が何度も繰り返される。
剣で始まり、力を入れすぎたんか直ぐに剣が折れて使い物にならなくなったら次は拳で結界を揺さぶられる。
一発一発が重いんか、不気味なまでの反響音と衝撃波が外部で広がって息を呑む。
しかも、拳で駄目やと気づいたら【水魔法】も加えて襲い掛かって来た。
ボロボロの血濡れの姿に手段を選ばん攻撃、余りの必死さにポカンと口を開けそうになって、止める。
結界がどうやっても破れんと分かると周囲の空気が一気に変わったからや。
なんか、本能的にまずいんちゃうかと思った瞬間、男が結界から引き剥がされて物凄い速度で空中に投げ飛ばされた。
「ダイチニ、近ヅクナ!!!!」
「フォルク!」
顔に血管が浮かぶくらい怒ってるフォルクが来てくれて、嬉しいような申し訳ないようなと思いながらも叫んだ。
「フォルク!迎えに来たんや!皆で逃げよう!」
「ダイチ…ッ、分カッタ。」
不甲斐無いとでも思ったんか、苦渋に満ちた顔を一瞬浮かべられたんやけど直ぐに優しく困ったように微笑まれて緊急事態やのにドキッとしてもうた!
あかんあかん!と、首を左右に振ったらフォルクが空に向かって大きめの火球を幾つも飛ばす。
さっきの人への牽制なんやろう、その後、直ぐに二人の竜人に囲まれて戦ってるヴィーダーさんとの間にも割って入って、ヴィーダーさんを連れて飛んで戻って来てくれる。
フォルクの肩に片腕を回し、足に足を掛けて乗ってるヴィーダーさんは全身水に濡れてるし、呼吸も荒い。
怪我してるんは明らかやねんけど、それよりも滅茶苦茶機嫌が悪いのが気になった…。
「ぶっ殺してぇ…。」
ああ、激おこやのに殺人衝動を堪えてくれたんですね!相手が相手ですしね!
倒したら倒したで国際問題やしなと、ヴィーダーさんの新たな成長に感動も覚えながら二人を結界内に入れた時やった。
「あぁああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
大絶叫と共に青い閃光が視界を埋め尽くす。
思わず目を瞑り、強い光が収まったと同時に目を開けると…街を覆い尽くさんばかりに馬鹿でかい…竜が目の前で唸ってた…。
でも、待てど暮らせどフォルクとヴィーダーさんが一向に戻ってこうへん。
なんかあった、それだけは間違いなかった。
「リベラ、悪いねんけど二人を迎えに行きたい。」
「ダイチ…、実は…」
歯切れの悪い様子に反対されるのは当たり前やと思ってたんやが、そうや無くて、先手を打つようにフォルクから指示があったと教えられる。
黙ってても良かったやろうに詳細を明かしてくれ、リベラは俺に選ばせてくれる様子やった。
「強引にでもダイチとクライを『土の国』へ連れて行こうかとも迷ったんだけど…、アインにさ。無理矢理、国に戻された時の事思い出しちゃって。凄く悲しくて、腹立たしかった…どうして一緒に戦わせてくれないんだって。彼の気持ちも分かるけど、好きな人の事が大事なのはこっちも一緒だ。」
「リベラ…。」
「俺は今、凄く後悔してる。半殺しにしてでも傍にいれば良かったって。」
「うん…半殺しはあかんけど、気持ちは同じや。」
「本当に危なければ俺が責任を持って逃がすから、助けに行こう。」
「ほんまにありがとうな、リベラ!」
決断すると【無敵の盾】を周囲に展開させてルツに現場へ超特急で向かって貰う。
クライを危険に巻き込む事だけが今更ながらに不安やったけど、俺が気張れば結界は破れん。
絶対に傷つけさせへんと心に誓い、街の上空をリベラの案内で迅速に進むと異様な光景が見えて来た。
商業地区と思われる建物群の一部ではあるが木っ端微塵に破壊された大きな建物。
多分、ウンエントリヒさんの商会事務所があった場所やないんかと顔が引き攣り、周囲も地面が抉れたり、穴が空いてたり、半壊してる建物が幾つか見える。
この時点で頭を抱えたくなったのは言うまでも無いけど、そんな場合や無い。
フォルクとヴィーダーさんを探すと直ぐに見つけられて、二人共生きてる事に一先ず安堵した。
「良かった!」
怪我はしてるかもしらんけど、生きてるならなんぼでも回復させたらええ。
安心しながらも二人を取り囲んでる竜人が三人いる事に首を傾げ、更に一人は全身血塗れやし、残る二人もそれなりに負傷してる。
思った程、心配する必要も無かったんかと思い、そのまま距離を詰めると全身血塗れの男がこっちを向いた。
射殺すような殺気を含んだ瞳と視線が合い、間髪入れずに飛躍して来る。
「ダイチ!」
「任せて!」
リベラの声に攻撃が来ると分かり、気を張った瞬間、鋭い剣撃が結界を大きく揺らす。
しかも、どうやったんか【無敵の盾】に取り付くと攻撃が何度も繰り返される。
剣で始まり、力を入れすぎたんか直ぐに剣が折れて使い物にならなくなったら次は拳で結界を揺さぶられる。
一発一発が重いんか、不気味なまでの反響音と衝撃波が外部で広がって息を呑む。
しかも、拳で駄目やと気づいたら【水魔法】も加えて襲い掛かって来た。
ボロボロの血濡れの姿に手段を選ばん攻撃、余りの必死さにポカンと口を開けそうになって、止める。
結界がどうやっても破れんと分かると周囲の空気が一気に変わったからや。
なんか、本能的にまずいんちゃうかと思った瞬間、男が結界から引き剥がされて物凄い速度で空中に投げ飛ばされた。
「ダイチニ、近ヅクナ!!!!」
「フォルク!」
顔に血管が浮かぶくらい怒ってるフォルクが来てくれて、嬉しいような申し訳ないようなと思いながらも叫んだ。
「フォルク!迎えに来たんや!皆で逃げよう!」
「ダイチ…ッ、分カッタ。」
不甲斐無いとでも思ったんか、苦渋に満ちた顔を一瞬浮かべられたんやけど直ぐに優しく困ったように微笑まれて緊急事態やのにドキッとしてもうた!
あかんあかん!と、首を左右に振ったらフォルクが空に向かって大きめの火球を幾つも飛ばす。
さっきの人への牽制なんやろう、その後、直ぐに二人の竜人に囲まれて戦ってるヴィーダーさんとの間にも割って入って、ヴィーダーさんを連れて飛んで戻って来てくれる。
フォルクの肩に片腕を回し、足に足を掛けて乗ってるヴィーダーさんは全身水に濡れてるし、呼吸も荒い。
怪我してるんは明らかやねんけど、それよりも滅茶苦茶機嫌が悪いのが気になった…。
「ぶっ殺してぇ…。」
ああ、激おこやのに殺人衝動を堪えてくれたんですね!相手が相手ですしね!
倒したら倒したで国際問題やしなと、ヴィーダーさんの新たな成長に感動も覚えながら二人を結界内に入れた時やった。
「あぁああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
大絶叫と共に青い閃光が視界を埋め尽くす。
思わず目を瞑り、強い光が収まったと同時に目を開けると…街を覆い尽くさんばかりに馬鹿でかい…竜が目の前で唸ってた…。
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