上 下
9 / 59
本編

第1話 事の始まり①

しおりを挟む
……………………………………………………………

第1話  事の始まり①





……………………………………………………………


……あの事件が起きる2ヶ月前…


あの頃の私は生きる為に
必死に坊っちゃまの機嫌を
損なわない様に身の粉にして働いていた。




坊っちゃま「オーロラ!早くジュース
持ってこい!!」

「はーい、坊っちゃま 少々お待ちください」

坊っちゃまの機嫌を損ねるとまずい…
部屋が荒らされて業務の負担が増える
急いで飲み物の準備をする。



ここは魔法や呪術が栄える【シラトス】王国。

私、オーロラ・オリベはメイドとして、
ダジュナール伯爵のお屋敷に仕えていた。

「…ジュースって…言っても
どうしよう、どれを選べば……」

魔獣の生き血ジュース…
緑色の謎の液体…と数十種類もの
飲み物がズラーと棚に並んでいて、
迷っていた。

このままずっと迷っていると坊っちゃまに、
叱られる…それに……

「さっ…寒い…早く選ばなきゃ…」

今いる場所は食料室…

魔法でキンキン部屋が冷えている。
ずっといたら、凍え死ぬ…

もう…ジュースなんて
当てずっぽうで決めてしまおう。

どーれにしようかな? 
神様の言う通り!これ!!

決めたジュースを手に取り、
グラスに注ぎ、坊っちゃまのいる部屋へと
急いで駆け出した。

「坊っちゃま!お待たせ致しました
ジュースでございます」

ゼェ…ハァ…と息を切らし、
坊っちゃまの手前のテーブルに
コトリと音を立て置く。

…これで、気分は害されないかな
変な事が起きる前に
さっさと撤収しよう

「では、わたくしはこれにて…」

失礼しますと言おうとした瞬間…

ザッパァ!!

坊っちゃまが私めがけて、
ジュースを掛けてきた。

顔、上半身がびしょ濡れになって、

液体の多くが私の口めがけて、
だったから、思わず飲み込んでしまった。

「………っ….…にっ苦…」

口の中は苦さで広まり
思わず顔を歪めてしまう。

魔族の坊っちゃまにとっては
美味しいだろうけど
人間の私じゃ たまったもんじゃない
不味い不味すぎる…

坊っちゃま「可哀想に 下級民のお前じゃ
この美味しさは分かるまい
もう飲みきった グラスを戻せ」


ニヤニヤしながら、
私に向かってポイっとグラスが投げられる。

「…………っ」



…悔しい…何か言い返したい……
だけど…っ

「けほっ…はい…承知致しました
坊っちゃま お飲み物ご馳走様でした」

魔族と人間の力の差なんて、
一目瞭然…
圧倒的に魔族が上…

魔族なんかに歯向かってしまえば、
下級生物の人間なんてすぐ殺される。

それを分かっているからこそ、
自分自身を守るには
ぐっと堪えるしかなかった。


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

波間柏
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!

雨宮羽那
恋愛
 いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。 ◇◇◇◇  私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。  元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!  気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?  元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!  だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。 ◇◇◇◇ ※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。 ※アルファポリス先行公開。 ※表紙はAIにより作成したものです。

異世界で王城生活~陛下の隣で~

恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。  グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます! ※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。 ※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。

ただ貴方の傍にいたい〜醜いイケメン騎士と異世界の稀人

花野はる
恋愛
日本で暮らす相川花純は、成人の思い出として、振袖姿を残そうと写真館へやって来た。 そこで着飾り、いざ撮影室へ足を踏み入れたら異世界へ転移した。 森の中で困っていると、仮面の騎士が助けてくれた。その騎士は騎士団の団長様で、すごく素敵なのに醜くて仮面を被っていると言う。 孤独な騎士と異世界でひとりぼっちになった花純の一途な恋愛ストーリー。 初投稿です。よろしくお願いします。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

外では氷の騎士なんて呼ばれてる旦那様に今日も溺愛されてます

刻芦葉
恋愛
王国に仕える近衛騎士ユリウスは一切笑顔を見せないことから氷の騎士と呼ばれていた。ただそんな氷の騎士様だけど私の前だけは優しい笑顔を見せてくれる。今日も私は不器用だけど格好いい旦那様に溺愛されています。

処理中です...