悪役令嬢は可愛いものがお好き

梓弓

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第一章

8

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「うん。なかなか可愛い部屋になりましたね。」

模様替えを終え、私好みの部屋になりました。

満足していると、扉をノックする音が聞こえメイドさんから声を掛けられました。


「シオン様、入っても宜しいでしょうか。」

「はい、どうぞ。」
 
「失礼いたします。」

メイドさんは一礼して、部屋に入って来ました。手には白い紙袋を持っています。

「こちら、シオン様に頼まれていた物でございます。書き付けの通りに用意してきましたが、何かまだ足りない物があれば、お申し付け下さいませ。」

「はい。ありがとうございます。」


以前メイドさんに頼んでいたものが届けられました。
私の趣味に必要な物です。

私は前世、読書やゲームも好きでしたが、他にも趣味がありました。

それは、ハンドメイドです。(余談ですが学生の時は家庭科部の部員でした。)

編み物、縫い物などもやりましたが、一番はまったのはスイーツデコです。要は、粘土ですね。

前世では、フェイクスイーツを作ったり、身に付けたりする女性がいましたが私もそうでした。

と、いうわけでメイドさんには紙粘土や絵の具、スポンジやその他に必要な細々した物を用意して貰ったのです。

紙袋の中の材料を確認して特に足りない物は無かったので、

「特に足りない物は無さそうので大丈夫です。」

と、メイドさんに声を掛けました。

「承致しました。それでは失礼致します。」

メイドさんはまた一礼して、部屋を出ていきました。

それを見送ってから材料の入った紙袋を持ち、奥にある寝室に入りました。(寝室は、自室のドアからしか入れません。)
寝室といってもそれなりの大きさの部屋なので、寝具の他にも窓際には小さいくつろぎスペースもあります。

日も入りますし、そこを作業スペースにする事にしました。
近くに小さいチェストもあるので、材料を保存するのにもちょうど良いです。

色々とセッティングし終えて自分だけの作業スペースが完成すると、自然とにやけてしまいました。

(まだ夕食まで時間もありますし、久しぶりの粘土で何か作りましょうかね。)

 作業台代わりのテーブルに材料を出し、早速フェイクスイーツを作ってみる事にしました。

久しぶりの粘土に感動つつ、フェイクスイーツ作りに没頭していたらあっという間に時間が経っていました。
メイドさんに夕食の時間だと呼ばれるまで、そんなに時間が経ったとは思いませんでした。
これは時計を側に置いて、時間で区切らないとだめですね……。

急いで手を綺麗に拭き、身仕度を整えて家族の待つ食堂へと向かうのでした。
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