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第一章
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カイト様とお話をしながらザイール家の馬車に揺られる事数十分。滞り無くザイール家に到着致しました。
「あ、着いたみたいだね。」
「はい。道も混まなくて良かったです。」
「カイト様、シオン様。ご歓談中失礼致しますが、扉を開けさせて頂きますね。」
御者さんによって馬車の扉が開かれ、カイトさんはスマートに先に降りてからすぐこちらに向き直って、
「お手をどうぞ。」
「はい、ありがとうございます。カイトさん。」
と、また先程と同じように私に手を差し出して下さったのでその手を取り馬車を降りました。
そのまま手を取られつつカイトさんに連れられて、ザイール家の正面玄関へと到着したのでした。
玄関にはザイール家の執事長さんが笑みを讃えて待ってらっしゃいます。
「お帰りなさいませ、カイト様。そしてようこそお越し下さいました、シオン様。」
「ただいま、戻ったよ。」
「こんにちは。今日もまたお邪魔させて頂きますね。」
「いえいえ、お邪魔などとんでもございませんよ。シオン様はカイト様の大事な大事なお方なのですから。」
「そうだよ。それにうちの家族はシオンに会えるのを楽しみにしてるんだ。」
「……ええと。ありがとうございます、嬉しいです。」
カイトさんだけでなく執事長さんにまで言われるとは思いませんでしたので、余計に面映ゆいですね。
「あ、お母様には客間で待っていてくれるように頼んだから。渋っていたけど、これを見られる訳には行かないからね…」
「ええ、そうですね。」
私はカイトさんの視線の先にあるプレゼントの袋を見つつ、頷きました。
「さ、奥様もお待ちかねですからそろそろ参りましょうか。」
と、執事長さんに促された私達はカイトさんのお母様の待っていらっしゃる客間へと向かったのでした。
そして程なくして客間に着き、
「ではお開けしますね。」
執事長さんが客間の扉を開きます。
そこには優しい笑みをたたえたカイトさんのお母様が待っていらっしゃいました。
「初めまして、シオンさん。ようこそいらっしゃいましたわ。やっとお会い出来て嬉しいですわ。」
「はい。奥様、初めまして。私もお会い出来て嬉しいです。」
「カイトがどうしてもこちらで待ってと言うものですから……。お迎え出来なくてごめんなさいね。」
「いえ。お気遣いありがとうございます。……あの、それには理由が有りまして。」
「はい?」
「うん、実は……これなんだけど」
今まで黙っていたカイトさんが後ろ手に隠していたプレゼントの袋を前に差し出して、
「お母様に。」
「私に?」
突然の贈り物に困惑気味のお母様にプレゼント袋を手渡しました。
「いつも忙しいお母様の為に、何か喜んで貰える様な物を作りたい思って。シオンには先生になって貰ったんだ。」
「手作り?シオンさんが先生?」
「はい。先生とまでは行かないですがカイトさんのお手伝いさせて頂きました。」
私はプレゼント袋を受け取ったお母様に向かって頷きつつ答えます。
「……色々と驚いたけれどまずはカイト、シオンさん。ありがとうございますと、言わせて頂きますね。」
カイトさんのお母様はプレゼントの袋を両手で抱え直し、満面の笑みを浮かべながら私達に感謝の言葉を伝えて下さいました。
「……気に入って貰えると良いんだけど。」
「大丈夫ですよ。カイトさんの心がこもっていらっしゃいますから。」
「ふふっ、シオンさんの言う通りですよ。……ええと、早速だけど中を見させてもらっても宜しいかしら?」
「うん、見てみて。」
カイトさんのお母様は一言断りを入れてから、袋の中から小物入れを取り出します。
その様子をカイトさんと私が見守ります。
「……まぁ!とっても可愛いわ!これは…小物入れかしら?」
カイトさんのお母様は小物入れをしげしげと眺めています。
「うん、小物入れだよ。シオンにも一緒に選んで貰ったんだけど、上のクロカンブッシュの部分は手作りなんだ。」
「私も微力ですがお手伝いさせて頂きました。」
「そうなのね。手作りなんて凄いわ、カイト。こんな可愛い小物入れをありがとうね。シオンさんもお手伝いして頂いてありがとうございますね。」
「うん、喜んで貰えたなら良かった。」
「良かったですね!カイトさん。」
と、言う事でカイトさんのお母様へのサプライズプレゼントは無事に終了し、私もほっと一心地ついたのでした。
「あ、着いたみたいだね。」
「はい。道も混まなくて良かったです。」
「カイト様、シオン様。ご歓談中失礼致しますが、扉を開けさせて頂きますね。」
御者さんによって馬車の扉が開かれ、カイトさんはスマートに先に降りてからすぐこちらに向き直って、
「お手をどうぞ。」
「はい、ありがとうございます。カイトさん。」
と、また先程と同じように私に手を差し出して下さったのでその手を取り馬車を降りました。
そのまま手を取られつつカイトさんに連れられて、ザイール家の正面玄関へと到着したのでした。
玄関にはザイール家の執事長さんが笑みを讃えて待ってらっしゃいます。
「お帰りなさいませ、カイト様。そしてようこそお越し下さいました、シオン様。」
「ただいま、戻ったよ。」
「こんにちは。今日もまたお邪魔させて頂きますね。」
「いえいえ、お邪魔などとんでもございませんよ。シオン様はカイト様の大事な大事なお方なのですから。」
「そうだよ。それにうちの家族はシオンに会えるのを楽しみにしてるんだ。」
「……ええと。ありがとうございます、嬉しいです。」
カイトさんだけでなく執事長さんにまで言われるとは思いませんでしたので、余計に面映ゆいですね。
「あ、お母様には客間で待っていてくれるように頼んだから。渋っていたけど、これを見られる訳には行かないからね…」
「ええ、そうですね。」
私はカイトさんの視線の先にあるプレゼントの袋を見つつ、頷きました。
「さ、奥様もお待ちかねですからそろそろ参りましょうか。」
と、執事長さんに促された私達はカイトさんのお母様の待っていらっしゃる客間へと向かったのでした。
そして程なくして客間に着き、
「ではお開けしますね。」
執事長さんが客間の扉を開きます。
そこには優しい笑みをたたえたカイトさんのお母様が待っていらっしゃいました。
「初めまして、シオンさん。ようこそいらっしゃいましたわ。やっとお会い出来て嬉しいですわ。」
「はい。奥様、初めまして。私もお会い出来て嬉しいです。」
「カイトがどうしてもこちらで待ってと言うものですから……。お迎え出来なくてごめんなさいね。」
「いえ。お気遣いありがとうございます。……あの、それには理由が有りまして。」
「はい?」
「うん、実は……これなんだけど」
今まで黙っていたカイトさんが後ろ手に隠していたプレゼントの袋を前に差し出して、
「お母様に。」
「私に?」
突然の贈り物に困惑気味のお母様にプレゼント袋を手渡しました。
「いつも忙しいお母様の為に、何か喜んで貰える様な物を作りたい思って。シオンには先生になって貰ったんだ。」
「手作り?シオンさんが先生?」
「はい。先生とまでは行かないですがカイトさんのお手伝いさせて頂きました。」
私はプレゼント袋を受け取ったお母様に向かって頷きつつ答えます。
「……色々と驚いたけれどまずはカイト、シオンさん。ありがとうございますと、言わせて頂きますね。」
カイトさんのお母様はプレゼントの袋を両手で抱え直し、満面の笑みを浮かべながら私達に感謝の言葉を伝えて下さいました。
「……気に入って貰えると良いんだけど。」
「大丈夫ですよ。カイトさんの心がこもっていらっしゃいますから。」
「ふふっ、シオンさんの言う通りですよ。……ええと、早速だけど中を見させてもらっても宜しいかしら?」
「うん、見てみて。」
カイトさんのお母様は一言断りを入れてから、袋の中から小物入れを取り出します。
その様子をカイトさんと私が見守ります。
「……まぁ!とっても可愛いわ!これは…小物入れかしら?」
カイトさんのお母様は小物入れをしげしげと眺めています。
「うん、小物入れだよ。シオンにも一緒に選んで貰ったんだけど、上のクロカンブッシュの部分は手作りなんだ。」
「私も微力ですがお手伝いさせて頂きました。」
「そうなのね。手作りなんて凄いわ、カイト。こんな可愛い小物入れをありがとうね。シオンさんもお手伝いして頂いてありがとうございますね。」
「うん、喜んで貰えたなら良かった。」
「良かったですね!カイトさん。」
と、言う事でカイトさんのお母様へのサプライズプレゼントは無事に終了し、私もほっと一心地ついたのでした。
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