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【完】弾劾裁判決行!私は王妃になれるのか?
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最終回です。無事にルイのエスコートで卒業パーティの会場、学院のボールルームにきました。私と来たってことはマヤじゃなくアリアを選んだってことだよね。でも安心出来ないのは相手が腹黒魔王と煩悩全開腐女子だからだよ。
ルイに放ったらかしにされて一人ポツンと壁の花と化してたら、ほらほらほら、やっぱり、ルイはマヤの手をとって私の方にきた。
「アリア、君はマヤを散々虐めていたね。そんな人間は王妃に相応しくない。婚約を破棄することをここに宣言する」
ルイ、婚約を破棄しないよって言ってたじゃない。
恵都先輩、私の幸せも考えてくれるって言ってたじゃない。
足元が崩れていく感覚に陥った。
いや、まてまてまて。恵都先輩、あんた逆ハーして小説終了したら現世で生きていくんでしょ。私はどうするの。どうなるのよ。
「兄上」
また大きな声がした。ルカだ。私のすぐ横にきた。
「兄上、ここに国王陛下より預かりし文書があります。
『ルイ・オールバニ
サウスプール公爵令嬢アリアとの婚約を解消した場合
王位継承権を剥奪する』
ここに日付を書き込めばこの文書は有効になります。どうします?」
ルカがルイに尋ねると、ルイはばつが悪そうな様子で身じろいだ。そして少しの間目を閉じて開いた。何かを思い出したようだ。
「待て、アリアは記憶喪失になった。知識もマナーも抜け落ち、王妃に相応しくない。だから婚約解消も当然だ」
勝ち誇るように発するルイ。そんなルイにルカは冷ややかな視線を向けた。
「そうですね。記憶喪失の後、王宮でも大騒ぎでしたよね。でも、アリア嬢は逃げずに王宮へ来て自分を取り戻そうと努力しています。兄上、兄上は何をしていましたか?彼女のダンスパートナーだって数曲しかしてませんよね。国王陛下もそういうところまでしっかり見て、ご判断されています」
「ルカ殿下、それを貸して下さい」
私はルカの持っている文書を取り上げて、給仕から奪った万年筆で日付を書き込む。
「あああああああ」
ルイが悲壮な声を上げる。ルカもびっくりした面持ちだ。
私はルイを睨みつけて言った。
「ルイ殿下、長い間ありがとうございました。
また、会場にいらっしゃる皆様、12年もの在学中はいろいろとお世話になったことでしょう。覚えておりませんが、ありがとうございます。そして、大切な卒業パーティの場をお騒がせして申し訳ございません。皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
ご機嫌よう」
ルイの方を向き、彼と目があったら片膝を曲げてお辞儀をする。そして、出口へと向かった。
「アリア嬢!」
ホールを出たところでルカに呼び止められた。
「ルカ殿下。本日はありがとうございました。また、これまでダンスパートナーをはじめ、マナー指導、悩み相談、ありがとうございました」
スカートをつまみ、背筋を伸ばしたまま膝を軽く曲げた。この世界に来て知ったカーテシー。
「うん。綺麗になったね」
「ありがとうございます。ルカ殿下、エリンさん、お兄様、皆様のおかげです」
「アリア嬢、これでいいの?」
「はい。スッキリしました。ありがとうございます」
うん。アリア、ルイからの支配を断ち切ろう!
