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2章
57.「戯れと宴会」
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毎回、神様と会話する度に精神力がゴリゴリゴリゴリ削られるのはなんでやろうか…。
そして、遂に往復ビンタとぐーぱんをやらかしてもうた…ごめんな、フォルク!もしなんか報復されそうになったら全力で守るから!
て、半分真剣に思いながらもなんやかんやと怒らん神様が想像できて、むず痒い微妙な気分になっ…てたまるか!
「ダイチ!?」
パァン!て勢いよく両頬を叩いたんで後ろで様子を伺ってたフォルクを驚かせてもうた。
たはは~て気まずい感じで振り返りつつも伝えなあかん重大な報告がある。
「ごめん、ちょっとおちょくられたから気合い入れ直しただけやねん。それより朗報やで!【解呪】スキル上げて貰えたから呪いの軽減がまたできる!」
「本当カ!?」
「勿論や!モチのロンとも言うて…それは横に置いといて。ほら、エリアボス倒したやろ?そこらの魔獣とはレベルちゃうと思ってたからポイントも大幅に入ってスキルも上がるんやないかと聞いてみたら案の定ってやつやな。」
死語ネタを挟みそうになりながらも意気揚々とザックリ説明したら賢いフォルクは直ぐに理解してくれたみたいや。
何度も頷いて、頷き切った後に『グルルル』と唸り出したのは予想外やったけど、てっきり手放しで喜んでくれると思ってたから悩んでる様子に首をめっちゃ傾げる。
「どうしたん?なんか問題でもあった?」
「アア、マダ今直グニハ【解呪】シナイ方ガ良イト思ッテナ。前回ハ、大キサガ変化シタダロウ?今回モ見タ目ガ変ワル様ナラバ説明ガ面倒ダ。」
「なるほど!確かに皆に従魔やって言ってるし、いきなり見た目が変わったりしたらどうしたんってめちゃめちゃ詮索されるわな…そう考えると皆と別れた後の方がええか…。」
最もな意見に納得しながら自分の言葉に寂しくなった。
『土の国』はこれで一応安定していくやろうからそう遠くない内に別れて次の旅立ちになる…エーベルさんの時も悲しかったけど、今度もまた会いに来て良いって約束しとかな絶対号泣する自信がある。
うーんて俺まで悩み出してたらフォルクがしょんぼりした様子で呟いた。
「…ソレニ…、ダイチハコノ姿ガ好キダロウ……?」
「…ん?え?」
考えに沈み掛けてた意識が一気に浮上したのは言うまでもない。
何やら目の前の相棒は斜め上な方向に誤解して悩んでるように見えたからや。
「フォルク…もしかせんでも、俺がその姿好きやから【解呪】するの嫌やな~とか考えてる?」
「………………。」
「フォルクさん、はいかいいえで言うなら?」
「………………。」
「ほら正直に!絶対に怒らんから。」
「………………ハイ。」
地味に遣り取りが楽しかったんで引っ張ったけど、感情が分り易くなってるフォルクの視線は最初から左右へ泳ぎに泳いでた。
自白したんでこれ以上は遊ばんけど誤解だけは早急に解いとかなあかん。
「あんな、そりゃ好きか嫌いかって聞かれたら迷い無く好きやけど、でも俺は出来るだけ早くフォルクが元の姿に戻れる方が何倍も嬉しいねん。姿変わっても中身はフォルクなんやから絶対嫌いになったりせぇへんし、寧ろこっちの好み気にして元に戻らんとか言われたら…悲しいねんけど…。」
「ッ……スマナイ!ソンナツモリデハ無カッタンダ…デモ…本当ニ、スマナイ……。」
「ええねんて。誤解させてたこっちも悪いし相殺ってことにして貰われへん?んで、ちゃんと元に戻って。元の姿のフォルクに俺は会いたい。」
「アア、分カッタ…。アリガトウ、ダイチ。」
