呪われた騎士と関西人

ゆ吉

文字の大きさ
上 下
56 / 93
2章

56.「生命の輝き」

しおりを挟む
「綺麗やな…。」

 派手な戦いの終わりにしては案外静かな幕引きになったと思う。
 全てを包み込むような優しい緑光が消えて周囲に広がってたのは願った通りの景色やった。
 敵の生命いのちと巨体を苗床に放った魔力と合わさって展開した魔法陣から芽吹いた色取り取りの花たち。
 一番多く目に付くのは橙の花で他にも赤に桃色、青に水色、薄紫に赤紫、黄色に葉や茎の緑となんとも色鮮やかや。
 本来『土の国』にはこんな景色が沢山あったんやないかって思いながらも呆然と魂が抜けたように戦いの終結を上空から眺めてた。

「………終わったのか……?」

 八脚馬スレイプニルの手綱を後ろから取ってくれてるヴィーダーさんも半信半疑な様子で呟く。

「…はい…多分、実感はまだ無いですけ…ど……って、皆は!?」

 ぼんやり返事した所で猛烈に現実へ意識が返ってフォルクは勿論の事、他の皆の姿を慌てて探す。
 最後に見た時は無事やったから大丈夫な筈やけど全員確認するまでは安心できん!
 周囲を慌てて見回そうとしたら前方から猛然と突進してくる二つの影があった。

「無事カ、ダイチーーーー!!!!」

馬鹿者ヴィーダーーーーーー!!!!あれ程気をつけろと何度も何度も何度も言っておろうに貴様は無茶しおってーーーー!!!!」

 一人は俺の素敵な相棒ことフォルクさんで、もう一つは般若の形相したウィプキングさん。
 どうやら俺の預かり知らぬ所で注意を受けてたみたいやけど、どっかの誰かが誑かしたんか言いつけを破る羽目になって叱られてる。
 これはヴィーダーさんを悪の道に誘い込んだ非道な犯人に鉄槌を下すべく素直に手を上げておこうか…。

「あのー、すいません!無茶をお願いしたのは俺なんで、叱るならこっちをお願いします!」

「おお、ダイチ…お主を叱る必要なぞ無い。寧ろ礼を申す、良くぞ約束を守ってくれた…心から感謝している。」

「…え?」

 全身全霊でお叱りを受けるつもりやってんけど、まさかのお礼に困惑する。
 確かに『土の国』ではヴィーダーさんの傍に出来るだけおってくれとは頼まれてたけど…戦闘中は完全に成り行きみたいなもんやったし、このタイミングで感謝されるってのもなんでや?まだ『土の国』におるわけで約束は完遂してないし……いや、待て。
 もし、色んな前提条件は省いたとして…ほんまにもしもやけど…攻撃された時に俺がおらんかったとして、ヴィーダーさんと八脚馬スレイプニルだけやったとしたら…………。
 何故かそれ以上は深く考えられんかった。
 いや、正確には思考の先の答えが見えた気がして、俺はその考えが嫌で慌てて首を左右に振ってた。

「大丈夫カ、ダイチ?ドウシタ?」

 直ぐ傍に寄って来たフォルクが心配して鼻先を寄せて来たんで意識が自然とそっちへ向き、ついでに沈静化してた怒りが沸々と湧いてくる。
 そう言えば言わなあかん事がめちゃめちゃあったな!

「大丈夫やけども、フォルク!なんで俺を置いて一人であんな危ない所に飛び出して行ったんや!?幾ら、強くて自信あっても…万が一フォルクになんかあったら取り返しがつかへんねんで!」

 俺がチートと言えど死者を蘇らせる力なんてのは貰ってないし、神様かて持ってるかも、くれるかも分からん。
 呪いが重ね掛けされた場合も今の力じゃ何処まで緩和できるか分からんし…恐らく今よりは酷い状態になってたと思う。
 フォルクが目の前でそんな事になるなんて想像するだけでも嫌やしと考え出したら涙腺が緩んで視界がボヤけて来た。

「スマナイ、ダイチ…。オ前ガ攻撃ヲ受ケ続ケル姿ニドウシテモ我慢ガナラナカッタンダ…。俺モダイチガ傷ツイタリ、イナクナルノガ怖イ…。」

「…んな……その言い方は狡いで…っ…」

 怒ってた筈やし、今後は控えて貰おうと更に注意すらしようと思ったのに弁明聞いたら自分と同じ気持ちにどうにも勢いを削がれた。
 でも、一人で行っては欲しくないし、行くなら一緒に行きたい。

「それでも、やっぱり連れてって欲しいって思う。でも、次はちゃんと作戦を立てて決めよう?今回はほんまに反省点多いし、今のままやったら今後もっと危ない気がする…。」

 気持ちとしては一蓮托生でありたい。
 でも、場合によっては動かん方が結果的に良かったりする場面があるかもしらんて冷静な部分もあって、言葉を選んだらフォルクも納得してくれたんか頷いてくれた。
 それに、一番の原因は自分の頼り無さや。
 心配されへんぐらい強くなって戦闘面で信頼して貰えたら、我が儘聞いて欲しいなって思う。

「ダイチさん。お話は済みましたか?そろそろ、師匠とウィプキング様による第二戦が始まりそうですので、一旦状況確認後に休息を入れようと思いますがどうでしょうか?」

 いつの間にか近づいて来てた俺達の天使ことレオが鶴の一声を掛けてくれたのはええんやけど、フォルクと俺が話してる間に二人が睨み合って火花を散らしてた。
 死闘して疲労困憊な筈やのに相変わらず仲良しやな~って、生暖かく思いながらも放置する訳にも行かず盛大に仲裁ツッコミを入れといた。







「以上が今回の戦いの報告になります。」

 所変わって場所は王城の応接室。
 あの後、皆の無事と周囲の安全を確認してから戦いに全く貢献できんかったからと俺らを休ませてクレーさんが現場の確認や見てた戦闘内容を大急ぎで文書に纏め、帰還してからヴェルデ様に報告してくれた。
 本人は終始申し訳なさそうにしてたけど、無事で何よりやし、本来こういった報告や事務的な仕事を任せられてるらしく適材適所で全然問題無いと思う。
 それに正直、戦闘だけで手一杯過ぎて後の事は何も考えて無かったんで色々と率先して貰って助かった。

「報告、ご苦労だった。後に各大臣や貴族達にも会議を開いて正式な報告を行うので文書を清書しておいてくれ。だがまず、それよりも…。」

 椅子に深く腰掛けてたヴェルデ様が身を乗り出し、ウィプキングさんにヴィーダーさん、俺にフォルク、クレーさんにレオ、レーヴェさんにライゼ、シェーンさんにトレラントさんを順番に見回し眉間に皺を寄せながらも微笑んだ。

「皆、無事で良かった。」

 短い言葉やったけど言葉に込められた思いは重く心に響いて、漸く戦いが終わって安全な場所に帰って来たんやなと実感が湧いて体から力が抜けた。

「うむ、心配を掛けた。しかし、誰一人欠ける事なく大敵を倒して帰って来れた…もう心配はいらん。」

「はい…父上…っ。」

 ウィプキングさんの言葉に更にヴェルデ様が安心したんか男泣きしてもうた所で、ちょっこり密かに隣の席に座ってたユヴェーレン君がハンカチを手渡してる。
 間違いなく将来は紳士かつ出来る王様になりそうな彼は立ち上がり皆に頭を深々と下げた。

「父に代わりまして、おじい様、並びに多くの国民を救って頂き、また無念にも散っていった同胞の仇を討って下さった事を心より感謝致します。特にダイチ様、大敵だけでなくこの国の地を蘇らせて頂きまして誠にありがとうございました。」

 ユヴェーレン君からの感謝の言葉を貰えたんは素直に嬉しいものの若干頬が引きつってまうのは許して欲しい。
 なんでかって、戦場の周囲から始まって王城に戻る道中にも広がってた花と緑の大地。
 恐らく砂漠も消滅してるやろうってのと調べられる範囲で見た景色とウィプキングさんがおっしゃるところによると『土の国』全域で弱ってた地の力が回復に向かってるそうな。
 いやまあ、確かに全部復活したらええなって思ったし敵の生命力や魔力も吸い上げて自分の無限な魔力共々に遠慮無く土地にぶち込んだ。
 んで、勿論自然は荒れてるより生命力溢れてる方がとても良い、それは間違いないと断言しよう。
 けどな!自称一般市民な個人が使うにしてはとんでも能力過ぎんねん神様ー!て、心の中では叫びたい。
 もう俺に良い意味でも悪い意味でも慣れてる皆はツッコミを控えてくれたんやけど、その気遣いが余計に自分で猛烈にツッコまんとやってられん感が半端ないってか変な冷や汗がドッパーやねん!

「ダイチ、余リ気ニ病ムナ。悪イ行イヲシタワケデハナイ。」

「そうですよ。犯人を皆で黙っていれば無問題ですし。」

「宜しければ情報操作もさせて頂きますので、感謝だけ受け取って頂ければ幸いです。」

 頭を抱えて俯いてたらフォルクとレオにユヴェーレン君と心強い励ましを順に受けて撃沈しそうになった精神と体をなんとか引き上げられたんやが、引き上げた途端後頭部に柔らかい感触が当たった。

「逆に大々的に発表してはどうですの?国を救った英雄として後世まで末長く語り継がれますわよ。」

 言わずもがなベツァオさんの豊満なおっぱいがそこにはありました。
 また、盗み聞きしてたんですかとデジャブを感じつつも頭を前へ傾けて回避してみたら、更に上から肉まん二つを乗せ直されてぎゅうぎゅうと抱き込まれる。

「ウィプキング様も皆様も勿論ですが、ダイチ様、無事のお帰りお待ちしておりました…おかえりなさいませ。」

「ただいまです、ベツァオさん。後、不本意ながら助かりました、ありがとうございます。」

 体勢は兎も角、暖かい出迎えの言葉に笑みが零れる。
 そして、何をとは具体的に言えんかったけどエリアボスを確実に仕留められたのはカイ様とベツァオさんに出会ってたお陰と特殊な趣味をお持ちだったからですと思いながら感謝だけを伝えた。

「まあ、なんでしょうか?何かわかりませんが何かしらのお役に立てたのならば嬉しいですわ。」

 特に追求されずに感謝だけ受け取って貰えたんで良かった良かった。
 安心してたらウィプキングさんが皆の注目を集めるように手を叩いた。

「さて、皆も強行軍と緊張の連続で疲れたじゃろうて?一度休憩してから明日にでも身内だけにはなるが宴を開こうと思う。」

 その言葉には全員が同意する。
 戦いの直後や帰還の合間にも休息は入れてたものの神経が高ぶってて誰一人として満足に休めてない。
 俺やフォルクは精神的に、皆は肉体的にも休んだ方が絶対に良いやろう。
 満場一致で一旦解散になったんで俺とフォルクが使わせて貰ってる客間に戻って一息ついたんやが、大事な用事があるんで絨毯の上で寛いでるフォルクの傍らへと腰を落ち着けた。

「ドウシタ、ダイチ…?」

「いやさ、エリアボスを倒したって事はそれなりのご褒美があって然るべきやないんかなって思って、その確認するわ…【神話】!」

 まあ、ご褒美無くとも定期的に連絡入れとかんとあの神様はへそを曲げるやろうからな。
 定期連絡も兼ねてお馴染みのスキルを起動し神様コールしてみた。

 もしもし~、神様少しぶりですが元気にしてます~?

『いたぁ!痛いよダイチ!そんなに激しくしたら僕の大事な所(頬っぺ)が腫れ上がっちゃうよ!あ~~~れ~~~!……て、感じで許して貰えるかな?』

 うん、はい、まあ、許しませんてか火がついたわ、そいやっ!
 いつもの如くボケをかましてくる神様げいにんに脳内イメージで往復ビンタを食らわせる。
 フォルクの為にも我慢しようと思ってたのに本人から求められたんやったら応えるのが人情やろう。
 恨むなら自分の性を恨むんやな!

『ちょ、ちょ、ちょ、ちょちょちょちょちょ、一応神!全生物の目上だからー!』

 じゃあ、目上らしい行動を取らんかい!不祥事ばっかり起こすんやないわ!
 途中から楽しくなってもうて、ついつい余計にペチペチしてしまったんわ余談てか…なんか危ない方に目覚めそうで流石に少し反省した。

『…ありがとうございました…っ!』

 落ち着いた所で余計な一言を貰いつつも俺は早速本題に取りかかる。
 礼は違う形でたっぷり貰いたいんですがと、今回も戦闘とかは覗き見してたやろうからどんな案配か単刀直入に訪ねた。

『ああ、エリアボスの事だね?やや危なっかしくは見えたけど無事に倒せて何よりだ、おめでとう。大幅なポイント付与も勿論だけど、固有スキルも増えたようで正直驚いてるよ。』

 固有スキル?
 そう言えば、盛大に【緑魔法】も使ったし…その関係なんかな?自分でも増えるとは思って無かったんでビックリやわ。

『確認すれば全て分かるだろうけど、増えた固有スキルは【生命力吸収】【生命力譲渡】だね。吸収に関しては中々、凶悪なスキルだと言うか…干物みたいになっちゃって、土竜の最期は実に見物だったね。』

 相変わらず誉めてるんか貶してるんか分からんが戦闘後に確認した土竜もぐらの死体は確かに干からびてミイラみたいになってた事を思い出し、非常時でも無い限りその物騒なスキルは使わんとこうと心に決めた。
 只、HPが無限やから【生命力譲渡】の方は使い勝手がええんちゃうやろかとも思う。

『そうだね、そっちは【身体活性化】の上位版とでも思ってくれれば良いかな。只、やはり乱用はオススメしないけど…今回みたいになったらダイチは困るでしょ?』

 今回みたいって…あ、そうやったー!便利かと思いきや遠慮無く使ったらめちゃめちゃ範囲と効果がでかくてやってもうた感が半端無いって事か…。
 いやまあ、盛大に使った方がええ時は使うけど気をつけます。

『うん、まあ気をつけて。後、通常のスキルに関しても細分化されているから興味があるなら見てみると良いよ。さて、ポイント贈呈と前回と同様に【解呪4】にスキルを上げて置いたから好きな時に使うと良い。他に何か質問はある?』

 おお!仕事が早いですね!
 うーん、聞きたい事は幾つかあるんですが…『理』に関しては『黒の民』 の時みたいに口が重い気がする。
 それやったら、次に向かう『青の国』の噂が気になるな…。
 神様、噂で聞いたんですが竜王様が崩御するかもて本当ですか?

『竜王が?ちょっと、待って貰える…。』

 待てを指示されたんで何かしら分かるんかと暫く大人しく三角座りして待ってたら戸惑ったような声が聞こえてきた。

『あまり詳しくは分からないんだけど…確かに気配が弱くなっているように感じるね。何かあったのは間違いないと思うんだが……。』

 どうしたんです?もしかして、直ぐに亡くなりそうなんですか?
 神様には珍しく考え込むような素振りを感じたんで慌てて質問したら溜息混じりの返事が返って来た。

『ううん、そういう訳じゃないんだ。反省…かな?ちょっと思うところがあっただけ。それよりも、今王が居なくなるとますます国が混乱してしまう。申し訳ないんだけど可能な範囲で構わないから竜王の治療も頼めるかい?』

 何を反省したかは気になったけど間に合うようならば勿論、出来る限り助けたいんで迷わず了承する。
 分かりました。何処まで治療できるか分かりませんが全力を尽くします。

『ありがとう、本当に助かるよ。困った事があったらいつでも連絡してね?協力は惜しまないから。』

 いつもと違って気遣うように優しげに言われたんで調子が狂うわと思ってたんやが、直ぐに後悔する羽目になった。

『それから別件になるんだけど、おめでとう。ダイチの国の風習に習って赤飯でも送ろうと思ってるんだけど良いかな?』

 ん?赤飯?
 なんか祝うことでも有ったかと首を傾げる。

『ほら…その、路地裏で…随分長い間だったし…遂にダイチも童貞を捨てたのか、若くは処じょ…』

 うわああああああああーーーーーーーーーー!?!?!?!?!?!?!?
 もじもじしながら何を言うんかと思ったらよりにもよってそれか!
 どっちも喪失しとらんし!危なかったけどぎりぎりイエローカードでセーフです!退場する気なんてないんだからね!!!!?

『えー、なんだ残念。折角、これから始まる血みどろの三角関係か四角関係、又は五角関係か六角関係を楽しみにしてたのに、ちぇっ。』

 ちぇっ。じゃないわー!そんな週刊誌も喜ぶよりビックリな多角形泥沼愛展開になんかしてたまるか!
 てか、覗きを注意して改善されたかと思いきや勝手に妄想して酷くなってるー!

『ほら、隠されると余計に考えちゃうって言うかさ?結構、僕の中でダイチが凄い事に…もう、不潔!』

 女の子がきゃっ!て、するみたいな感じで言われたのも含めてめちゃくちゃイラっとする。
 折角、そう言った意味で大事な人ができたら神様にはちゃんと紹介しようと思ってたのに…残念ですわ。

『え…あ、ダイチ?怒ってる?冗談だよ、可愛い軽口なんだから。落ち着…へぶうっ!!!!』

 ビンタなんて生易しい思いを捨てて全力で神様をグーでぶん殴るイメージをしてから【神話】をブチっと切った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

薬師は語る、その・・・

香野ジャスミン
BL
微かに香る薬草の匂い、息が乱れ、体の奥が熱くなる。人は死が近づくとこのようになるのだと、頭のどこかで理解しそのまま、身体の力は抜け、もう、なにもできなくなっていました。 目を閉じ、かすかに聞こえる兄の声、母の声、 そして多くの民の怒号。 最後に映るものが美しいものであったなら、最後に聞こえるものが、心を動かす音ならば・・・ 私の人生は幸せだったのかもしれません。※「ムーンライトノベルズ」で公開中

尻で卵育てて産む

高久 千(たかひさ せん)
BL
異世界転移、前立腺フルボッコ。 スパダリが快楽に負けるお。♡、濁点、汚喘ぎ。

(…二度と浮気なんてさせない)

らぷた
BL
「もういい、浮気してやる!!」 愛されてる自信がない受けと、秘密を抱えた攻めのお話。 美形クール攻め×天然受け。 隙間時間にどうぞ!

帝国皇子のお婿さんになりました

クリム
BL
 帝国の皇太子エリファス・ロータスとの婚姻を神殿で誓った瞬間、ハルシオン・アスターは自分の前世を思い出す。普通の日本人主婦だったことを。  そして『白い結婚』だったはずの婚姻後、皇太子の寝室に呼ばれることになり、ハルシオンはひた隠しにして来た事実に直面する。王族の姫が19歳まで独身を貫いたこと、その真実が暴かれると、出自の小王国は滅ぼされかねない。 「それなら皇太子殿下に一服盛りますかね、主様」 「そうだね、クーちゃん。ついでに血袋で寝台を汚してなんちゃって既成事実を」 「では、盛って服を乱して、血を……主様、これ……いや、まさかやる気ですか?」 「うん、クーちゃん」 「クーちゃんではありません、クー・チャンです。あ、主様、やめてください!」  これは隣国の帝国皇太子に嫁いだ小王国の『姫君』のお話。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

勇者の股間触ったらエライことになった

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。 町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。 オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。

愛の宮に囚われて

梅川 ノン
BL
先の大王の末子として美しく穏やかに成長した主人公の磯城(八宮)は、非常に優秀だが鷹揚な性格で権力欲はなかった。 大王の長子(後東宮)である葛城は、幼い頃より磯城に憧れ、次第にそれは抑えきれない恋心となる。 葛城の狂おしいまでの執愛ともいえる、激しい愛に磯城は抗いながらも囚われていく……。 かなり無理矢理ですが、最終的にはハッピーエンドになります。 飛鳥時代を想定とした、和風ロマンBLです。お楽しみいただければ嬉しいです。

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?

処理中です...