会場からダンス音楽が流れてきた。三拍子。ワルツだ。
「せっかくダンスの練習をしたんだから、ここで踊ろうか」
ルカが手のひらを上に向けて誘ってきた。
「ファーストダンスはエスコートしてきた女の子と踊らないと」
「兄上を弾劾したら踊ることが出来ないと思って、ダンスを踊らないと約束した娘と来たんだ。アリア嬢、ダンスのお誘いは断らないのがマナーだよ」
私は下を向いて小さな溜息をついた。それから顔を上げ、ルカの目を見て手を差し伸べた。
「よろしくお願いします」
1・2・3 1・2・3
クローズド・チェンジ ナチュラル to リバース
クローズド・チェンジ リバース to ナチュラル
二人だけなので誰かとぶつかることもない。足場は悪いが、ルカのリードで気持ち良く踊れてる。
「そうそう。笑顔で。楽しく」
うん。あれだけ嫌だったダンス。覚えるのが大変だったダンス。これが最後かと思うとなんだか寂しくなる。ルカもお兄様も、いっぱい練習に付き合ってくれた。もっと踊りたかったなあ。
曲が終わる。私の心に幸せの余韻を残して。
「ルカ殿下、ありがとうございます」
添えていた手を離そうとしたら、強く握りしめられた。ルカを見ると真剣な目をしてる。
「アリア、僕と結婚してもらえませんか?」
驚きで言葉が出なかった。ずっと黙っていたら
「だめ?」
しゅんとした顔で聞いてきた。可愛くって思わず笑ってしまった。
「アリア、18歳で婚約破棄された御令嬢なんてなかなか良い嫁ぎ先ないよ。僕で我慢してよ」
「なんで、そんなに謙虚なのよ」
「僕は17歳で婚約者の決まらない王子だからね」
「ルカはいい人よ。すぐ可愛いいこがみつかるわ」
「可愛いいこ」
ルカが私の手を握っていた手を引いて、私を引き寄せ抱きしめた。
「明日消えちゃうかもしれないよ」
「うん。この世界にいる間、ずっと僕のそばにいて欲しい」
思えば、この世界にきて、一番私の面倒をみてくれたの、悩みを聞いてくれたのってルカだよね。アリアが戻ってきたら困るかな。でもルイよりルカの方が幸せにしてくれると思う。
私はだらりと下ろしていた手をルカの背中に回して力を入れた。
「はい。よろしくお願いします」
「じゃあ、アリアはあと一年間王妃教育の勉強だね。」
?私が?なんで?って顔をしてたら、
「だって兄上が廃嫡したってことは、僕が王太子になったってことだよ。未来の王妃様。僕があと一年学院に通ってる間、アリアは素敵な王妃になれるように頑張ってね」
ルカは私を見てにっこり微笑んだ。
「えええええ!」
きたさん、弾劾裁判は回避出来なかったです。王妃にはなるかもしれないです。こんなんでいいですか?
恵都先輩、わたし、幸せになれそうです。
これは恵都先輩の計らいなのかな?ありがとうございます。
――――――END(byけいと恵都)
追記
その後、アリアは4人の子供に恵まれ、ルカと死ぬまで仲睦まじく過ごしました。
ありちゃん、おめでとう、ありがとう
――――――END(byきた喜田里)
めでたしめでたし。
1週間で女の子を落として、兄を廃嫡出来るチャンスをちゃんと見抜けて動ける王子なら、国を安心して任せられますね。
これがハッピーエンドなのか騙されたのか、幸せを構築していくのはこれからの愛梨ちゃんの努力次第だからね。FIGHT!
END
読んでくださってありがとうございました。
ルイに放ったらかしにされて一人ポツンと壁の花と化してたら、ほらほらほら、やっぱり、ルイはマヤの手をとって私の方にきた。
「アリア、君はマヤを散々虐めていたね。そんな人間は王妃に相応しくない。婚約を破棄することをここに宣言する」
ルイ、婚約を破棄しないよって言ってたじゃない。
恵都先輩、私の幸せも考えてくれるって言ってたじゃない。
足元が崩れていく感覚に陥った。
いや、まてまてまて。恵都先輩、あんた逆ハーして小説終了したら現世で生きていくんでしょ。私はどうするの。どうなるのよ。
「兄上」
また大きな声がした。ルカだ。私のすぐ横にきた。
「兄上、ここに国王陛下より預かりし文書があります。
『ルイ・オールバニ
サウスプール公爵令嬢アリアとの婚約を解消した場合
王位継承権を剥奪する』
ここに日付を書き込めばこの文書は有効になります。どうします?」
ルカがルイに尋ねると、ルイはばつが悪そうな様子で身じろいだ。そして少しの間目を閉じて開いた。何かを思い出したようだ。
「待て、アリアは記憶喪失になった。知識もマナーも抜け落ち、王妃に相応しくない。だから婚約解消も当然だ」
勝ち誇るように発するルイ。そんなルイにルカは冷ややかな視線を向けた。
「そうですね。記憶喪失の後、王宮でも大騒ぎでしたよね。でも、アリア嬢は逃げずに王宮へ来て自分を取り戻そうと努力しています。兄上、兄上は何をしていましたか?彼女のダンスパートナーだって数曲しかしてませんよね。国王陛下もそういうところまでしっかり見て、ご判断されています」
「ルカ殿下、それを貸して下さい」
私はルカの持っている文書を取り上げて、給仕から奪った万年筆で日付を書き込む。
「あああああああ」
ルイが悲壮な声を上げる。ルカもびっくりした面持ちだ。
私はルイを睨みつけて言った。
「ルイ殿下、長い間ありがとうございました。
また、会場にいらっしゃる皆様、12年もの在学中はいろいろとお世話になったことでしょう。覚えておりませんが、ありがとうございます。そして、大切な卒業パーティの場をお騒がせして申し訳ございません。皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
ご機嫌よう」
ルイの方を向き、彼と目があったら片膝を曲げてお辞儀をする。そして、出口へと向かった。
「アリア嬢!」
ホールを出たところでルカに呼び止められた。
「ルカ殿下。本日はありがとうございました。また、これまでダンスパートナーをはじめ、マナー指導、悩み相談、ありがとうございました」
スカートをつまみ、背筋を伸ばしたまま膝を軽く曲げた。この世界に来て知ったカーテシー。
「うん。綺麗になったね」
「ありがとうございます。ルカ殿下、エリンさん、お兄様、皆様のおかげです」
「アリア嬢、これでいいの?」
「はい。スッキリしました。ありがとうございます」
うん。アリア、ルイからの支配を断ち切ろう!
会場からダンス音楽が流れてきた。三拍子。ワルツだ。
「せっかくダンスの練習をしたんだから、ここで踊ろうか」
ルカが手のひらを上に向けて誘ってきた。
「ファーストダンスはエスコートしてきた女の子と踊らないと」
「兄上を弾劾したら踊ることが出来ないと思って、ダンスを踊らないと約束した娘と来たんだ。アリア嬢、ダンスのお誘いは断らないのがマナーだよ」
私は下を向いて小さな溜息をついた。それから顔を上げ、ルカの目を見て手を差し伸べた。
「よろしくお願いします」
1・2・3 1・2・3
クローズド・チェンジ ナチュラル to リバース
クローズド・チェンジ リバース to ナチュラル
二人だけなので誰かとぶつかることもない。足場は悪いが、ルカのリードで気持ち良く踊れてる。
「そうそう。笑顔で。楽しく」
うん。あれだけ嫌だったダンス。覚えるのが大変だったダンス。これが最後かと思うとなんだか寂しくなる。ルカもお兄様も、いっぱい練習に付き合ってくれた。もっと踊りたかったなあ。
曲が終わる。私の心に幸せの余韻を残して。
「ルカ殿下、ありがとうございます」
添えていた手を離そうとしたら、強く握りしめられた。ルカを見ると真剣な目をしてる。
「アリア、僕と結婚してもらえませんか?」
驚きで言葉が出なかった。ずっと黙っていたら
「だめ?」
しゅんとした顔で聞いてきた。可愛くって思わず笑ってしまった。
「アリア、18歳で婚約破棄された御令嬢なんてなかなか良い嫁ぎ先ないよ。僕で我慢してよ」
「なんで、そんなに謙虚なのよ」
「僕は17歳で婚約者の決まらない王子だからね」
「ルカはいい人よ。すぐ可愛いいこがみつかるわ」
「可愛いいこ」
ルカが私の手を握っていた手を引いて、私を引き寄せ抱きしめた。
「明日消えちゃうかもしれないよ」
「うん。この世界にいる間、ずっと僕のそばにいて欲しい」
思えば、この世界にきて、一番私の面倒をみてくれたの、悩みを聞いてくれたのってルカだよね。アリアが戻ってきたら困るかな。でもルイよりルカの方が幸せにしてくれると思う。
私はだらりと下ろしていた手をルカの背中に回して力を入れた。
「はい。よろしくお願いします」
「じゃあ、アリアはあと一年間王妃教育の勉強だね。」
?私が?なんで?って顔をしてたら、
「だって兄上が廃嫡したってことは、僕が王太子になったってことだよ。未来の王妃様。僕があと一年学院に通ってる間、アリアは素敵な王妃になれるように頑張ってね」
ルカは私を見てにっこり微笑んだ。
「えええええ!」
きたさん、弾劾裁判は回避出来なかったです。王妃にはなるかもしれないです。こんなんでいいですか?
恵都先輩、わたし、幸せになれそうです。
これは恵都先輩の計らいなのかな?ありがとうございます。
――――――END(byけいと恵都)
追記
その後、アリアは4人の子供に恵まれ、ルカと死ぬまで仲睦まじく過ごしました。
ありちゃん、おめでとう、ありがとう
――――――END(byきた喜田里)
めでたしめでたし。
1週間で女の子を落として、兄を廃嫡出来るチャンスをちゃんと見抜けて動ける王子なら、国を安心して任せられますね。
これがハッピーエンドなのか騙されたのか、幸せを構築していくのはこれからの愛梨ちゃんの努力次第だからね。FIGHT!
END
読んでくださってありがとうございました。
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