悪役令嬢は可愛いものがお好き

梓弓

文字の大きさ
上 下
31 / 46
第一章

28

しおりを挟む
本邸に帰ってきた私逹は、果物狩りに行った事や祖母とジャムを作った事、祖父の友人であるギルバートさんに会った事などを両親に話しました。

両親に果物狩りの話をすると、懐かしそうにしていました。
姉と兄が私達を見ていてくれていたので、両親は最近別邸に行かなかった為、果物狩りに行ったのも数年前なんですよね。

祖父の友人であるギルバートさんの話になると、

「ああ、ギルバートさん。父上の友人だね。私は父上のようにアンティーク品を収集する趣味はないから面識が有るくらいだけど。」

「お父様は私が嫁いで来た時、既にかなりのアンティーク品をお持ちでしたよね。まだ収集を続けていらっしゃるのかしら。」

「お祖父様のお屋敷はどうだった?」

父からの質問に、

「また増えていたみたいですよ。お祖母様が少し呆れていました。」

と、答えました。
祖父自身も増えたと言っていましたからね。

フィリアもうんうんと頷いています。

「やっぱりか。母上が呆れるのも無理はないけどね。古い物だから下手に触って壊しでもしたら大変だし。」

「私達が結婚した時にいくつかいただきましたけど、貴重過ぎて使いづらいものもありますよね。」

両親は顔を見合わせ、少し困った様に答えました。

確かに両親の部屋にいくつかアンティークの家具が置いてあるのを見た事がありますが、祖父からの贈り物だったのは知りませんでした。
 
「……まあこの話はこれくらいにして、そろそろ夕食を食べないかい?」

「あら、もうそんな時間なんですね。」

本邸に着いたのが夕方だったのですが、今はもう日が落ちていました。
思いの外、話し込んでいたようです。

「せっかくだから、二人が作ってくれたジャムを夕食後のデザートに使って貰おうか。」

「それは良いですね。早速、料理長に頼みましょう。」

「楽しみだね。シオンとフィリアが頑張って作ってくれたものだからね。」

両親は先程とうって変わって、ニコニコと嬉しそうな顔をしながら言いました。

(お祖母様と一緒に作ったので味の保証は出来ますが、こんなに喜んで貰えるなんて。)

私も嬉しくなったので、

「お父様とお母様に喜んで貰えて良かったです。」

と、にっこり笑って返し、フィリアも

「フィリアもお手伝いがんばりました!」

と、少しどや顔で答えました。

すると父が急に私と隣に居たフィリアの頭を撫で始めました。

そんな父を見た母はクスクスと笑い、近くに控えていたナイツやメイドさん達もニコニコと笑顔で、なんだかほっこりした空気が流れたのでした。


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

婚約破棄された転生令嬢はレベルアップする

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:326pt お気に入り:7,714

転生幼女の怠惰なため息

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:539pt お気に入り:3,603

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

恋愛 / 完結 24h.ポイント:979pt お気に入り:1,977

専属メイドのお仕事は若旦那様の愛を受け入れる事です

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:117

今更愛していると言われても困ります。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:87,189pt お気に入り:3,043

エリザベート・ディッペルは悪役令嬢になれない

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:3,473pt お気に入り:1,669

32今日は、私の結婚式。幸せになれると思ったのに、、、

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:37,680pt お気に入り:828

婚約破棄に向けて悪役令嬢始めました

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:565

処理中です...