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3章
72.「出発」
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流石、フォルク先生の的確な指導を受けて短時間ながらも効果的なスリムアップを実現!じゃなくて、有意義な鍛練になった。
基本的な使い方と簡単な応用編、何より使い慣れるってのが一番重要で、体が覚えるまで訓練するのが良いって結構長い時間丁寧に付き合ってもらった。
後、専門じゃないけど見た方が分かり易いからってフォルクが前置きして槍の扱い方を実地で見せてくれたんやけど!
めっちゃ、格好良かったです……!!!!
すんて真顔になる程度には振るい方とか突き方に力強さと速度があって、正直、突き刺さんでも振り抜いただけで敵を何体か吹っ飛ばして戦闘不能に出来るんやないかと力量の差を感じつつも滅茶苦茶参考になった。
そんなこんなで、ノーモア夜這い発言の為に真面目に俺らが鍛錬している横で、上手いこと攻撃をかわしたり、いなしたりしつつも相手がヴィーダーさんていう強みが深い相手にリスムスさんは若干ボロボロにされてた…。
一段落着く頃に健闘したリスムスさんに【癒しの光】を使ってからお茶飲んで休憩してたら、ゼーゲルさんが書状を持って訪ねて来てくれた。
「待たせてすまない。急ぎ認めたので確認を頼みたい。」
ゲルダさんに断りを入れて食堂を借り、テーブルに広げられた書状を皆で見た所、大まかに挨拶文と名乗り、目上に対する者への突然の書状なんで非礼を詫びて経緯の説明、協力を求める内容で締めて中隊長の印が押されてた。
特に内容に問題は無いんで、三通書いてくれた分をリスムスさんが受け取り、更に別途、ゼーゲルさんの方でも各所に送れる分は送ってくれるとの事やった。
んで、此処で問題になったのがこの書状を誰に渡すかやってんけど、リスムスさんとゼーゲルさんが解決してくれる。
「一通はヘルヘーニル当主、ルイヒ・ヘルヘーニル様だ。あの方は聡明で知られている、書状を見れば何かしら考えて動いて下さるだろう。」
「そうね。私の上司経由で渡せるだろうから、そこは外せないわ。二通目は海運王こと、ウンエントリヒ様ね。」
「…ん?ウンエントリヒ?確かなんかフォルクがお世話になったって言ってた人やっけ…?」
「アア、ソウダ。」
「あら、そうなの?偶然ね。『青の国』では有名な方で、六柱…竜王の側近の一人にお姉様がいらっしゃるのよ。折角だから、姉弟共々巻き込んでやろうと思って。」
うふふって感じで、可愛らしくも黒い気配を漂わせるリスムスさんを見て、この人敵に回したらあかんなと深々思いながら頷く。
「後は…ロヤリテート家の当主にでも叩きつけたい所なのだけれど、不確定要素として一つは所持して置いて困った時に使うってのが定跡かしら。」
「いや待て、俺の家を潰す気か。あくまで、この書状は呼び水になるかもといった程度で効果は薄いと考えて置いてくれ。どうにも情報部は手段を選ばない所がある、無茶をしそうになったら止めてくれ。」
ゼーゲルさんに真顔で頼まれたんやけど、そもそも事情が分からんて!
話を理解する為にも素直に質問しとく事にした。
「すいませんが、ロヤリテート家って何ですか?」
「側近筆頭の一族だ。代々、仕えているのはどの家も同じなのだが、最大派閥で信仰も厚い。竜王様が体調を崩されてからは特にだが、実権を握っているような一族だ。」
「なるほど、つまり実質国一番の権力者にゼーゲルさんの名前で喧嘩売ろうとしてると?流石に体張って止めますわ。」
てへって顔しても駄目ですよ!て、リスムスさんを叱ったらゼーゲルさんに感謝されて、再度手厚く頼まれた。
ゼーゲルさんの信頼度が上がったよ!て、謎の文面が脳裏に浮かんでるとリスムスさんも真顔になる。
「冗談は置いておいて、余り敵に回したくない相手なのよね。どうにか懐柔して協力して貰えれば良いのだけれど。」
「難しいだろうな、こと竜王様を守るに関しては意見を曲げない。忠誠心は高いが融通が利き難い。」
「うっすらそういう話は聞いてましたけど、厄介ですね。」
正直、書状では歯牙にも掛けて貰われへんやろなと俺も真顔で考え込み、特にこの場では具体的な意見が出やんかったんで明確な部分だけ先に出しとく事にした。
「一先ず、王都に行く前にウンエントリヒさんに会いたい所ですね。」
「『マールシュトローム』ニ居ルダロウカ?」
「本拠地だからいるとは思うけれど行ってみないと分からないわね。会えない場合はヘルヘーニル様同様にお姉様の方に書状を送って貰うわ。」
「なるほど、それやったら最悪の場合でも問題少なそうですね。」
「ええ、じゃあ少し最短の経路を外れるのだけれど次は『マールシュトローム』に向かいましょうか。案内は問題ないから任せて頂戴。」
リスムスさん頼りになるなと改めて思いつつ、一応の方針は決まったんで予定通り治療院にその後向かう流れになった。
治療自体は『ゼーヴィント』より規模が小さかったのと今までの経験も生かしつつ、治療院内を効率良く回れ、自宅療養の方の所には翌日朝一で回って治療は完了した。
勿論、出発前に安置所にも立ち寄って【浄化】を念入りに行い、孤児院でゲルダさんとハイディさんと子供達にお別れを言って別れる場面になって俺とリスムスさん、ゲルダさんとハイディさんと子供達は涙ぐむか泣いたよね。
フォルクとヴィーダーさんはそれぞれの対応で宥める側に回ってくれ、落ち着いたらまた顔出しますって後ろ髪を引かれつつ別れた。
港ではゼーゲルさんとザシャさん筆頭に兵士の方に見送られて日が落ちる前に次の目的地の『マールシュトローム』に向かって出発したんやけど…。
まさか、そこであんな事態になるとはこの時想像もせず、呑気に抱っこ紐に包んだクライを落とさんように飛ぶのに必死やった。
基本的な使い方と簡単な応用編、何より使い慣れるってのが一番重要で、体が覚えるまで訓練するのが良いって結構長い時間丁寧に付き合ってもらった。
後、専門じゃないけど見た方が分かり易いからってフォルクが前置きして槍の扱い方を実地で見せてくれたんやけど!
めっちゃ、格好良かったです……!!!!
すんて真顔になる程度には振るい方とか突き方に力強さと速度があって、正直、突き刺さんでも振り抜いただけで敵を何体か吹っ飛ばして戦闘不能に出来るんやないかと力量の差を感じつつも滅茶苦茶参考になった。
そんなこんなで、ノーモア夜這い発言の為に真面目に俺らが鍛錬している横で、上手いこと攻撃をかわしたり、いなしたりしつつも相手がヴィーダーさんていう強みが深い相手にリスムスさんは若干ボロボロにされてた…。
一段落着く頃に健闘したリスムスさんに【癒しの光】を使ってからお茶飲んで休憩してたら、ゼーゲルさんが書状を持って訪ねて来てくれた。
「待たせてすまない。急ぎ認めたので確認を頼みたい。」
ゲルダさんに断りを入れて食堂を借り、テーブルに広げられた書状を皆で見た所、大まかに挨拶文と名乗り、目上に対する者への突然の書状なんで非礼を詫びて経緯の説明、協力を求める内容で締めて中隊長の印が押されてた。
特に内容に問題は無いんで、三通書いてくれた分をリスムスさんが受け取り、更に別途、ゼーゲルさんの方でも各所に送れる分は送ってくれるとの事やった。
んで、此処で問題になったのがこの書状を誰に渡すかやってんけど、リスムスさんとゼーゲルさんが解決してくれる。
「一通はヘルヘーニル当主、ルイヒ・ヘルヘーニル様だ。あの方は聡明で知られている、書状を見れば何かしら考えて動いて下さるだろう。」
「そうね。私の上司経由で渡せるだろうから、そこは外せないわ。二通目は海運王こと、ウンエントリヒ様ね。」
「…ん?ウンエントリヒ?確かなんかフォルクがお世話になったって言ってた人やっけ…?」
「アア、ソウダ。」
「あら、そうなの?偶然ね。『青の国』では有名な方で、六柱…竜王の側近の一人にお姉様がいらっしゃるのよ。折角だから、姉弟共々巻き込んでやろうと思って。」
うふふって感じで、可愛らしくも黒い気配を漂わせるリスムスさんを見て、この人敵に回したらあかんなと深々思いながら頷く。
「後は…ロヤリテート家の当主にでも叩きつけたい所なのだけれど、不確定要素として一つは所持して置いて困った時に使うってのが定跡かしら。」
「いや待て、俺の家を潰す気か。あくまで、この書状は呼び水になるかもといった程度で効果は薄いと考えて置いてくれ。どうにも情報部は手段を選ばない所がある、無茶をしそうになったら止めてくれ。」
ゼーゲルさんに真顔で頼まれたんやけど、そもそも事情が分からんて!
