悪役令嬢 エタった小説の主役の座をヒロインから奪い返します!

青井りか

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カーテシーってご存知ですか?私は知りませんでした。

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 王立学院に馬車で登校した。馬車、ガタガタ揺れてお尻いたいー(泣)石畳だから歩いても足の裏が痛くなりそうだけど。
 エリン伯爵夫人は24歳(同い年じゃん!)で王立学院卒業、結婚6年目、子供は男の子と女の子がいるそうだ。私に付き添ってくれるけど、アリアの交友関係を知ってるわけじゃないのよね。
 アリアはあまり喋らないこだったらしい。努力家でいつも本を読んで勉強してたらしい。えーと、登場人物でよくいる内向的で大人しい子ですか?違う?生徒会も仕切ってて、スポーツもして、必要最低限しか喋らない人。アリア像が浮かびません。

 教室に入ると何人かの女の子が挨拶に来たけど、エリンさんが丁寧に追い返してくれた。ピンクの髪のマヤを探すがいない。金髪碧眼の婚約者王子も。先生から記憶喪失であることが告げられた。
 でもさあ、アリアに話しかけてくるこがいないんですけど。女友達とかとりまきがいるでしょ、こんなに美人だったら男の子も話しかけてくるでしょ。ふつう。

 お昼になってエリンさんと食堂で黙々とごはんを食べてると、急にエリンさんが立ち上がった。私も立った方がいい?エリンさんと同様にフォークとナイフをお皿にハの字に置いて、ナプキンで口元拭いて立ち上がった。
 そこには金髪碧眼の可愛い美少年が立っていた。
「ルカ殿下。」
 殿下ってことは王族よね。私の婚約者か?あれ、こんな名前だったっけ?
 エリンさんがスカートに手をやった時に、ルカから制止が入った。
「校内で挨拶はいりませんよ。伯爵夫人。
 アリア嬢、元気になられたんですね。」
「ありがとうございます。」
 この返事なら無難だよね。そう言ってお辞儀をして顔をあげたらルカは驚いた顔をしていた。
「申し訳ございません。アリアお嬢様は頭を強く打ちつけ記憶を失っておりまして。」
「ああ、そうなんだね。アリア嬢、早く記憶が戻るといいね。」
 そう言って、友人達と空いてる席へ移動した。

「アリア様、頭は下げないでください。殿下でしたからまだ良かったものの、爵位が下の方には絶対に頭を下げないでください。アリア様は公爵令嬢。王族の次の爵位になりますからね。」
「はい。」
 頭を下げたらダメなんだ。ぺこぺこ族の日本人には難しいマナーだわ。
「エリンさん、今の方はどなたなんですか?」
「第二王子のルカ殿下です。11年生。一つ下の学年になります。」
 そうか、私の婚約者の弟にあたるのね。そんな大事な人間すらプロットに書いてないなんて。きた先輩(怒)
「ところで、私の婚約者はどちらにいらっしゃるのでしょうか。」
「申し訳ありません。お見かけしておりません。同じクラスのはずなんですが・・・。あとで、先生に尋ねにいってまいりますね。」
「いえ、いらっしゃらないならいいです。」
 いや、別に会いたいわけじゃないんだけどね。弟が可愛い美少年だったから、兄はどんな顔なんだろう。同じクラスなのに会わない、学校に来てるのか?マヤと一緒にサボりか?

 授業が始まるギリギリに教室に戻ると人だかりが出来ていた。中央に金髪碧眼の美青年が座っていた。もしや
「アリア様、あの方が婚約者のルイ殿下です。カーテシーで頭は深く下げて下さい。」
 さっきは頭を下げるなで、今度は下げろ。難しいなあ。エリンさんに言われたので、彼にほどよい距離まで近づき、カーテシー、両手でスカートの裾を軽く持ち上げて膝を曲げ、頭を深々と下げて挨拶をした。
「ルイ殿下、ご機嫌よう。」
 すると
「アリア、体調よくなったんだね。良かったね。」
 と声がかけられ、彼はすぐに隣りにいたピンクの髪のマヤらしき女と話し出した。
 はあ?婚約者が3日昏睡状態で休んで学校に来たっていうのに、それだけかー(怒)あんたが婚約したいっていうから婚約したんでしょうが。
 まあ、人目があるからかもしれないし、とりあえず、授業だから席に着いたが、その後、彼は一言も話しかけて来なかった。
 仲悪かったのかなあ。
 自分の人間関係がわからないのに、こんな身分社会に放りこまれるのは辛すぎる。


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     弾劾裁判まであと12日
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