【完結】異世界でお菓子屋さんを始めました!

カントリー

文字の大きさ
上 下
46 / 203
異世界でお菓子さんを開きました。第1章 本編

第8話 オキニスside ①

しおりを挟む
久しぶりに仕事がお休みだった為、
真澄を食事とお気に入りの景色を一緒に見る為に
誘おうと夕方、彼女の家にやって来た。


「真澄いますか?オキニスです」

ドン ドン ドン

声をかけドアをならしても、
彼女の気配が無かった。

いつもならこの時間帯はいるはずなのに、
一体どうしたんだろう。

仕方がない…また食事は今度にするか


諦めて、その場を去ろうした時…
真澄と仲が良いご近所の中年女性が
声をかけてくれた。

ご近所さん「あら~オキニス様!
こんばんは真澄ちゃんなら、
現在ご不在ですよ。」

「こんばんは、彼女はどこに行ったのか
教えてくれるか?」

ご近所さん「ええ、たしかラピスラズリの森へ
行くと何やらバニラビーンズという物を
探すと言っておりましたよ」

「……なるほど、ラピスラズリの森へ…
教えてくれてありがとう
お礼になるか分からないが、
良かったら、使ってくれ…」

ガサ  ゴソと自分のバックから
『メチル街お食事券10000ルーベン分』を
女性に渡した。

ご近所さん「えっ?!こっこんなに…
ありがとうございます!!
オキニス様」

「礼を言うのは俺の方だ
家族と楽しんでくれ」

そう言って俺はラピスラズリの森へ
足を進めた。


…たしか、行きは森のしきたりで、
移動手段は使えないと言っていたな…

この姿では時間がかかる…
元の姿に戻ろう

人がいない事を確認してから獣姿に戻り、
最短でラピスラズリの森へ着いた。

本来ここで、ラピスラズリの森へ通じる鍵を
使わなければならないが、
俺の場合は鍵を使わなくても…

「ガルルル ガウゥ ガウ!
(クモード王国のオキニスだ
夜分遅くに申し訳ないが開けてくれ!)」





扉が開る事ができる。

早く入らないと閉まってしまう…
急がないと

扉が閉まる前に急いで中に入った時、
俺はある異変に気付いた。

ラピスラズリの森にに入った瞬間
辺り一面中に甘い香りがした。


これは…ばあやさんが扱っている
植物の香りと真澄が作ったお菓子の香りが
合わさったような感じがする…


……もしかしたら真澄は
ばあやさんの所にいるかもしれない。

お城に販売するお菓子を作る為に…

自分の休みを使ってまで…
遠い道のりを歩き続け、植物を分けて貰えるように
きっと今頭を下げている。

申し訳ない気持ちの反面、
俺や母さんの為に頑張る彼女の姿に
嬉しくも感じた。


ああ…なんだか無性に彼女に
会いたくなってしまった

ばあやさんの家に急ごうか。


鼻を使い甘い香りを頼りに
ばあやさんの家へと向かい、
数分も経たないうちに玄関前に着いた。

家の中では賑やかな談笑が聞こえる。
良かった…お菓子の件は上手く言ったんだな真澄…

ホッとして、しばらく会話を聞いてから、
ドアをノックした。

ガチャとドアが開き、
ばあやさんが俺を見るなり、

ばあや「夜分遅くにお越しいただき、お疲れ様です。オキニス様、真澄ちゃんのお迎えですね?」

ここに来た理由を理解してくれた。
何も言っていないのによく分かったな


「……グルル(……そうだ)」

ばあや「分かりました。真澄ちゃん、
オキニス様が家まで送ってくれるって!
帰る準備をしなさいな、準備している間
バニラビーンズはリュックサックに
入れておくから」

真澄「……えっ…お迎え?!い…
家まで3時間もかかりますよ
良いんですか?オキニスさん……」


…人間の足だとそんなに時間がかかったのか
大丈夫だ真澄、俺の足ならたった1時間ぐらいで
着くから。

今の姿だと言葉がはっせない為、
大丈夫だと言う意味を込めて尻尾を揺らした。


彼女は一瞬戸惑って、ばあやさん達を見て、
次に俺の顔見て、難しい顔をしてから

真澄「では、……オキニスさん お願いします」

と一言って俺に頭を下げた。


「ガウ(まかせて下さい)」

恥ずかがり屋で人に滅多に頼らない彼女の事だから、
俺の背に乗る事に躊躇して断るかと思っていたが、

初めて彼女が俺にお願いしてくれた事に
信頼されてるんだと感じ、
表情を隠しきれず笑みが零れた。


………………………………………………


…………………………………………


……………………


20分後…彼女の帰る準備が整い、



真澄「しっ…失礼します」

恐る恐る、俺の背に跨った。

小さい手は俺の首元に回し、
落ちないよう身体を密着させた。


……正直、背中に彼女の柔らかい物が
色々と当たり身体がカッと熱くなった。

彼女に触れたのは、クモード城でお茶した以来で、
その時は手を握っただけ…

……これはまずい……

理性が崩れそうになったが、
妖精3人組に気づかれるとまずいので
俺は紳士、俺は紳士と心の中で呟き、
何とか持ちこたえた。

ダージリン「真澄、しっかりオキニス様に
掴まっとけよ。軽く掴んでたら振り落とされちまうぞ」

…俺以外で彼女を呼びすてで
呼ぶ人物がいたとは…

ダージリンさんは気さくで、
俺に対して敬語を使っているが、
友人として接してくれる。

城の関係者以外で素で接してくれるのは彼ぐらいで、
ダメな事はダメとちゃんと叱ってくれる
良い人だ。

もちろん…彼は真澄に対して、
姉(ピンキーさん)の友人との認識で
話をしている。

俺と同じ気持ちじゃない事ぐらい
分かってる。

………でも

オキニス「グルッ(行きますよ)」


ダンッ!!!

他の異性と彼女が親しくしている姿を見ると
とても嫌な気分になる。
他の男を見るなと真澄の目を手で隠したくなる。

2人は会話の途中だったが、
俺は地面を蹴って走り出した。

急に走り出した俺に、彼女は驚き、
離れないようしっかりしがみついた。

しがみついた事を確認すると、俺はスピードを上げ、



…目的地の真澄の家ではなく、
とある場所へと向かった。



しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

月城副社長うっかり結婚する 〜仮面夫婦は背中で泣く〜

白亜凛
恋愛
佐藤弥衣 25歳 yayoi × 月城尊 29歳 takeru 母が亡くなり、失意の中現れた謎の御曹司 彼は、母が持っていた指輪を探しているという。 指輪を巡る秘密を探し、 私、弥衣は、愛のない結婚をしようと思います。

騎士団寮のシングルマザー

古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。 突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。 しかし、目を覚ますとそこは森の中。 異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる! ……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!? ※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。 ※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~

菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。 だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。 車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。 あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。

赤貧令嬢の借金返済契約

夏菜しの
恋愛
 大病を患った父の治療費がかさみ膨れ上がる借金。  いよいよ返す見込みが無くなった頃。父より爵位と領地を返還すれば借金は国が肩代わりしてくれると聞かされる。  クリスタは病床の父に代わり爵位を返還する為に一人で王都へ向かった。  王宮の中で会ったのは見た目は良いけど傍若無人な大貴族シリル。  彼は令嬢の過激なアプローチに困っていると言い、クリスタに婚約者のフリをしてくれるように依頼してきた。  それを条件に父の医療費に加えて、借金を肩代わりしてくれると言われてクリスタはその契約を承諾する。  赤貧令嬢クリスタと大貴族シリルのお話です。

処理中です...