悪役令嬢は可愛いものがお好き

梓弓

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第一章

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程無くして次の目的地の文房具売り場に着き、必要な物(絵の具や接着剤など)を探し始めました。

「まずは必要な絵の具を選びましょう。」

「うん。でも絵の具も色々種類があるけど、どれが良いんだ?」

「ええと……」

カイト様に問われ絵の具売場に目を向けた私は、

『乾くと水を弾く』

と書いてある、前世の世界で一般的に使われていて尚且つ、現在私もスイーツデコに使用しているアクリル絵の具のような絵の具を見つけました。
そして、

「耐水性もありますし、私も使っているのでこの絵の具はどうでしょうか?」

と言ってその絵の具を一本手に取りカイト様に見せました。

「これ、シオンさんがいつも使ってる絵の具なんだ。」

「はい。品質が良いので、粘土に混ぜても直接色を塗っても綺麗に発色してくれてとてもお勧めなのです。」

「へえ、そうなのか。シオンさんがお勧めするならその絵の具にしようかな。」

「はい。あ、ちなみにカイト様は絵の具が12色入ったこちらの絵の具セットを買ったほうが良いかと思うのですが……」

「これ?」

持っていた絵の具を棚に戻し、次に手に取ってカイト様に見せたのは先程の絵の具が十二(白、黄、橙、赤、桃、紫、青、緑、黄緑、黄土、茶、黒)色入った絵の具セットです。一本一本は少し小さめですが、初心者のカイト様には丁度良いかなと思ったのです。

「一通り色も揃っていて量も少なめですし、どうでしょうか?」

「うん、それで良いよ。十二色も入っていてしお得だし。」

「お得……。そ、そうですね。では絵の具はこれで決まりという事で。」

まさか「お得」という言葉を乙女ゲーの攻略者のカイト様から聞くとは思いませんでしたが、私の提案に了承して下さったので絵の具セットを買い物カートに入れました。

絵の具も良いものが選べましたし、そろそろ買い物も終わりに近づいてきましたね。

「絵の具も無事選べましたので、後は接着剤を選べば買い物完了です。」

「接着剤は確かここの近くに置いてあったよな。」

「そうですね。……あ、ありました。」

カイト様が言った様に、接着剤は結構近くに置いてありました。
基本的に工作で必要な物がこのエリアに置いてあるので、比較的早く見つけられて良かったです。

「で、どれにするんだ?」

「ええと、買いたいのはどんな物にも使える万能接着剤と木工用接着剤の二種類ですね。」

「二種類も?」

「ええ。万能接着剤はそのままの用途で物を接着する時に使うのですが、木工用接着剤は絵の具で着色するとお菓子にかけるソースの様に使う事が出来るんですよ。」

「なるほど。だから二種類買うんだ?」

「はい。なので……この接着剤とこの接着剤もかごに入れさせて貰いますね。」

と言って、私がこれまた使っている接着剤達をカートに入れさせて貰いました。

「これで必要な材料は全て選べましたし、会計しましょうか。」

「うん、分かった。じゃあ、会計宜しく。」

「宜しくお願いします。」

「はい、承りました。」

後ろで控えていた従者さんは私達の言葉に一礼すると、私達を護衛さんに託して会計へと向かって行きました。
そんな従者さんを見送っているとカイト様から、

「さ、僕達は先に馬車に戻ろうか?」

と言われたので、

「はい。」

と返事をしてカイト様と供に先に馬車に戻ったのでした。


それから会計を終えた従者さんが馬車へと戻ってきたので、馬車は帰路へとついたのでした。
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