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【本編】第1章 オランビス島

第2話 オランビス島へ②

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第2話 オランビス島へ②




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ゴォォォォォ

エンジン音と共に私たちは高度1万メートルの上空にいる。


--ポーン--

【搭機は、ただいま安定した空域に入りました。ーーー。快適な空の旅をお過ごしください。】


まず飛行機に乗ったからにはやるべき事がある。それは上空の世界を記録に残す事。

運良く窓際の席になったのに、景色を見ないのは勿体無い…という事で!私は意気揚々と飛行機の窓から外を覗いてみる。



「………!…」

窓から見た景色は…鮮やかな青が広がる世界。

太陽の光が差し込み雲はひとつもない。まるで別世界にいるような感覚になる。圧巻の景色に思わず声が溢れそうになった。

この綺麗な景色を2人に共有したい。

カバンからスマホを取り出し、ビデオ撮影で動画を撮る事にした。写真だとシャッター音が大きくて…周りの人に迷惑をかけちゃうからね。

スマホで空の景色を30秒ほど撮影。その後、動画を映り具合をチェックする。

うん…うん問題なさそう。ちゃんと綺麗に撮れている。せっかくだし2人に見せようかな。

ちらっと隣に座っている、みふるちゃんを見ると…彼女は身体を縮こませ、すやすやと夢の中。はわぁ…小動物みたいで可愛い…。

その隣にいる押領司さんは……あっみふるちゃんの寝顔を見て頭を撫でてる。邪魔しない方が良いかも。

…動画を見せるのは後にしよう。スマホをカバンにしまい、私は再び外を眺める事にした。


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…しばらくして


(………あれっ?)

外を眺めてから数十分後、
左奥から『黒い物体』が目に入った。

最初は鳥だと思っていた物体。だんだん近づくにつれ、それは鳥ではなくなり…やがて人の形になってきた。

(黒い翼が生えたイケメン男性が空を飛んでる……えっ?えぇ?!)

ここは1万メートルの世界。…人間がいるなんて…ありえない。しかも黒い翼を生やして飛んでるって漫画の世界じゃあるまいし…あっ私疲れているのかな?

幻覚だと思い目を逸らして、再び窓の外を見てみる。やっぱりいる!!気のせいじゃない!!!


…どうしよう…この場合どんな反応すれば良いんだろう。向こうは気付いていないし…私もこれ以上みない方が…


男性「……!!…」

「……!!……」

男性が顔を上げた事によりバチっと目が合ってしまった。

どっ…どうしよう…無視すると感じ悪いし…こうなったら…こうなったら!!

「えっ…えへへ…」ふりふり

私が取った行動は笑顔で手を振る事だった。思い浮かんだ行動がこれしかなかったから!さあっ相手はどんな反応をするのかな…

男性「~~!~~!」

男性は目をぱちくりすると…何かパクパクと口を動かした後、嬉しそうにブンブンと手を振りかえした。

(ほっ…よかった…)



男性は数分一緒に飛び続けたのち…

男性「………」

悲しそうな表情で一礼した後、やがて方向を変え雲の中へ消えていった。


「……見間違えじゃないよね…」

おもむろに自分の頬をつねる。痛みを感じる。いま見たのは紛れもない事実で夢なんかじゃない…

起こった事実に頭が追いつけなくて、また私は空を眺めた。

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