「うん、こっちこそ分かってくれてありがとうな、嬉しい。」
無事に和解が出来てほんまに良かった。
出会った頃はめちゃめちゃ自分の変化した外見気にしてたのに俺が気にせんてか寧ろ好き好きアピールをし過ぎたせいの弊害で本末転倒する所やった。
一先ず、皆と別れ済ませてから人気の無い所探して【解呪】しようって事で話は落ち着いた。
そしてその日は【浄化】で二人の体を清めた後、もう何もする気にならんかったんでフォルクに凭れてぐで~んと過ごした。
翌日、宴は夕方からで時間になったら案内してくれるって執事さんが朝食と一緒に伝言を届けてくれたんで時間になるまでフォルクを労う事にした。
自分が触れ合って癒されたいって下心もあったけど実際頑張ってくれたし、最近は色々あり過ぎて二人の時間が少なかったからちょうど良いやろ。
執事さんにお願いしてたっぷりのお湯と布、櫛を用意して貰ってからまず濡らして絞った布で体を拭いていく。
王都に来た時に体拭いたら喜んでくれてたし、分厚い肉球や綺麗な鱗、鋭い爪とか格好良い尻尾を一心不乱に磨いてるとほんまに心が洗われる。
贅沢を言えば浴槽に入れたいんやけどフォルクを入れられる入浴施設が『土の国』に無い。
おまけに水不足気味やったんで飲料や料理、医療に優先して回してたんで体拭けるだけでも贅沢やったらしい。
まあ、今後は回復して行くってか現在進行形で回復してるんで問題はないやろ。
「でも、温泉とかあったら一緒に入りたいな~。フォルク、お湯が噴き出したり湧き出したりする場所とか施設って知らん?」
「湯ガ…ソウダナ、施設トマデハイカナイガ『赤ノ国』ニアル。火ノ山ヤ火ノ水域ガ多クアリ、人ノ入レナイ物モアルガ入レル物モ国内ニ有ッタ。」
「おお!まさにそれや!そっか、火山があるんやったら間違いなく温泉もあるな。俺の故郷も火山大国やったんやけどフォルクの故郷もそうやってんな、一緒で嬉しい。」
思わぬところから共通点が見つかってはしゃいでもうた。
喜んでたらフォルクも嬉しかったんか尻尾が揺れて絨毯にペシペシと何度も当たる。
また、国に着いた時に暇見て案内してくれるって言うんで心からお願いしといた。
温泉の予約が終わったんで次は鬣のブラッシングも開始する。
一本一本が細くて滑らかな手触りに目を細めつつ赤い毛を丁寧に梳かして行く。
「フォルクの髪って勿論赤いんやでな?」
「アア、『赤ノ民』デアル父ト同ジ色デ腰ノ辺リマデ伸バシテイタ。」
「長髪やってんな、似合いそうや。」
「似合ウカドウカハ分カラナイガ、少量ノ魔力ヲ溜メテ置イテ媒介ニシタリ贄ニモ使エルノデ便利ダ。」
「媒介に贄?贄って…もしかせんでも、生贄の?」
「ソウダ、例エバ火魔神ト契約シテイタノダガ、契約スル際ヤ召喚スル際ニ魔力ト一緒ニ髪ノ一部モ与エルト喜ブ。本当ハ肉体ヤ魂ノ方ガ良インダロウガ、ソレハ流石ニ渡セナイノデ古来ヨリ髪ト魔力ヲ代償ニスル。」
「マジか!?」
何故か一瞬エーベルさんの従魔のシュティが至福そうに主人の髪をモッシャモッシャ食べてるイメージが湧いて小刻みに頭を振った。
確かに召喚の度に体とか魂削られてたらやってられへんし、髪の一部で代用できるんやったらそれに越した事はないけどフォルクの火魔神が髪をモッシャモッシャしてたらなんか…なんかー!!!!
俺は恐る恐るフォルクに真実を確かめる事にした…。
「因みにその髪って…?」
「多分、糧ニシテイルト思ウガ。」
全く気にした風もなくフォルクは答えてくれたけど盛大に絨毯へ崩れ落ちた。
やっぱり食っとんかいー!!!!この世界の生物て!いや、仕方ないんやろうけどなんか!なんかー!
誰にぶつけて良い憤りなんか、そもそも食うか食われるかは世界の摂理かとも迷走しつつ時間は流れて行った。
フォルクと他愛ない…他愛なかったかな?