話を理解する為にも素直に質問しとく事にした。
「すいませんが、ロヤリテート家って何ですか?」
「側近筆頭の一族だ。代々、仕えているのはどの家も同じなのだが、最大派閥で信仰も厚い。竜王様が体調を崩されてからは特にだが、実権を握っているような一族だ。」
「なるほど、つまり実質国一番の権力者にゼーゲルさんの名前で喧嘩売ろうとしてると?流石に体張って止めますわ。」
てへって顔しても駄目ですよ!て、リスムスさんを叱ったらゼーゲルさんに感謝されて、再度手厚く頼まれた。
ゼーゲルさんの信頼度が上がったよ!て、謎の文面が脳裏に浮かんでるとリスムスさんも真顔になる。
「冗談は置いておいて、余り敵に回したくない相手なのよね。どうにか懐柔して協力して貰えれば良いのだけれど。」
「難しいだろうな、こと竜王様を守るに関しては意見を曲げない。忠誠心は高いが融通が利き難い。」
「うっすらそういう話は聞いてましたけど、厄介ですね。」
正直、書状では歯牙にも掛けて貰われへんやろなと俺も真顔で考え込み、特にこの場では具体的な意見が出やんかったんで明確な部分だけ先に出しとく事にした。
「一先ず、王都に行く前にウンエントリヒさんに会いたい所ですね。」
「『マールシュトローム』ニ居ルダロウカ?」
「本拠地だからいるとは思うけれど行ってみないと分からないわね。会えない場合はヘルヘーニル様同様にお姉様の方に書状を送って貰うわ。」
「なるほど、それやったら最悪の場合でも問題少なそうですね。」
「ええ、じゃあ少し最短の経路を外れるのだけれど次は『マールシュトローム』に向かいましょうか。案内は問題ないから任せて頂戴。」
リスムスさん頼りになるなと改めて思いつつ、一応の方針は決まったんで予定通り治療院にその後向かう流れになった。
治療自体は『ゼーヴィント』より規模が小さかったのと今までの経験も生かしつつ、治療院内を効率良く回れ、自宅療養の方の所には翌日朝一で回って治療は完了した。
勿論、出発前に安置所にも立ち寄って【浄化】を念入りに行い、孤児院でゲルダさんとハイディさんと子供達にお別れを言って別れる場面になって俺とリスムスさん、ゲルダさんとハイディさんと子供達は涙ぐむか泣いたよね。
フォルクとヴィーダーさんはそれぞれの対応で宥める側に回ってくれ、落ち着いたらまた顔出しますって後ろ髪を引かれつつ別れた。
港ではゼーゲルさんとザシャさん筆頭に兵士の方に見送られて日が落ちる前に次の目的地の『マールシュトローム』に向かって出発したんやけど…。
まさか、そこであんな事態になるとはこの時想像もせず、呑気に抱っこ紐に包んだクライを落とさんように飛ぶのに必死やった。
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