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11話 二度目のマンション

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立ち止まったまま後ろ姿の先輩に

「もっといろいろ・・・ 帳簿の書き方とか全然分からないから・・・」

先輩は振り返り、
「えぇ、もちろんよ」
「あっ、ありがとうございます」
「今からマンションに来る?」
「今からですか・・・」

心の準備ができていなくて言葉に詰まる私。

「用事あるかな」
「いえ、そんなことは・・・ 行きますっ!」

言っちゃいました。
今から先輩のマンションへ。

「じゃあ、ついてきて」
先輩は赤いスクーターにまたがりエンジンをかけます。

「はい」
私も自転車に乗り、先輩のあとを走ります。
先輩は原付にしてはゆっくり走っているのでしょうが、自転車の私にはついて行くのは大変で。
途中、距離が空いたら先輩が止まって待ってくれます。

15分くらい自転車をこいで先輩のマンションへ。
「はぁはぁ」
息は荒くなり、汗も出ちゃいました。

先輩と一緒にエントランスへ。
先輩はオートロックの機械に鍵を入れ、自動ドアが開きます。

二人だけのエレベーター。
先輩が先に入って奥へ。
次いで私も乗り込みます。
行き先のボタンは私の前に。

えっと、何階だっけ・・・
昨日来たばかりなのに。
先輩に聞こうとすると、先輩の腕が私の胸の横を抜け、5階のボタンが光ります。
定員3人の小さなエレベーターの中で二人の服と服が触れ合います。

「最初は古くて遅いって思ってたの、このエレベーター。でもウーバーの仕事をしてると、こんなのでも無いよりはるかにマシね」

「そうですね、5階まで階段だとキツいです」

唸るモーター音が止むと同時にエレベーターはガクンッと揺れドアが開きます。
先輩と一緒に廊下を進みます。
部屋のドアは全部同じ。
どこだっけ。
このへんだったかな。

そう思っていると先輩は足を止め、鍵をドアノブに入れて、
ガチャッ

「どうぞ」
「おじゃまします・・・」

部屋に入る私は昨日より緊張しています。

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