新たなビックリ情報を得ながらその後も楽しく過ごしてたらあっと言う間に宴の時間になって執事さんが迎えに来てくれた。
一応、正装とかはせんで良いらしく流石にローブは脱いだけど神様普段着のまま簡単に身支度だけ整えて着いて行く。
因みに食欲は相変わらず無いものの、フォルクも参加してええって言われたんで喜び勇んで一緒に会場へと向かった。
「おお!豪華ですね!」
案内されたんは西洋風の宴会場な部屋で長いテーブルに白いテーブルクロスが掛けられてて人数分の黒い椅子がズラーっと並んでる。
テーブルの上には各種のパンにステーキ、ローストチキンみたいなんと豚か猪っぽい生物の…どう見ても丸焼きが生々しくてすっと視線を次に移したけど美味しそうなポタージュスープに野菜の蒸し焼きや果物の盛り合わせと酒類が沢山準備されてた。
更に部屋の飾りつけがされてるんやけど色取り取りの花々が壁際に置かれた幾つもの大きい花瓶に目一杯力強く華やかに生けられてて感動した。
「まだやる事があるのは分かってるんやけど、なんか感無量やわ…。」
「ソウダナ、俺モ感動的ダト思ウ。」
何度もうんうんと頷いて入口で立ち止まってたら頭を上からガシッと掴まれた。
加減されてるのと掴んだ後は程よく指圧されてあ~そこそこ、頭皮のマッサージって何げに気持ち良いよなって違う違う!
「ヴィーダーさん!微妙に進歩はしてるもののなんで普通に挨拶できんのですか!?」
「なんでだろうな?」
疑問で返されても知らんけどなんかツッコミ気質のヴィーダーさんがボケも学びつつあるのが末恐ろしい。
一体誰に毒されてるんや…世の中怖いな。
「何戯れてるの?後がつっかえてるんだから進んで進んで。」
シェーンさんが後ろの方からキビキビと指示を飛ばしてくれるんで進もうとしたら、誰かの両手がまるで羽のように優しく背中に触れて押してくれる。
「出発進行ですね。僕が押しますので進んで下さいダイチさん。」
「もちろんやで!」
ああ、可愛い可愛い可愛いレオがって言ったらなんかもう変態ちっくな響きがあるけど、天使みたいな可愛さって堪らんねんとデレデレ萌え萌えしながら何処まででも進んで行きそうになってたら執事さんが椅子引いて冷静に着地点を教えてくれた。
右端の席に着席したら直ぐ近くの絨毯にフォルクが座り左横にヴィーダーさん、その横にレオとシェーンさんが着いてその後に入って来たライゼとトレラントさんが並んで座り、俺の右横ってか上座にあたる席にヴェルデ様、正面にウィプキングさんとユヴェーレン君、その横に謎の美女とクレーさん、レーヴェさんにベツァオさんがちょこんと座ってて二度見したら手を振られたんで振り返しといた。
面子としては以上らしく全員が集まると扉を侍女の人が静かに閉めて、ヴェルデ様が酒の入った陶器の杯を掲げたんで皆や俺もそれに習う。
「皆、此度の働き誠に感謝している。ささやかではあるが勝利の宴を楽しんで欲しい、乾杯!」
「乾杯!」
「勝利に!」
「未来に!」
「平和に!」
「祝福を!」
皆、思い思いの言葉を次々と口にしながら杯を重ねて打ち鳴らして行く。
わっと一通り盛り上がってから透明のお酒に口をつけて一口煽ると口の中に爽やかな果実の甘さと香りが広がってめちゃめちゃ美味しい。
アルコールは軽めな感じで白ワインみたいな飲み口ってのが一番感じとして近いか、とにかく良いお酒ってのが一発で分かる代物や。
「気に入って貰えたようじゃの。」
上機嫌でホクホクしてたら向かいの席のウィプキングさんが嬉しそうにこっちを見てた。
「はい、とっても美味しいです。」
「良かったですわね、お義父様。ダイチさんの為に酒蔵で長い時間悩んでらっしゃったの。」
「む、それは内緒のお約束じゃろ。そうだ、紹介が遅れてしまったがヴェルデの妻のアルベルタ・ラントヴィルトシャフトと言う。」
謎の美女の正体はまさかの王妃様やった。
少し青みがかった濃い茶系の長髪をポニーテールにしてて瞳は同色、目端が切れ上がってるんでクールビューティーな印象を一瞬受けるんやけど笑顔が素敵で好奇心いっぱいの元気なおねーさんて感じがとてもする。
しかも、衣装がドレスとかじゃなくて白いシャツに黒のベストとジャケットとベルト、下は乗馬で着そうなピッタリした白いズボンに黒のロングブーツを履いてて何処の貴公子ですかやった。
「ご挨拶が遅れてしまい申し訳ありません。実は私兵達と共に魔獣討伐をしておりまして王都への帰参が本日になりました。此度は多大な尽力、心より感謝致しております。」
「いえ、こちらこそお気持ちは有り難く頂きますが利害の一致ですしお気になさらずと…それよりも魔獣討伐されてたんですか?」
ウィプキングさんの奔放さにもビックリはしたけどまさかヴェルデ様の奥さんのアルベルタ様も似たようないや、寧ろ大分危ない事してたんやないやろか。
「妻は元騎士で腕も立つのだが…正直、ダイチ殿のお陰で私の胃も救われた。」
「まあ、大丈夫ですの?貴方様は見かけによらず繊細ですからお気をつけ下さいませ。」
「そうじゃの余り無理をして倒れられては困る、程ほどにな。」
冗談なんか本気なんかどちらにしても原因になってた二人の気遣いにヴェルデ様の表情は引き攣っとった。
俺にはこの二人を止められる自信が全く無かったんで、がんばと心からの軽いエールを贈っといた。
謎も解けた所で参加したがってた大臣や貴族なんかもおらんし無礼講って事でどんどん飲んで食べろって事で盛り上がった。
特に宴会好きってかお酒好きなシェーンさんは途中から涙を浮かべて酒瓶を我が子のように大事に大事に抱いて頬ずりし出す始末。
「ああもう、やっと…やっと平和にお酒が飲める目処が立って良かったわ。状況は悪くなるばかりだったし…本当に、本当にありがとうダイチ。仲間も無事で…もう何も言う事はないわ。」
「どう致しまして。そして、シェーンさんも長い間頑張ってめちゃめちゃ偉かったですよ。これからはまたゆっくり皆とお酒飲む時間も楽しんで下さいね。」
数年間、先の見えない戦いに身を置いて重圧は半端なかったやろう。
俺が言うのは偉そうかもやけど褒めてもええやろうと労ったらシェーンさんはぼろぼろと本格的に泣き出したー!
ここですっとハンカチ出してスマートに慰められたら男前なんやろうけど俺は普通に慌てて、イケメンの素養がありまくるレオが代わりにハンカチ取り出して渡してくれる。
「シェーンさんは相変わらずですね。」
「だって…だって…」
ちょっと良い雰囲気かなとか思ったんやけど、真っ赤な顔してずびーっと鼻水を思いっきり啜るシェーンさんの姿にどちらかと言うと可笑しくてほっこりした気分になった。
侍女さんがタオルも持って来て背中摩ったり甲斐甲斐しく世話し出したんで、他の人に視線移したら何故かトレラントさんが貰い泣きしてる。
「大丈夫ですか、トレラントさん…?」
「ああ、シェーンを見てたら今までの苦労が…なんか、泣くつもりは無かったんだが…。」
言いながらボタボタと涙が落ちてます。
拭くもん差し出そうとしたら今度は正真正銘のイケメンなライゼが指でトレラントさんの目元の涙を拭った。
手元に布が無かったからやと思うけど、一瞬にして形容し難い雰囲気になったのは色気満載のライゼやからやろうか。
トレラントさんはビックリしたんか涙は引っ込んだものの手で濡れた頬も交互に拭われて最早固まってた。
おまけに拭った手とは反対の手で頭をよしよしポンポンと撫でられる。
「よく頑張ったな、トレラント。偉かったぞ。」
「………………。」
うん、はい、精神年齢高いせいやとは思うけど完全に子供扱いで労ってますね。
トレラントさんはめちゃめちゃ複雑な顔して今度は落ち込み出したんやけど周囲の人らにはウケてもうて笑われてた、可哀想に…なーむ。
「うふふふふ、皆様本当に面白いですわね。」
「ですね。本当に仲が宜しくて羨ましい限りです。」
「素晴らしい仲間達で私も誇らしい。」
ベツァオさん、クレーさん、レーヴェさんの大人組は適度にお酒が回ってるせいか上機嫌で微笑ましそうに頷いてる。
ウィプキングさんとユヴェーレン君、アルベルタ様にヴェルデ様もにこにこしててフォルクも雰囲気を楽しんでくれてるんか尻尾が緩やかに揺れてて可愛らしい。
ヴィーダーさんはどうかなと視線移したら穏やかに皆の様子を眺めてて、何故か心の底から安心した。
「良かったですね、ヴィーダーさん…。」
「ああ…そうだな。」
呟きに薄く笑って返されて俺も笑顔になる。
明日からまた忙しくなるやろうけど今は暖かな一時を目一杯満喫した。
そして、遂に往復ビンタとぐーぱんをやらかしてもうた…ごめんな、フォルク!もしなんか報復されそうになったら全力で守るから!
て、半分真剣に思いながらもなんやかんやと怒らん神様が想像できて、むず痒い微妙な気分になっ…てたまるか!
「ダイチ!?」
パァン!て勢いよく両頬を叩いたんで後ろで様子を伺ってたフォルクを驚かせてもうた。
たはは~て気まずい感じで振り返りつつも伝えなあかん重大な報告がある。
「ごめん、ちょっとおちょくられたから気合い入れ直しただけやねん。それより朗報やで!【解呪】スキル上げて貰えたから呪いの軽減がまたできる!」
「本当カ!?」
「勿論や!モチのロンとも言うて…それは横に置いといて。ほら、エリアボス倒したやろ?そこらの魔獣とはレベルちゃうと思ってたからポイントも大幅に入ってスキルも上がるんやないかと聞いてみたら案の定ってやつやな。」
死語ネタを挟みそうになりながらも意気揚々とザックリ説明したら賢いフォルクは直ぐに理解してくれたみたいや。
何度も頷いて、頷き切った後に『グルルル』と唸り出したのは予想外やったけど、てっきり手放しで喜んでくれると思ってたから悩んでる様子に首をめっちゃ傾げる。
「どうしたん?なんか問題でもあった?」
「アア、マダ今直グニハ【解呪】シナイ方ガ良イト思ッテナ。前回ハ、大キサガ変化シタダロウ?今回モ見タ目ガ変ワル様ナラバ説明ガ面倒ダ。」
「なるほど!確かに皆に従魔やって言ってるし、いきなり見た目が変わったりしたらどうしたんってめちゃめちゃ詮索されるわな…そう考えると皆と別れた後の方がええか…。」
最もな意見に納得しながら自分の言葉に寂しくなった。
『土の国』はこれで一応安定していくやろうからそう遠くない内に別れて次の旅立ちになる…エーベルさんの時も悲しかったけど、今度もまた会いに来て良いって約束しとかな絶対号泣する自信がある。
うーんて俺まで悩み出してたらフォルクがしょんぼりした様子で呟いた。
「…ソレニ…、ダイチハコノ姿ガ好キダロウ……?」
「…ん?え?」
考えに沈み掛けてた意識が一気に浮上したのは言うまでもない。
何やら目の前の相棒は斜め上な方向に誤解して悩んでるように見えたからや。
「フォルク…もしかせんでも、俺がその姿好きやから【解呪】するの嫌やな~とか考えてる?」
「………………。」
「フォルクさん、はいかいいえで言うなら?」
「………………。」
「ほら正直に!絶対に怒らんから。」
「………………ハイ。」
地味に遣り取りが楽しかったんで引っ張ったけど、感情が分り易くなってるフォルクの視線は最初から左右へ泳ぎに泳いでた。
自白したんでこれ以上は遊ばんけど誤解だけは早急に解いとかなあかん。
「あんな、そりゃ好きか嫌いかって聞かれたら迷い無く好きやけど、でも俺は出来るだけ早くフォルクが元の姿に戻れる方が何倍も嬉しいねん。姿変わっても中身はフォルクなんやから絶対嫌いになったりせぇへんし、寧ろこっちの好み気にして元に戻らんとか言われたら…悲しいねんけど…。」
「ッ……スマナイ!ソンナツモリデハ無カッタンダ…デモ…本当ニ、スマナイ……。」
「ええねんて。誤解させてたこっちも悪いし相殺ってことにして貰われへん?んで、ちゃんと元に戻って。元の姿のフォルクに俺は会いたい。」
「アア、分カッタ…。アリガトウ、ダイチ。」
「うん、こっちこそ分かってくれてありがとうな、嬉しい。」
無事に和解が出来てほんまに良かった。
出会った頃はめちゃめちゃ自分の変化した外見気にしてたのに俺が気にせんてか寧ろ好き好きアピールをし過ぎたせいの弊害で本末転倒する所やった。
一先ず、皆と別れ済ませてから人気の無い所探して【解呪】しようって事で話は落ち着いた。
そしてその日は【浄化】で二人の体を清めた後、もう何もする気にならんかったんでフォルクに凭れてぐで~んと過ごした。
翌日、宴は夕方からで時間になったら案内してくれるって執事さんが朝食と一緒に伝言を届けてくれたんで時間になるまでフォルクを労う事にした。
自分が触れ合って癒されたいって下心もあったけど実際頑張ってくれたし、最近は色々あり過ぎて二人の時間が少なかったからちょうど良いやろ。
執事さんにお願いしてたっぷりのお湯と布、櫛を用意して貰ってからまず濡らして絞った布で体を拭いていく。
王都に来た時に体拭いたら喜んでくれてたし、分厚い肉球や綺麗な鱗、鋭い爪とか格好良い尻尾を一心不乱に磨いてるとほんまに心が洗われる。
贅沢を言えば浴槽に入れたいんやけどフォルクを入れられる入浴施設が『土の国』に無い。
おまけに水不足気味やったんで飲料や料理、医療に優先して回してたんで体拭けるだけでも贅沢やったらしい。
まあ、今後は回復して行くってか現在進行形で回復してるんで問題はないやろ。
「でも、温泉とかあったら一緒に入りたいな~。フォルク、お湯が噴き出したり湧き出したりする場所とか施設って知らん?」
「湯ガ…ソウダナ、施設トマデハイカナイガ『赤ノ国』ニアル。火ノ山ヤ火ノ水域ガ多クアリ、人ノ入レナイ物モアルガ入レル物モ国内ニ有ッタ。」
「おお!まさにそれや!そっか、火山があるんやったら間違いなく温泉もあるな。俺の故郷も火山大国やったんやけどフォルクの故郷もそうやってんな、一緒で嬉しい。」
思わぬところから共通点が見つかってはしゃいでもうた。
喜んでたらフォルクも嬉しかったんか尻尾が揺れて絨毯にペシペシと何度も当たる。
また、国に着いた時に暇見て案内してくれるって言うんで心からお願いしといた。
温泉の予約が終わったんで次は鬣のブラッシングも開始する。
一本一本が細くて滑らかな手触りに目を細めつつ赤い毛を丁寧に梳かして行く。
「フォルクの髪って勿論赤いんやでな?」
「アア、『赤ノ民』デアル父ト同ジ色デ腰ノ辺リマデ伸バシテイタ。」
「長髪やってんな、似合いそうや。」
「似合ウカドウカハ分カラナイガ、少量ノ魔力ヲ溜メテ置イテ媒介ニシタリ贄ニモ使エルノデ便利ダ。」
「媒介に贄?贄って…もしかせんでも、生贄の?」
「ソウダ、例エバ火魔神ト契約シテイタノダガ、契約スル際ヤ召喚スル際ニ魔力ト一緒ニ髪ノ一部モ与エルト喜ブ。本当ハ肉体ヤ魂ノ方ガ良インダロウガ、ソレハ流石ニ渡セナイノデ古来ヨリ髪ト魔力ヲ代償ニスル。」
「マジか!?」
何故か一瞬エーベルさんの従魔のシュティが至福そうに主人の髪をモッシャモッシャ食べてるイメージが湧いて小刻みに頭を振った。
確かに召喚の度に体とか魂削られてたらやってられへんし、髪の一部で代用できるんやったらそれに越した事はないけどフォルクの火魔神が髪をモッシャモッシャしてたらなんか…なんかー!!!!
俺は恐る恐るフォルクに真実を確かめる事にした…。
「因みにその髪って…?」
「多分、糧ニシテイルト思ウガ。」
全く気にした風もなくフォルクは答えてくれたけど盛大に絨毯へ崩れ落ちた。
やっぱり食っとんかいー!!!!この世界の生物て!いや、仕方ないんやろうけどなんか!なんかー!
誰にぶつけて良い憤りなんか、そもそも食うか食われるかは世界の摂理かとも迷走しつつ時間は流れて行った。
フォルクと他愛ない…他愛なかったかな?
新たなビックリ情報を得ながらその後も楽しく過ごしてたらあっと言う間に宴の時間になって執事さんが迎えに来てくれた。
一応、正装とかはせんで良いらしく流石にローブは脱いだけど神様普段着のまま簡単に身支度だけ整えて着いて行く。
因みに食欲は相変わらず無いものの、フォルクも参加してええって言われたんで喜び勇んで一緒に会場へと向かった。
「おお!豪華ですね!」
案内されたんは西洋風の宴会場な部屋で長いテーブルに白いテーブルクロスが掛けられてて人数分の黒い椅子がズラーっと並んでる。
テーブルの上には各種のパンにステーキ、ローストチキンみたいなんと豚か猪っぽい生物の…どう見ても丸焼きが生々しくてすっと視線を次に移したけど美味しそうなポタージュスープに野菜の蒸し焼きや果物の盛り合わせと酒類が沢山準備されてた。
更に部屋の飾りつけがされてるんやけど色取り取りの花々が壁際に置かれた幾つもの大きい花瓶に目一杯力強く華やかに生けられてて感動した。
「まだやる事があるのは分かってるんやけど、なんか感無量やわ…。」
「ソウダナ、俺モ感動的ダト思ウ。」
何度もうんうんと頷いて入口で立ち止まってたら頭を上からガシッと掴まれた。
加減されてるのと掴んだ後は程よく指圧されてあ~そこそこ、頭皮のマッサージって何げに気持ち良いよなって違う違う!
「ヴィーダーさん!微妙に進歩はしてるもののなんで普通に挨拶できんのですか!?」
「なんでだろうな?」
疑問で返されても知らんけどなんかツッコミ気質のヴィーダーさんがボケも学びつつあるのが末恐ろしい。
一体誰に毒されてるんや…世の中怖いな。
「何戯れてるの?後がつっかえてるんだから進んで進んで。」
シェーンさんが後ろの方からキビキビと指示を飛ばしてくれるんで進もうとしたら、誰かの両手がまるで羽のように優しく背中に触れて押してくれる。
「出発進行ですね。僕が押しますので進んで下さいダイチさん。」
「もちろんやで!」
ああ、可愛い可愛い可愛いレオがって言ったらなんかもう変態ちっくな響きがあるけど、天使みたいな可愛さって堪らんねんとデレデレ萌え萌えしながら何処まででも進んで行きそうになってたら執事さんが椅子引いて冷静に着地点を教えてくれた。
右端の席に着席したら直ぐ近くの絨毯にフォルクが座り左横にヴィーダーさん、その横にレオとシェーンさんが着いてその後に入って来たライゼとトレラントさんが並んで座り、俺の右横ってか上座にあたる席にヴェルデ様、正面にウィプキングさんとユヴェーレン君、その横に謎の美女とクレーさん、レーヴェさんにベツァオさんがちょこんと座ってて二度見したら手を振られたんで振り返しといた。
面子としては以上らしく全員が集まると扉を侍女の人が静かに閉めて、ヴェルデ様が酒の入った陶器の杯を掲げたんで皆や俺もそれに習う。
「皆、此度の働き誠に感謝している。ささやかではあるが勝利の宴を楽しんで欲しい、乾杯!」
「乾杯!」
「勝利に!」
「未来に!」
「平和に!」
「祝福を!」
皆、思い思いの言葉を次々と口にしながら杯を重ねて打ち鳴らして行く。
わっと一通り盛り上がってから透明のお酒に口をつけて一口煽ると口の中に爽やかな果実の甘さと香りが広がってめちゃめちゃ美味しい。
アルコールは軽めな感じで白ワインみたいな飲み口ってのが一番感じとして近いか、とにかく良いお酒ってのが一発で分かる代物や。
「気に入って貰えたようじゃの。」
上機嫌でホクホクしてたら向かいの席のウィプキングさんが嬉しそうにこっちを見てた。
「はい、とっても美味しいです。」
「良かったですわね、お義父様。ダイチさんの為に酒蔵で長い時間悩んでらっしゃったの。」
「む、それは内緒のお約束じゃろ。そうだ、紹介が遅れてしまったがヴェルデの妻のアルベルタ・ラントヴィルトシャフトと言う。」
謎の美女の正体はまさかの王妃様やった。
少し青みがかった濃い茶系の長髪をポニーテールにしてて瞳は同色、目端が切れ上がってるんでクールビューティーな印象を一瞬受けるんやけど笑顔が素敵で好奇心いっぱいの元気なおねーさんて感じがとてもする。
しかも、衣装がドレスとかじゃなくて白いシャツに黒のベストとジャケットとベルト、下は乗馬で着そうなピッタリした白いズボンに黒のロングブーツを履いてて何処の貴公子ですかやった。
「ご挨拶が遅れてしまい申し訳ありません。実は私兵達と共に魔獣討伐をしておりまして王都への帰参が本日になりました。此度は多大な尽力、心より感謝致しております。」
「いえ、こちらこそお気持ちは有り難く頂きますが利害の一致ですしお気になさらずと…それよりも魔獣討伐されてたんですか?」
ウィプキングさんの奔放さにもビックリはしたけどまさかヴェルデ様の奥さんのアルベルタ様も似たようないや、寧ろ大分危ない事してたんやないやろか。
「妻は元騎士で腕も立つのだが…正直、ダイチ殿のお陰で私の胃も救われた。」
「まあ、大丈夫ですの?貴方様は見かけによらず繊細ですからお気をつけ下さいませ。」
「そうじゃの余り無理をして倒れられては困る、程ほどにな。」
冗談なんか本気なんかどちらにしても原因になってた二人の気遣いにヴェルデ様の表情は引き攣っとった。
俺にはこの二人を止められる自信が全く無かったんで、がんばと心からの軽いエールを贈っといた。
謎も解けた所で参加したがってた大臣や貴族なんかもおらんし無礼講って事でどんどん飲んで食べろって事で盛り上がった。
特に宴会好きってかお酒好きなシェーンさんは途中から涙を浮かべて酒瓶を我が子のように大事に大事に抱いて頬ずりし出す始末。
「ああもう、やっと…やっと平和にお酒が飲める目処が立って良かったわ。状況は悪くなるばかりだったし…本当に、本当にありがとうダイチ。仲間も無事で…もう何も言う事はないわ。」
「どう致しまして。そして、シェーンさんも長い間頑張ってめちゃめちゃ偉かったですよ。これからはまたゆっくり皆とお酒飲む時間も楽しんで下さいね。」
数年間、先の見えない戦いに身を置いて重圧は半端なかったやろう。
俺が言うのは偉そうかもやけど褒めてもええやろうと労ったらシェーンさんはぼろぼろと本格的に泣き出したー!
ここですっとハンカチ出してスマートに慰められたら男前なんやろうけど俺は普通に慌てて、イケメンの素養がありまくるレオが代わりにハンカチ取り出して渡してくれる。
「シェーンさんは相変わらずですね。」
「だって…だって…」
ちょっと良い雰囲気かなとか思ったんやけど、真っ赤な顔してずびーっと鼻水を思いっきり啜るシェーンさんの姿にどちらかと言うと可笑しくてほっこりした気分になった。
侍女さんがタオルも持って来て背中摩ったり甲斐甲斐しく世話し出したんで、他の人に視線移したら何故かトレラントさんが貰い泣きしてる。
「大丈夫ですか、トレラントさん…?」
「ああ、シェーンを見てたら今までの苦労が…なんか、泣くつもりは無かったんだが…。」
言いながらボタボタと涙が落ちてます。
拭くもん差し出そうとしたら今度は正真正銘のイケメンなライゼが指でトレラントさんの目元の涙を拭った。
手元に布が無かったからやと思うけど、一瞬にして形容し難い雰囲気になったのは色気満載のライゼやからやろうか。
トレラントさんはビックリしたんか涙は引っ込んだものの手で濡れた頬も交互に拭われて最早固まってた。
おまけに拭った手とは反対の手で頭をよしよしポンポンと撫でられる。
「よく頑張ったな、トレラント。偉かったぞ。」
「………………。」
うん、はい、精神年齢高いせいやとは思うけど完全に子供扱いで労ってますね。
トレラントさんはめちゃめちゃ複雑な顔して今度は落ち込み出したんやけど周囲の人らにはウケてもうて笑われてた、可哀想に…なーむ。
「うふふふふ、皆様本当に面白いですわね。」
「ですね。本当に仲が宜しくて羨ましい限りです。」
「素晴らしい仲間達で私も誇らしい。」
ベツァオさん、クレーさん、レーヴェさんの大人組は適度にお酒が回ってるせいか上機嫌で微笑ましそうに頷いてる。
ウィプキングさんとユヴェーレン君、アルベルタ様にヴェルデ様もにこにこしててフォルクも雰囲気を楽しんでくれてるんか尻尾が緩やかに揺れてて可愛らしい。
ヴィーダーさんはどうかなと視線移したら穏やかに皆の様子を眺めてて、何故か心の底から安心した。
「良かったですね、ヴィーダーさん…。」
「ああ…そうだな。」
呟きに薄く笑って返されて俺も笑顔になる。
明日からまた忙しくなるやろうけど今は暖かな一時を目一杯満喫した。
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