26 / 31
第四幕「真実の愛に涙はいらない」
3.幸せな小公女の心象風景
しおりを挟む
目を開くと、見慣れた屋敷の天井が見えた。
リゼットはぼんやりとした目で、天井の木目を見つめる。あの木目は手形に見えるから、いつも夜は怖く感じていたのだっけ――。そんな風に思った瞬間、はっと上体を起こす。
「クライド師匠!」
クライドの名を呼び、部屋の中を見渡す。だが少しだけ開かれた窓からの風が、淡いグリーンのカーテンを揺らすだけで、他に動くものはない。リゼットはベッドから立ち上がると、落ち着きなくその場をぐるぐると歩き回った。
「どうして? なんでお屋敷に戻ってるの? あれは夢? まさか……そんな」
混乱が心の中いっぱいに広がり、リゼットは耐え切れずに頭を抱えた。夢だったのならどんなにいいか。だけど、あんな長くてリアルな夢が存在するのだろうか?
「とにかく、こうなったら」
リゼットは手早く身支度を整えると、鞄を手に扉へと向かった。こういう時、人に頼らず身支度を整える方法を覚えてよかったと思う。そのまま急く心のままに扉を開こうとすると、唐突にノックの音がする。
「はい! なんでしょう!」
「うわああっ! って、どうしていきなり開く!」
「はい?」
勢い良く扉を開いた先には、見覚えのない少年が立っていた。目深にかぶった帽子に、お仕着せから伸びた頼りないくらいに細い手足。どんなに眺めても誰なのかわからず、リゼットは無言で帽子に手を伸ばす。
「今度は何だよ! 帽子をとるな!」
「いえ、あなたみたいな人、うちにいたかなと思って……」
「はあ? お前の記憶は三分ともたないのか? それならニワトリの方がまだ色々覚えているだろ」
「む、なんでしょう。ありえない気はしますが、この微妙にむかつく口調は」
今度こそ問答無用で帽子をはぎ取る。かわいそうなくらいの悲鳴を上げた少年は、両手で顔を隠しながらリゼットに罵声を浴びせかける。
「この、非常識公女が! 嫌がってる人間の顔を暴くとか、どんな暴君だよ!」
「いやぁ……だって気になるじゃないですか。どうしてそんなにちっちゃくなっちゃったんですか、クライド師匠」
名を呼ばれて、少年は胸を抑えてうずくまった。夜のように黒い髪だけは以前のままで、少年――クライドはじっとりとした目でリゼットを見上げる。
「どうしてと言われると、説明が難しい。お前、この直前の状況を覚えているか」
「もちろん忘れられるわけないじゃないですか! 何もない空間に落とされて、クライド師匠と一緒に……ってあれ? わたしたち、死んでしまったんですか!?」
「んー……それに近いな」
あっさりとどうにもならない現実を認めるクライドに、リゼットはがっくりと肩を落とす。まさか、あれで終幕だったなんて。こんな風にリゼット・フォン・ソレイユの物語が終わるなんて、誰が想像しただろう。
「そ、そんなぁ! わたしまだ、野望を果たしてもいないのに!」
「なんだ野望って、どうせろくでもないやつだろ」
「ど、どうして皆ろくでもないと言うのでしょうか? 野望はあれです。交易都市ソレル装丁本製造都市化計画!」
「却下」
「な、なんですと!?」
あっさり却下されて、リゼットは脱力して上体を半分に折る。どうして夢というやつは誰にも賛同されないのだろうか。叶わぬ望みに胸を締め付けられていると、クライドが深いため息をついた。
「いや、お前の妄想はどうでもいいんだよ。それよりもこの状況だ」
「状況……ここ、わたしのおうちですよ?」
「そのようだな。なんでソレル大公家が再現されているのかは謎だが、ずっとここに留まっているわけにもいかない。脱出する方法を探さねば」
「脱出? 私たちは死んでいるんじゃないんですか?」
それなのに脱出とは不思議な話だ。リゼットが困惑してクライドの頭をつつくと、彼は邪険にそれを振り払って立ち上がる。それでもクライドの身長はリゼットの肩くらいしかなく、どうにもあの装丁師と同一人物とは思えなかった。
「いや、おそらくだが……『死ぬ一歩手前で止まっている』ようだ」
「ふむ? よくわかりませんけど、生きてはいないけど、死んでもいない、みたいな感じです?」
「それも少し違うんだが、まあ、そんなもんだと思って構わない。どうしてそうなっているかは、本当に想像するしかないが……たぶん、死に至る前の俺とお前の意識と魔力が繋がることにより、この世界が作り出されているんだろう」
「出来ればクライド師匠とは繋がりたくなかったような」
「俺も同じくだよ……。だが、繋がりを得たことにより、俺の意識は回復することができた。この状態なら空間を内側から開いて、現実世界へと意識を帰還させることも可能だ」
クライドの言葉は決して、過分に力強かったりはしない。けれど、不思議とそれ自体が魔法のように、リゼットの心に明かりを灯してくれるようだった。
「生きて帰れるんですか、わたしたち」
「可能性はある。絶対にとは言い切れないけどな。しかし、お前だってここで死ぬつもりはないんだろう?」
死ぬつもりはない。そう告げられて、リゼットはそっとまぶたを閉ざした。確かにどうあっても死ぬつもりはなかった。クライドを助けられなかったとしても、自分を生かす道を選んだように。リゼットには死ねない理由がたくさんありすぎた。
「はい、わたしは死ねませんから。どうすればいいか教えてください、クライド師匠」
リゼットが目を開くと、クライドは不敵な笑みを浮かべていた。この人と一緒なら大丈夫。そう信じられることに疑いなんか持てそうになかった。
「よし、じゃあまず、この世界の核になっているものを探すぞ。ここはお前の記憶の中でもあるから……何か印象に残っていたり、とても大切にしているものはないか?」
「それなら、あれです!」
リゼットは踵を返すと、自分の部屋にある本棚に近づいていく。そこには、特にお気に入りの装丁本が収められている。一日ぶりに見るコレクションの麗しさに、思わずほうっとため息を吐き出す。
「ああ、いつ見ても麗しいわたしの装丁本たち……!」
「で、これのどれなんだ。お前の一番のお気に入りは」
「く、クライド師匠、なんかすごくマイペースになりましたね? えーっと、わたしの一番大切な装丁本は……これです!」
リゼットはためらうことなく本棚の真ん中を指さす。そこには他とは比べようもないほど古くて、ぼろぼろで、そしてすごく汚い装丁本が置かれている。
「ず、ずいぶんぼろぼろだな。手入れしていないのか?」
「してもこの状態なんですよ。本当は修繕に出したいのですが、どうも特殊な装丁本らしく、普通の製本業者では請け負ってくれないんです」
「そりゃそうだろうな。見たところこれはうちの……もしかすると曽祖父の遺作か? だとしたら大公家に献上された魔法装丁って、これのことか……?」
装丁本を見上げて、クライドはぶつぶつと呟きながら考え込んでいる。リゼットは久々に装丁を愛でようと、本に手を伸ばす。だが、その瞬間。
『きゅっ』
「はへっ?」
ぼろぼろの装丁本の端っこから、小さいうさぎっぽいものが顔を出した。真ん丸な目とリゼットの視線がしばし交錯し――そのうさぎは素早く顔を引っ込める。
「えぇ?」
「どうした、変な声出して」
クライドは気づかなかったのだろうか。再び装丁を見つめると、今度は本自体がカタカタと揺れる。さすがにその異変はクライドにも伝わったらしい。ぎょっと目を見開くと、リゼットの腕を叩く。
「おい。お前の装丁本、なんか動いてるぞ」
「は、はい。見ればわかります。な、何で動いているんでしょう」
わけわからない状況に、二人は顔を見合わせる。そうしている間にも装丁本の動きは激しくなり、二人がもう一度視線を当てた途端――。
『きゅっ』
「はっ!?」
驚く二人の前で装丁本は宙を飛び、勢いよく開いた扉から廊下へと飛び出していった。
「…………」
「………………」
沈黙が広がる。リゼットとクライドは視線で語り合う。何だ今の? 何でしょう今の? たぶんあれだろ、あれがきっと問題の核になっている存在で――。
「――ま、待てぇええええっ!」
謎の装丁本VSリゼット&クライド。やたらに騒がしい追いかけっこが始まった。
リゼットはぼんやりとした目で、天井の木目を見つめる。あの木目は手形に見えるから、いつも夜は怖く感じていたのだっけ――。そんな風に思った瞬間、はっと上体を起こす。
「クライド師匠!」
クライドの名を呼び、部屋の中を見渡す。だが少しだけ開かれた窓からの風が、淡いグリーンのカーテンを揺らすだけで、他に動くものはない。リゼットはベッドから立ち上がると、落ち着きなくその場をぐるぐると歩き回った。
「どうして? なんでお屋敷に戻ってるの? あれは夢? まさか……そんな」
混乱が心の中いっぱいに広がり、リゼットは耐え切れずに頭を抱えた。夢だったのならどんなにいいか。だけど、あんな長くてリアルな夢が存在するのだろうか?
「とにかく、こうなったら」
リゼットは手早く身支度を整えると、鞄を手に扉へと向かった。こういう時、人に頼らず身支度を整える方法を覚えてよかったと思う。そのまま急く心のままに扉を開こうとすると、唐突にノックの音がする。
「はい! なんでしょう!」
「うわああっ! って、どうしていきなり開く!」
「はい?」
勢い良く扉を開いた先には、見覚えのない少年が立っていた。目深にかぶった帽子に、お仕着せから伸びた頼りないくらいに細い手足。どんなに眺めても誰なのかわからず、リゼットは無言で帽子に手を伸ばす。
「今度は何だよ! 帽子をとるな!」
「いえ、あなたみたいな人、うちにいたかなと思って……」
「はあ? お前の記憶は三分ともたないのか? それならニワトリの方がまだ色々覚えているだろ」
「む、なんでしょう。ありえない気はしますが、この微妙にむかつく口調は」
今度こそ問答無用で帽子をはぎ取る。かわいそうなくらいの悲鳴を上げた少年は、両手で顔を隠しながらリゼットに罵声を浴びせかける。
「この、非常識公女が! 嫌がってる人間の顔を暴くとか、どんな暴君だよ!」
「いやぁ……だって気になるじゃないですか。どうしてそんなにちっちゃくなっちゃったんですか、クライド師匠」
名を呼ばれて、少年は胸を抑えてうずくまった。夜のように黒い髪だけは以前のままで、少年――クライドはじっとりとした目でリゼットを見上げる。
「どうしてと言われると、説明が難しい。お前、この直前の状況を覚えているか」
「もちろん忘れられるわけないじゃないですか! 何もない空間に落とされて、クライド師匠と一緒に……ってあれ? わたしたち、死んでしまったんですか!?」
「んー……それに近いな」
あっさりとどうにもならない現実を認めるクライドに、リゼットはがっくりと肩を落とす。まさか、あれで終幕だったなんて。こんな風にリゼット・フォン・ソレイユの物語が終わるなんて、誰が想像しただろう。
「そ、そんなぁ! わたしまだ、野望を果たしてもいないのに!」
「なんだ野望って、どうせろくでもないやつだろ」
「ど、どうして皆ろくでもないと言うのでしょうか? 野望はあれです。交易都市ソレル装丁本製造都市化計画!」
「却下」
「な、なんですと!?」
あっさり却下されて、リゼットは脱力して上体を半分に折る。どうして夢というやつは誰にも賛同されないのだろうか。叶わぬ望みに胸を締め付けられていると、クライドが深いため息をついた。
「いや、お前の妄想はどうでもいいんだよ。それよりもこの状況だ」
「状況……ここ、わたしのおうちですよ?」
「そのようだな。なんでソレル大公家が再現されているのかは謎だが、ずっとここに留まっているわけにもいかない。脱出する方法を探さねば」
「脱出? 私たちは死んでいるんじゃないんですか?」
それなのに脱出とは不思議な話だ。リゼットが困惑してクライドの頭をつつくと、彼は邪険にそれを振り払って立ち上がる。それでもクライドの身長はリゼットの肩くらいしかなく、どうにもあの装丁師と同一人物とは思えなかった。
「いや、おそらくだが……『死ぬ一歩手前で止まっている』ようだ」
「ふむ? よくわかりませんけど、生きてはいないけど、死んでもいない、みたいな感じです?」
「それも少し違うんだが、まあ、そんなもんだと思って構わない。どうしてそうなっているかは、本当に想像するしかないが……たぶん、死に至る前の俺とお前の意識と魔力が繋がることにより、この世界が作り出されているんだろう」
「出来ればクライド師匠とは繋がりたくなかったような」
「俺も同じくだよ……。だが、繋がりを得たことにより、俺の意識は回復することができた。この状態なら空間を内側から開いて、現実世界へと意識を帰還させることも可能だ」
クライドの言葉は決して、過分に力強かったりはしない。けれど、不思議とそれ自体が魔法のように、リゼットの心に明かりを灯してくれるようだった。
「生きて帰れるんですか、わたしたち」
「可能性はある。絶対にとは言い切れないけどな。しかし、お前だってここで死ぬつもりはないんだろう?」
死ぬつもりはない。そう告げられて、リゼットはそっとまぶたを閉ざした。確かにどうあっても死ぬつもりはなかった。クライドを助けられなかったとしても、自分を生かす道を選んだように。リゼットには死ねない理由がたくさんありすぎた。
「はい、わたしは死ねませんから。どうすればいいか教えてください、クライド師匠」
リゼットが目を開くと、クライドは不敵な笑みを浮かべていた。この人と一緒なら大丈夫。そう信じられることに疑いなんか持てそうになかった。
「よし、じゃあまず、この世界の核になっているものを探すぞ。ここはお前の記憶の中でもあるから……何か印象に残っていたり、とても大切にしているものはないか?」
「それなら、あれです!」
リゼットは踵を返すと、自分の部屋にある本棚に近づいていく。そこには、特にお気に入りの装丁本が収められている。一日ぶりに見るコレクションの麗しさに、思わずほうっとため息を吐き出す。
「ああ、いつ見ても麗しいわたしの装丁本たち……!」
「で、これのどれなんだ。お前の一番のお気に入りは」
「く、クライド師匠、なんかすごくマイペースになりましたね? えーっと、わたしの一番大切な装丁本は……これです!」
リゼットはためらうことなく本棚の真ん中を指さす。そこには他とは比べようもないほど古くて、ぼろぼろで、そしてすごく汚い装丁本が置かれている。
「ず、ずいぶんぼろぼろだな。手入れしていないのか?」
「してもこの状態なんですよ。本当は修繕に出したいのですが、どうも特殊な装丁本らしく、普通の製本業者では請け負ってくれないんです」
「そりゃそうだろうな。見たところこれはうちの……もしかすると曽祖父の遺作か? だとしたら大公家に献上された魔法装丁って、これのことか……?」
装丁本を見上げて、クライドはぶつぶつと呟きながら考え込んでいる。リゼットは久々に装丁を愛でようと、本に手を伸ばす。だが、その瞬間。
『きゅっ』
「はへっ?」
ぼろぼろの装丁本の端っこから、小さいうさぎっぽいものが顔を出した。真ん丸な目とリゼットの視線がしばし交錯し――そのうさぎは素早く顔を引っ込める。
「えぇ?」
「どうした、変な声出して」
クライドは気づかなかったのだろうか。再び装丁を見つめると、今度は本自体がカタカタと揺れる。さすがにその異変はクライドにも伝わったらしい。ぎょっと目を見開くと、リゼットの腕を叩く。
「おい。お前の装丁本、なんか動いてるぞ」
「は、はい。見ればわかります。な、何で動いているんでしょう」
わけわからない状況に、二人は顔を見合わせる。そうしている間にも装丁本の動きは激しくなり、二人がもう一度視線を当てた途端――。
『きゅっ』
「はっ!?」
驚く二人の前で装丁本は宙を飛び、勢いよく開いた扉から廊下へと飛び出していった。
「…………」
「………………」
沈黙が広がる。リゼットとクライドは視線で語り合う。何だ今の? 何でしょう今の? たぶんあれだろ、あれがきっと問題の核になっている存在で――。
「――ま、待てぇええええっ!」
謎の装丁本VSリゼット&クライド。やたらに騒がしい追いかけっこが始まった。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです
青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる
それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう
そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく
公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません

「白い結婚の終幕:冷たい約束と偽りの愛」
ゆる
恋愛
「白い結婚――それは幸福ではなく、冷たく縛られた契約だった。」
美しい名門貴族リュミエール家の娘アスカは、公爵家の若き当主レイヴンと政略結婚することになる。しかし、それは夫婦の絆など存在しない“白い結婚”だった。
夫のレイヴンは冷たく、長く屋敷を不在にし、アスカは孤独の中で公爵家の実態を知る――それは、先代から続く莫大な負債と、怪しい商会との闇契約によって破綻寸前に追い込まれた家だったのだ。
さらに、公爵家には謎めいた愛人セシリアが入り込み、家中の権力を掌握しようと暗躍している。使用人たちの不安、アーヴィング商会の差し押さえ圧力、そして消えた夫レイヴンの意図……。次々と押し寄せる困難の中、アスカはただの「飾りの夫人」として終わる人生を拒絶し、自ら未来を切り拓こうと動き始める。
政略結婚の檻の中で、彼女は周囲の陰謀に立ち向かい、少しずつ真実を掴んでいく。そして冷たく突き放していた夫レイヴンとの関係も、思わぬ形で変化していき――。
「私はもう誰の人形にもならない。自分の意志で、この家も未来も守り抜いてみせる!」
果たしてアスカは“白い結婚”という名の冷たい鎖を断ち切り、全てをざまあと思わせる大逆転を成し遂げられるのか?
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる