12 / 34
12話 青色申告承認申請書
しおりを挟む
昨日見たのと同じ部屋。
テーブルもソファもベッドも同じ場所。
当たり前ですが、思い出してごくりと唾を飲みます。
ソファにちょこんと座ります。
先輩はキッチンから
「紅茶にする? それともコーヒーがいいかな」
「いえ、お構いなく」
あ、でも昨日の紅茶美味しかったな。
「やっぱり紅茶を・・・ 昨日飲んだの美味しかったんで」
「分かったわ」
先輩はお湯を沸かし、カップを用意してくれます。
沸かしたお湯をカップに入れて、すぐに捨てて。
またお湯を入れて、ティーバッグを入れてふたをしてから私の方へ。
「青色申告の申請書はまだ書いてないよね」
「えっ? 昨日一緒に書いたのは・・・」
「あれは開業届よ」
「違うんですか」
「開業届は個人事業を始める人が全員提出するもの。青色申告は希望者だけだから、やりたい人は別に申請するのよ」
「そうなんですね」
先輩はパソコンを操作して、昨日と同じ国税庁のホームページを開きます。
「これよ」
先輩はパソコンの画面を私に向けてくれます。
[所得税の青色申告承認申請手続]
(リンク7-2)
先輩は用紙の画面を出して印刷ボタンを押し、その間にキッチンに戻りカップからティーバッグを取り出し、テーブルに持ってきてくれます。
「いただきます」
あぁ、いい香りです。
プリンターから出てきた書類を先輩はとりテーブルへ。
「これが青色申告の申請書」
「へぇ。昨日書いた開業届に似てますね」
「うん、上半分はだいたい同じだね。書けるところを書いてごらん」
「はい」
ペンを借りて、まずは名前を。
氏名、住所、生年月日、業種は開業届と同じです。
「ここに『5』って書いて。令和5年分以後の所得税の申告は青色申告書によりたいので申請しますって」
「はい」
「1番の事業所の名称は何でもいいけど、『自宅兼事務所』でいいかな。住所も自宅の住所で」
「わかりました」
「2番の所得の種類は『事業所得』よ」
「所得の種類って、給与所得とか雑所得とかのことですか」
「そうよ。全部で10種類あるの。不動産を貸して賃料を得たら不動産所得。林業は山林所得」
「へぇ。事業所得ですね」
「3番の、いままで青色申告承認の取消しを受けたこと、取りやめをしたことは、無いわね」
「はい、初めてです。『無』にチェックですね」
「うんうん」
「4番、本年1月16日以後に新たに事業を開始した場合、その開始した年月日。ここは開業届に書いた日と同じよ」
「開業届ならカバンにあります」
昨日書いた開業届を取り出し、
「令和5年8月3日です」
「5番、相続による事業継承の有無。店をやってる親が亡くなってその店を引き継いだとかじゃないから『無』で」
「はい」
「6番、簿記方式は簡易簿記にチェックで。複式簿記は無理でしょ」
「そうですね。いつか勉強したいけど」
昨日見た先輩の帳簿は借方とか貸方とか意味不明でした。
「備付帳簿名は、私が教えるやり方だと経費帳と売上帳を作ることになるから、『経費帳』と『その他』にチェックして」
「はい」
「これで完成よ」
「へぇ。これで青色申告ができるんですね。教えてもらってこんなこと言うのもおかしいですけど、けっこう簡単なんですね」
「申請書は簡単よ。申請書は・・・」
「そっかぁ。申告書を書かないといけないんですよね。青色申告だと」
「所得税が発生しないなら申告書は書かなくていいよ」
「あれ、でも昨日は青色申告だと必ず書かないといけないって・・・」
「それは帳簿。帳簿は必ず作らないといけないわ。申告義務の有無の判定はまた今度教えるから、今のところは、来年の3月15日までに決算書・申告書を出すつもりでいて」
「分かりました」
開業届が入ったクリアファイルに青色申告の申請書を入れます。
「そうだ、開業届と青色申告申請はコピーをとってから税務署に行くのよ。コピーに控えのスタンプを押してもらって、それは自宅に保管。ちゃんと提出したって証拠になって、後で必要なことがあるかもしれないから」
「はい!」
「平日の昼に税務署に行くのが忙しいなら郵送もできるわ。提出用・控え用・返信用封筒を入れて郵送。返信用封筒にも切手を貼ること。スタンプが押された控えが返送されるから」
「分かりました」
【補足】
税務署に申告書・申請書・届出書などを提出する時に、同じ書類を控えとして持参すると、窓口で控えのスタンプを押してもらえます。
これが、何月何日にこの書類を税務署に提出したという証拠になります。
しかし、残念ながら、令和7年1月1日から、税務署は控えのスタンプを押さなくなるそうです。
かわりに希望者には、
「当分の間の対応として、窓口で交付する「リーフレット」(今般の見直しの内容と申告書等の提出事実等の確認方法をご案内するもの)に申告書等を収受した「日付」や「税務署名」を記載した上で、希望者にお渡しすることを検討しています。」
だそうです。
(リンク12-1)
国税庁WEBサイト「令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて」
(リンク12-2)
国税庁WEBサイト「申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直しに関するQ&A」
テーブルもソファもベッドも同じ場所。
当たり前ですが、思い出してごくりと唾を飲みます。
ソファにちょこんと座ります。
先輩はキッチンから
「紅茶にする? それともコーヒーがいいかな」
「いえ、お構いなく」
あ、でも昨日の紅茶美味しかったな。
「やっぱり紅茶を・・・ 昨日飲んだの美味しかったんで」
「分かったわ」
先輩はお湯を沸かし、カップを用意してくれます。
沸かしたお湯をカップに入れて、すぐに捨てて。
またお湯を入れて、ティーバッグを入れてふたをしてから私の方へ。
「青色申告の申請書はまだ書いてないよね」
「えっ? 昨日一緒に書いたのは・・・」
「あれは開業届よ」
「違うんですか」
「開業届は個人事業を始める人が全員提出するもの。青色申告は希望者だけだから、やりたい人は別に申請するのよ」
「そうなんですね」
先輩はパソコンを操作して、昨日と同じ国税庁のホームページを開きます。
「これよ」
先輩はパソコンの画面を私に向けてくれます。
[所得税の青色申告承認申請手続]
(リンク7-2)
先輩は用紙の画面を出して印刷ボタンを押し、その間にキッチンに戻りカップからティーバッグを取り出し、テーブルに持ってきてくれます。
「いただきます」
あぁ、いい香りです。
プリンターから出てきた書類を先輩はとりテーブルへ。
「これが青色申告の申請書」
「へぇ。昨日書いた開業届に似てますね」
「うん、上半分はだいたい同じだね。書けるところを書いてごらん」
「はい」
ペンを借りて、まずは名前を。
氏名、住所、生年月日、業種は開業届と同じです。
「ここに『5』って書いて。令和5年分以後の所得税の申告は青色申告書によりたいので申請しますって」
「はい」
「1番の事業所の名称は何でもいいけど、『自宅兼事務所』でいいかな。住所も自宅の住所で」
「わかりました」
「2番の所得の種類は『事業所得』よ」
「所得の種類って、給与所得とか雑所得とかのことですか」
「そうよ。全部で10種類あるの。不動産を貸して賃料を得たら不動産所得。林業は山林所得」
「へぇ。事業所得ですね」
「3番の、いままで青色申告承認の取消しを受けたこと、取りやめをしたことは、無いわね」
「はい、初めてです。『無』にチェックですね」
「うんうん」
「4番、本年1月16日以後に新たに事業を開始した場合、その開始した年月日。ここは開業届に書いた日と同じよ」
「開業届ならカバンにあります」
昨日書いた開業届を取り出し、
「令和5年8月3日です」
「5番、相続による事業継承の有無。店をやってる親が亡くなってその店を引き継いだとかじゃないから『無』で」
「はい」
「6番、簿記方式は簡易簿記にチェックで。複式簿記は無理でしょ」
「そうですね。いつか勉強したいけど」
昨日見た先輩の帳簿は借方とか貸方とか意味不明でした。
「備付帳簿名は、私が教えるやり方だと経費帳と売上帳を作ることになるから、『経費帳』と『その他』にチェックして」
「はい」
「これで完成よ」
「へぇ。これで青色申告ができるんですね。教えてもらってこんなこと言うのもおかしいですけど、けっこう簡単なんですね」
「申請書は簡単よ。申請書は・・・」
「そっかぁ。申告書を書かないといけないんですよね。青色申告だと」
「所得税が発生しないなら申告書は書かなくていいよ」
「あれ、でも昨日は青色申告だと必ず書かないといけないって・・・」
「それは帳簿。帳簿は必ず作らないといけないわ。申告義務の有無の判定はまた今度教えるから、今のところは、来年の3月15日までに決算書・申告書を出すつもりでいて」
「分かりました」
開業届が入ったクリアファイルに青色申告の申請書を入れます。
「そうだ、開業届と青色申告申請はコピーをとってから税務署に行くのよ。コピーに控えのスタンプを押してもらって、それは自宅に保管。ちゃんと提出したって証拠になって、後で必要なことがあるかもしれないから」
「はい!」
「平日の昼に税務署に行くのが忙しいなら郵送もできるわ。提出用・控え用・返信用封筒を入れて郵送。返信用封筒にも切手を貼ること。スタンプが押された控えが返送されるから」
「分かりました」
【補足】
税務署に申告書・申請書・届出書などを提出する時に、同じ書類を控えとして持参すると、窓口で控えのスタンプを押してもらえます。
これが、何月何日にこの書類を税務署に提出したという証拠になります。
しかし、残念ながら、令和7年1月1日から、税務署は控えのスタンプを押さなくなるそうです。
かわりに希望者には、
「当分の間の対応として、窓口で交付する「リーフレット」(今般の見直しの内容と申告書等の提出事実等の確認方法をご案内するもの)に申告書等を収受した「日付」や「税務署名」を記載した上で、希望者にお渡しすることを検討しています。」
だそうです。
(リンク12-1)
国税庁WEBサイト「令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて」
(リンク12-2)
国税庁WEBサイト「申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直しに関するQ&A」
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説


体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる