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第1章〜剣と魔法の世界〜

第6話~vsタピオカ?~

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 タピオカの攻撃を受け止める。

「っ!?」

 これは!!

 押し返せない。

 さっき肉体を強化したのに、

「くっ」

 このままではやられてしまう。

 俺は情報の能力を使い、脚力を限界まで引き上げる。

 そしてバックステップをし、キーボードで文字を素早く打ち込み、タピオカと俺との間に絶対不可侵の最強のバリアである《絶対防御壁アブソリュートバリア》を展開する。

 しかしタピオカは《絶対防御壁アブソリュートバリア》を素通りして大太刀を振ってくる。

 まさかこいつ!?

「こいつの能力は相手の能力を無力化する能力!?」

 タピオカが振るった大太刀をヨミが腰にさしていた刀で受け止める。

 いきなりラスボス級の敵が出てきたじゃねぇか。

 だから最大強化された俺の肉体でも耐えられなかったのか。

飛輪紅焔プロミネンス

 ヒルメは自らが編み出した神技しんぎを使う。

 神技は魔法の上位互換のようなもので、神にしか扱うことのできない強力な術だ。

 超高熱の炎がタピオカに向かって放たれる。

 あれをまともに喰らえば灰すら残らないはずだが、

「効いてない!?」

 正確には効いていないのではなく、届いていない。

「対火属性魔力結界か」

 その名の通り、火属性魔法を通さない結界を作り出す魔法だ。

 しかしいくら火属性に強い結界だとしても普通の魔法とは比べ物にならないほどの威力を誇る神技を完全に遮断することは不可能に近い。

 まさか、

 俺は世界にアクセスし、目の前で戦っているタピオカの情報を検索してみた。

 個体名:(検索不可)
 属性:(検索不可)
 種族:(検索不可)
 特徴:(検索不可)

 !?

 俺の能力も効かない。

 俺はこの瞬間こいつの正体に気がついた。それと同時にこのタピオカが何を企んでいるのかも大方わかった。

『ヒルメ、ヨミ、緊急事態だ』

 能力を使い、2人の頭の中に直接話しかける。

『率直に言うぞ、あいつはこの世界を管理している神だ。たぶんタピオカに化けて、俺達を強くなる前に倒そうとしているんだと思う』

 ヒルメが驚きの表情を見せる。

 正体に気づかれたことを悟ったタピオカこの世界の神は辺り一帯を埋め尽くすほどの大きな魔法陣を描く。

 いや、この陣の形には見覚えがある。

 魔法陣ではなく強力な神技しんぎを使うときに描く神聖天魔陣セイクリッドフィールドだ。

 そして俺はこの技を何度も見てきた。

「まずい、2人とも」

 2人を呼ぶ。

 あたりが激しく揺れだし、空気が震える。

 今のままでは勝てないどころかここで全滅してしまう。

「滅びろ、情報の神よ《究極魔力爆裂崩壊アルティメットノヴァ》」

 俺はキーボードに『転移』と打ち込み、《テレポート》を発動した。



「まさかこんなに早く見つかるとは思わなかったね」

 室内に緊迫した空気が流れている中、ヒルメが口を開く。

 俺達は街に転移した後、ギルドでクエストの報酬を受け取り、《創造クリエイト》で空き地に小さな家を創った。

 そして公衆浴場で疲れた体を癒やし、家の寝室で会議をしていた。

「全くだ。今まではこんなことなかったのにどういうことだ?」

「私達が強くなったから魔力が感知されやすくなっちゃったのかも」

 それもあるかもしれない。

 いやなんならそれが1番の要因かもしれない。

 今後は慎重に動かなければいけないな。

「明日からはレベル上げと金銭の確保のために各自クエストを受けてもらおうと思う」

「大丈夫かな」

 ヨミが乾ききっていない髪を櫛でとかしながら呟く。

「安心しろ、万全の対策を考えてあるんだ」

 そう、今までの世界で経験してきたことを活かしてたくさんの対策を用意しておいた。

「それよりもだ、今日の昼に遭遇した神は2人も覚えがあるはずだ」

 2人が頷いたところを見ると間違いなさそうだ。

「七柱3位魔神ヴェサータ」

 それがヤツの正体だ。

 七柱は1~3位と4~7位ではかなりの力の差がある。

 なぜ1位の俺が勝てなかったかと言うと、1500年前天界である戦いが起こった。その戦いで俺含む4人の神が天界から堕とされた。堕ちたときに全員人間と変わらないほどまで能力の質を下げられ、神核(神の力の源となるもの。輝きが強ければ強いほどより強い権限を持っている証)の輝きも微々たるものになってしまったからだ。

 そこで俺はすべての生命の中で唯一情報を司る権限を持つ俺だけが使える《異世界転生》でいろいろな世界を旅し、力を取り戻すついでに仲間を増やそうとしているのだ。

「力を奪われていない魔神は強敵、アルンでも勝てるかわからないんだよね?」

「ああ、今日わかったようにやつの力は強大すぎる。このまま戦っても勝算は5%にも満たないだろう」

 なんだかまた雰囲気が悪くなってきたな。

 この話はもうやめよう。

「よし、明日に備えてゆっくり休んでおくように」

「「はーい」」

 2人はベッドの方へ行き、眠りについた。

 俺はというと家の外に行って、そのまま街の門に向かう。

 そのまま街の外に出て、ある魔法の詠唱を開始する。

 長い詠唱を終え、唱える。

「《異世界転生》」
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