36 / 46
第一章
33
しおりを挟む
さて次は、クロカンブッシュの素材を買いに行く事になりました。
材料となる粘土や接着剤、絵の具などは文房具店に行けば揃う筈です。
「小物入れも無事買えましたから、お次はクロカンブッシュの素材を文房具店へ買いに行きましょう。」
「うん。……文房具店か、初めて行くな。」
「カイト様はまだ文房具店に行った事は無いんですね。」
「ああ。改めて文房具を買いに行く事も無かったから。使用人が買ってきてくれるし。」
「普通はそうですよね。」
ちなみに私の作るスイーツデコの材料はこれから向かう文房具店でいつも揃えています。
こちらも老舗ながら品揃が豊富で、スイーツデコを趣味とする身としては、とても助かってます。
「ちなみに今向かっている文房具店は私が良く利用するお店なんですよ。」
「良く……?」
「はい。粘土細工に必要な材料を買う為に良く利用させていただいています。」
「へえ、そうなんだ。」
「と、言っても実際に行ったのはほんの数回で、基本的には使用人さんに頼んで買ってきて貰う方が多いんですけどね。」
と、苦笑いしながら私が言うとカイト様は、
「まあ分かるかも。君って趣味が手芸や読書なのもあるけど、基本は外に出たがらないよな。」
と急に的を得た答えを言ってきました。
私は思わずギクッとしてしまいましたが、
「そ、そうですね。確かに趣味は手芸や読書ですし、どちらかというと家で過ごすのが好きですけど……」
「けど?」
「気分転換にもなりますし、たまに出掛けるのも楽しいですよ。」
と、笑顔を向けながらカイト様には答えておきました。
ただ、出掛けるのは気分転換になりますが、必要にかられない限りは引きこもっていた方が良いとも思うので、実は本音半分といったところです……。
でもカイト様は何か感じ取ったらしく、
「そっか。それなら良いんだけど。今日もそうだけどさ、無理に連れ回していないか心配だったから。」
とちょっと不安そうな顔で答えてきました。
やっぱりカイト様は敏くて優しい男の子ですね。何だか申し訳なく思ってしまいました……。
ですがカイト様は私の言葉に最終的には納得してくれたのか、それ以降はまた笑顔に戻ったので安心する事ができました。
そんなこんなで馬車に揺られる事約十分。
次の目的地である文房具店に着きました。
「あ、文具店に着いたようですね。」
「そうみたいだな。……さ、お手をどうぞ。」
「はい。ありがとうございます、カイト様。」
カイト様は今回も馬車から降りる時にエスコートして下さいました。
元・日本人としては最初は何だか気恥ずかしかったエスコートも、カイト様が余りにもスマートにして下さるお陰かだいぶ慣れてきたかなと思っています。
十歳でこの紳士ぶりですから、末恐ろしいですよね……。
そんな将来有望な婚約者のカイト様に連れられながら、文房具店へと入店したのでした。
材料となる粘土や接着剤、絵の具などは文房具店に行けば揃う筈です。
「小物入れも無事買えましたから、お次はクロカンブッシュの素材を文房具店へ買いに行きましょう。」
「うん。……文房具店か、初めて行くな。」
「カイト様はまだ文房具店に行った事は無いんですね。」
「ああ。改めて文房具を買いに行く事も無かったから。使用人が買ってきてくれるし。」
「普通はそうですよね。」
ちなみに私の作るスイーツデコの材料はこれから向かう文房具店でいつも揃えています。
こちらも老舗ながら品揃が豊富で、スイーツデコを趣味とする身としては、とても助かってます。
「ちなみに今向かっている文房具店は私が良く利用するお店なんですよ。」
「良く……?」
「はい。粘土細工に必要な材料を買う為に良く利用させていただいています。」
「へえ、そうなんだ。」
「と、言っても実際に行ったのはほんの数回で、基本的には使用人さんに頼んで買ってきて貰う方が多いんですけどね。」
と、苦笑いしながら私が言うとカイト様は、
「まあ分かるかも。君って趣味が手芸や読書なのもあるけど、基本は外に出たがらないよな。」
と急に的を得た答えを言ってきました。
私は思わずギクッとしてしまいましたが、
「そ、そうですね。確かに趣味は手芸や読書ですし、どちらかというと家で過ごすのが好きですけど……」
「けど?」
「気分転換にもなりますし、たまに出掛けるのも楽しいですよ。」
と、笑顔を向けながらカイト様には答えておきました。
ただ、出掛けるのは気分転換になりますが、必要にかられない限りは引きこもっていた方が良いとも思うので、実は本音半分といったところです……。
でもカイト様は何か感じ取ったらしく、
「そっか。それなら良いんだけど。今日もそうだけどさ、無理に連れ回していないか心配だったから。」
とちょっと不安そうな顔で答えてきました。
やっぱりカイト様は敏くて優しい男の子ですね。何だか申し訳なく思ってしまいました……。
ですがカイト様は私の言葉に最終的には納得してくれたのか、それ以降はまた笑顔に戻ったので安心する事ができました。
そんなこんなで馬車に揺られる事約十分。
次の目的地である文房具店に着きました。
「あ、文具店に着いたようですね。」
「そうみたいだな。……さ、お手をどうぞ。」
「はい。ありがとうございます、カイト様。」
カイト様は今回も馬車から降りる時にエスコートして下さいました。
元・日本人としては最初は何だか気恥ずかしかったエスコートも、カイト様が余りにもスマートにして下さるお陰かだいぶ慣れてきたかなと思っています。
十歳でこの紳士ぶりですから、末恐ろしいですよね……。
そんな将来有望な婚約者のカイト様に連れられながら、文房具店へと入店したのでした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,892
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる