あの子のもとへ～生活苦から我が子を殺した母親の死刑執行

逮捕 そして判決

目が覚めると横にいた警官が
「気が付いたか」
「はい・・・ここは・・・・？」
あたりを見渡すと殺風景な個室で、ベッドに寝かされた私の腕には点滴のチューブがつながっていて
「死ねなかったんですね、わたし・・・」
警官は腰のベルトから手錠をとり
「大塚早苗、殺人の罪で逮捕する」
腕を掴まれ手錠をかけられます。

一週間後、退院した私はそのまま裁判所に連れて行かれます。これから私の裁判が始まるそうです。この国では厳罰化が進み、人を死なせた罪人にはほとんど死刑が言い渡されます。
裁判は流れ作業のように進みます。検事の求刑は当然、死刑。お金のない私に付けられた当番弁護士は淡々と「なにとぞ寛大なご処置をお願いします」と述べるだけ。この場合の「寛大なご処置」は苦痛が小さい斬首刑を意味します。私の死刑はもう決まったようなもの。私は静かにうつむきながら、あの子が生まれた日と、そして最期の日を思い出します。
３０分の休廷の後、裁判長は席に着き
「判決を言い渡します。主文。被告人をギロチン刑に処す。」
それだけを告げ裁判長は席を後にし、私は警官に手錠をかけられ刑務所の牢へ。
ギロチン・・・　一瞬で確実に罪人の首を落とす人道的な処刑方法です。死刑の中で最も軽く、殺人犯に適用されることは少ないです。