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第一章
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果物狩りを満足するまで楽しみ、たくさん収穫した林檎や葡萄などを手に、帰途につきました。
「シオンは相変わらず、張りきって採っていたな。」
「今日も美味しそうな果物がたくさん採れて良かったわね。」
「はい。頑張りました。それに久しぶりにセトおじ様に会えたのが嬉しかったです。」
私はにっこり笑いながら答えます。
「そうね。こちらの別邸に来ないと中々行く機会がないものね。……そうそう。この果物を使ってお菓子を作ってあげますからね。」
「わー。おばあさまの作るお菓子大好きだから、楽しみです!」
「私も大好きです。……あ、また果物のジャムを作って、家に持って帰って良いですか?」
私は祖母に聞きました。
果物狩りをした後は採ってきたフルーツを使ったお菓子を祖母に作って貰うのですが、全部使いきれないのでジャムを作っているのです。
「ええ、もちろん良いわよ。お父様もお母様も喜ぶと思うわ。特にお父様。」
「ふふ。そうですね。」
「あいつは意外に甘い物が好きだからな。」
「確かにお母さまよりもお父さまの方がお菓子いっぱい食べてます。」
皆から言われている通り、父は甘いお菓子に目がありません。
ただ、勤務中は宰相補佐として多忙を極める為、甘いお菓子をゆっくり摂取できないのが辛いそうです。
なので、せめて飲み物だけはと紅茶にジャムを入れて飲んでいるみたいですね。
そんなこんなで話をしているうちに、別邸に着きました。
玄関にはウィルが待っていました。
「皆様、お帰りなさいませ。ちょうどお帰りになる頃かと思っておりました。」
「ああ。さすがウィルだな。……ところで私が居ない間、変わりは無かったか?」
感心している祖父ウィルが尋ねました。
すると、
「……変わり、というわけではないのですが、お客様がお見栄になりました。主様が不在なので直ぐにお帰りになりましたが。」
「お客様?間が悪かったな……。それで、お客様とは誰だったんだ?」
「ギルバート殿です。」
「ああ、ギル殿か。確かに近々こちらに来ると言っていたが、今日だったとは。悪い事をしたな。」
「ギルバート殿は『こちらこそ連絡をせずに来て申し訳ない。良ければ明日伺わせて欲しい』とおっしゃっていました。」
「そうか……。なら、明日しっかりもてなさないとな。宜しく頼む。」
「はい、畏まりました。」
「それと、シオン、フィリア。明日はギルバート殿というお方が来るから、ご挨拶してくれるかい?」
こちらを向いた祖父は、私達の目線に合わせてお願いしてきました。
「はい、分かりました。」
「はい!ご挨拶します!」
「うんうん。宜しく。」
祖父は私達の返事に満足した様に頷きます。
「ちなみに、ギルバート殿はどんなお方なのですか?」
(モブキャラにもそんな名前のお方は居なかったですよね……)
「ギルバート殿は私の友人だよ。と、言ってもかなり年は離れてるけどね?確か、二十代半ばだったよ。」
「ギルバート殿は東の国の出身でありますが、こちらの(西の国)で商会の長をしているみたいです。何でも、東の国のものをこちらに広めて素晴らしさを伝えたいそうです。」
「……何だかすごいお方がご友人なのですね。」
「と、言っても本人自体は気さくな人柄だから大丈夫だよ。ちなみに私と同じでアンティークな品物が好きで収集しているらしいよ。」
「そうなんですか……」
祖父と同じアンティーク好きの商会の長さん。どんな人なのでしょうか。
少なくとも、攻略者さんでは無いので死亡フラグは無さそうですが……。
と、思案していると
「さ、そろそろ中に入ろう。」
祖父に促されたので、屋敷へ入ったのでした。
「シオンは相変わらず、張りきって採っていたな。」
「今日も美味しそうな果物がたくさん採れて良かったわね。」
「はい。頑張りました。それに久しぶりにセトおじ様に会えたのが嬉しかったです。」
私はにっこり笑いながら答えます。
「そうね。こちらの別邸に来ないと中々行く機会がないものね。……そうそう。この果物を使ってお菓子を作ってあげますからね。」
「わー。おばあさまの作るお菓子大好きだから、楽しみです!」
「私も大好きです。……あ、また果物のジャムを作って、家に持って帰って良いですか?」
私は祖母に聞きました。
果物狩りをした後は採ってきたフルーツを使ったお菓子を祖母に作って貰うのですが、全部使いきれないのでジャムを作っているのです。
「ええ、もちろん良いわよ。お父様もお母様も喜ぶと思うわ。特にお父様。」
「ふふ。そうですね。」
「あいつは意外に甘い物が好きだからな。」
「確かにお母さまよりもお父さまの方がお菓子いっぱい食べてます。」
皆から言われている通り、父は甘いお菓子に目がありません。
ただ、勤務中は宰相補佐として多忙を極める為、甘いお菓子をゆっくり摂取できないのが辛いそうです。
なので、せめて飲み物だけはと紅茶にジャムを入れて飲んでいるみたいですね。
そんなこんなで話をしているうちに、別邸に着きました。
玄関にはウィルが待っていました。
「皆様、お帰りなさいませ。ちょうどお帰りになる頃かと思っておりました。」
「ああ。さすがウィルだな。……ところで私が居ない間、変わりは無かったか?」
感心している祖父ウィルが尋ねました。
すると、
「……変わり、というわけではないのですが、お客様がお見栄になりました。主様が不在なので直ぐにお帰りになりましたが。」
「お客様?間が悪かったな……。それで、お客様とは誰だったんだ?」
「ギルバート殿です。」
「ああ、ギル殿か。確かに近々こちらに来ると言っていたが、今日だったとは。悪い事をしたな。」
「ギルバート殿は『こちらこそ連絡をせずに来て申し訳ない。良ければ明日伺わせて欲しい』とおっしゃっていました。」
「そうか……。なら、明日しっかりもてなさないとな。宜しく頼む。」
「はい、畏まりました。」
「それと、シオン、フィリア。明日はギルバート殿というお方が来るから、ご挨拶してくれるかい?」
こちらを向いた祖父は、私達の目線に合わせてお願いしてきました。
「はい、分かりました。」
「はい!ご挨拶します!」
「うんうん。宜しく。」
祖父は私達の返事に満足した様に頷きます。
「ちなみに、ギルバート殿はどんなお方なのですか?」
(モブキャラにもそんな名前のお方は居なかったですよね……)
「ギルバート殿は私の友人だよ。と、言ってもかなり年は離れてるけどね?確か、二十代半ばだったよ。」
「ギルバート殿は東の国の出身でありますが、こちらの(西の国)で商会の長をしているみたいです。何でも、東の国のものをこちらに広めて素晴らしさを伝えたいそうです。」
「……何だかすごいお方がご友人なのですね。」
「と、言っても本人自体は気さくな人柄だから大丈夫だよ。ちなみに私と同じでアンティークな品物が好きで収集しているらしいよ。」
「そうなんですか……」
祖父と同じアンティーク好きの商会の長さん。どんな人なのでしょうか。
少なくとも、攻略者さんでは無いので死亡フラグは無さそうですが……。
と、思案していると
「さ、そろそろ中に入ろう。」
祖父に促されたので、屋敷へ入ったのでした。
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