悪役令嬢 エタった小説の主役の座をヒロインから奪い返します!

青井りか

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恐いくらい「あなたを好きなこと」覚えているの

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 お茶会の授業です。中庭に円卓を並べて紅茶や茶葉の知識や紅茶の飲み比べとかします。優雅だわ。

 同じテーブルにはお約束のマヤ(恵都けいと先輩)がいます。今日の高級茶葉はサウスプール家、私の家からの寄贈品だそうです。私が記憶喪失で学院に迷惑をかけてるから、きっとお兄様が配慮してくれたのね。ありがとうございます。
 マヤが最初に注ごうとしたのですが、やっぱり後輩としてそれは申し訳ないので、私が注ぎます、と茶葉の入った缶を受け取った。そして蓋を開けたら、缶の中の茶葉がモコモコ動いてヤツが飛び出てきた!気を失う瞬間、部室でヤツが出た時に、恵都先輩が鷲掴みにして窓から逃がした時のことを思い出した。

 目が覚めたら医務室のベッドに寝てた。横にマヤとエリンさんがいた。エリンさんに退室してもらった。
「恵都先輩、私、もう紅茶のめません。」
「ごめんごめん。話のネタなくてついね。私が蓋とる予定だったし。」
「明日は予餞会じゃないですかー。」
「私、落とした攻略者達と回るから、ありちゃんの観察ができないの。しょうくんはググったから期待してね。」
「ほんとですね、ほんとですね、もうこの生活きつくて早く逃げたい。」
「そうなんだ。公爵令嬢ってお金持ちだから豪華な暮らしをしてるのかと思った。ところでどのへんが?」
 恵都先輩にアリアが王妃になる為に、ルイの横にいる為に、どれだけの努力をしていたか切々と語っていると、医務室のドアが開いた。魔王・ルイだ。

 すると、どうしたわけか、涙が出てきた。
 ルイのこと好きじゃないのに。アリアの気持ちを語ってたから同化しちゃったのかな。来てくれて嬉しい気持ちが心の奥底深くからふつふつと湧いてくる。

「ありちゃん・・・?」
 恵都先輩が心配そうな声でのぞきこんできた。
「マヤ嬢、もう大丈夫です。ありがとうございます。」
 そう返事すると、マヤは席を立った。
「アリア、大丈夫なんだね。じゃあ。」
 と、ルイ、マヤと一緒に退室。
 おい!私が心配で来たんじゃないのか?マヤに会いに来たのか?

 高鳴る胸に「ばかやろー」ってつっこんだけど、このトキメキは止みそうになかった。
 私、どうしちゃったんだろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

     弾劾裁判まであと6日


「366日」
午後の紅茶のCM  上白石萌歌ちゃんver.大好きです
熊本がんばれ!
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