【完結】異世界でお菓子屋さんを始めました!

カントリー

文字の大きさ
上 下
150 / 203
異世界でお菓子屋さんを開きました 第三章 本編(和菓子編 後半)

そして…

しおりを挟む
…………………………………………………………… 

そして…

………………………………………………………………


シリンヌ「だめだ…これは…
戦うしかないのか…なら、容赦しないぞ」

必死の説得も虚しく、
雛美火さんは改心せず、
シリンヌ王子に襲いかかった。

雛美火「俺の邪魔をするなぁぁ!!」

ゴォォォ!!

最大火力の炎を出した右拳を
シリンヌ王子の顔面に殴ろうとした瞬間

シリンヌ「殺気がダダ漏れで遅いな」

目に見えぬ速さで雛美火さんの
パンチを避け、後ろに周り…


シリンヌ「これでもくらえっ!」

袋から豆を取り出し、
雛美火さん目がけて投げた。

すかさず、オキニス君も、

オキニス「俺も手伝います!
くらえ、雛美火王子!!」

遠くから豆を投げた。

弱点の豆を多く当てられた
雛美火さんは…

雛美火「……ぐっ何故、貴様らが
俺の弱点を…くそっ…」

だんだん弱くなり、

バタリ…

遂には膝から崩れ落ち倒れた。

シリンヌ「……動かないな…
でも大丈夫だ 息はしている」

シリンヌ王子は雛美火さんを
つんつんと突き様子を伺う。

ダージリン「…本当に…大丈夫だよな…
……あー良かった…豆が効いたんだな」

……さすが、豆の威力…
相手を気絶させるなんて…

なんだか…あっけない様な…


「……………………」

本当に…
……本当に大丈夫なんだろうか?

なんだか嫌な予感がする

オキニス「念の為……雛美火王子は、
縄で縛って身動きをさせないように
しましょう」

オキニス君がロープを持ち
雛美火さんの元へ駆け寄った。

雛美火「…………………」

ゾワッ…

私だけ、気付いていた
雛美火さんが薄っすら目を開いていた事に

意識がまだある…

これは不味い!!

このままだと
オキニス君がっ…

間に合って!

気付けば、私は
オキニス君の所へ走りだし、

「危ないっ!!オキニス君!!!」

ドンッ!!  

できる限りの力で、
オキニス君を押した。

オキニス「ますっ…」


その瞬間、周りが
スローモーションの様に
動き出した

あっ…ダージリンさんとシリンヌ王子が
驚いている…

目の前にいる雛美火さんも
瞳を開いて驚いている

その手には
炎を纏ったナイフが持っていて…

オキニス君を殺す為に様子を伺って
いたんだ

……死にたくない
私だってまだ、生きたいっ

できる限り、ナイフに刺さらない様
避けようとした…

でも…


グサッ!!

人間の私は、なす術がなく

ナイフは腹部に突き刺さって
しまった。


「…っ……ぅぁ……」

オキニス「真澄っ!!!」


ポタ…ポタ ポタ

…痛い…苦しい…
刺された場所は止めどなく
血が溢れ出る。

オキニス「そんなっ…なんでっ…
しっかりして下さい真澄!!
止血をっ…治癒を…ダージリンさん!!」

ダージリン「分かった!オキニス様も
手伝え!!~~~(治癒魔法の呪文)!

しっかりしろ真澄!死ぬな!!
姉貴を泣かすんじゃねーよ!!」




私を抱き寄せ、
ボロボロと泣くオキニス君…

…オキニス君がこうならなくて
本当に良かった…

「オキニス…く…ん…大丈…」

……おかしいな言葉が
上手く出せない…

あぁ…だんだんと
意識が遠のいていく…


雛美火「…違うっ…違う
俺はそんなつもりじゃ…
真澄さんっ…」

震えた声で…
身体をよろけさせながら、
雛美火さんが近づいた。


ダージリン「シリンヌ王子!!
雛美火王子を捉えておけっ

こいつに真澄を触れる権利なんてない!」
 

シリンヌ「……あぁ、すぐ終わらせる
雛美火王子…少し静かにして貰おうか」

静かにボソリと呟くと、シリンヌ王子は、
雛美火さんの腹部に一発殴りを入れた。

雛美火「…………っ……真澄…さ…ん」

バタンッ!!

今度は本当に気絶した。

シリンヌ「最初っからこうすれば、
よかった!!くそっ!!」

雛美火さんを睨み、
彼をロープでぐるぐる巻きにして…

シリンヌ「オキニス…真澄さん
…すまない…俺がいながら…
こんな…」

シリンヌ王子は、悲しげな表情で
私たちがいる方向へ駆け寄った。


オキニス「…真澄っ…お願いだ
頑張ってくれ!!俺とダージリンさんが
治癒魔法で傷を塞いでいるからっ

傷を治して
一緒にクモード王国に帰ろう

もう…2度と俺から離れないで!!」


「…オキ…ニス……君…」

…貴方の顔が見たいのに…
だんだん視界がぼやけて見えないな…

声も聞きたいのに、聞き取れなく
なっている

……私……
このまま死んでしまうの?

もし、死んでしまうなら…

私は…

「……オキ…ニス…君……
私……」

オキニス「真澄っ…ダメだ喋ったら
傷がひらく!……」

お願いオキニス君…言わせて…
これが最後になったら嫌だから…

私は首をゆっくり横に振り、
残った力を振り絞って
【想い】を伝えた。

「オキ…ニス君…私……
あ…なた…の事が……す…き…
あいし…て……る」

やっと言えた…
ずっとひた隠しにしていた
貴方への想い…

やっと………

オキニス「……っ……俺も真澄が………
…真澄?……なぁ…冗談だろ!!
真澄!!目を覚まして!!」

オキニス君へ
想いを伝えた所で

私の視界は真っ暗になり、
意識を失った。




→第3章本編(和菓子編)終了
 
 【最終章へ続く】






しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

月城副社長うっかり結婚する 〜仮面夫婦は背中で泣く〜

白亜凛
恋愛
佐藤弥衣 25歳 yayoi × 月城尊 29歳 takeru 母が亡くなり、失意の中現れた謎の御曹司 彼は、母が持っていた指輪を探しているという。 指輪を巡る秘密を探し、 私、弥衣は、愛のない結婚をしようと思います。

騎士団寮のシングルマザー

古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。 突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。 しかし、目を覚ますとそこは森の中。 異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる! ……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!? ※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。 ※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~

菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。 だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。 車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。 あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。

赤貧令嬢の借金返済契約

夏菜しの
恋愛
 大病を患った父の治療費がかさみ膨れ上がる借金。  いよいよ返す見込みが無くなった頃。父より爵位と領地を返還すれば借金は国が肩代わりしてくれると聞かされる。  クリスタは病床の父に代わり爵位を返還する為に一人で王都へ向かった。  王宮の中で会ったのは見た目は良いけど傍若無人な大貴族シリル。  彼は令嬢の過激なアプローチに困っていると言い、クリスタに婚約者のフリをしてくれるように依頼してきた。  それを条件に父の医療費に加えて、借金を肩代わりしてくれると言われてクリスタはその契約を承諾する。  赤貧令嬢クリスタと大貴族シリルのお話です。

処理中です...