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第四部「さよならを告げる風の彼方に」編
11.そして、舞台の幕が降りても
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目を開くと書庫の風景が映り込んだ。静けさに包まれた部屋で膝をついたヴィルは、零れた涙の跡を見つめ小さく息を吸った。床に落ちた羅針盤と古い日記が、少年の前で淡い光を放っている。ぼんやりとした面持ちで手を伸ばすと、誰かの手が先に日記を拾い上げた。
「良かったのか、これで」
灰色の魔法使いは、半ば呆然と座り込む少年に寂しげな目を向けた。これで良いのか。問いに顔を上げたヴィルは、薄く笑いながら唇を震わせる。
「良かったか、だって? そんなこと、本気で聞いてるんじゃないだろうな」
「お前が父に望んだことが、二度と果たされないことだと理解できただろう。ギルベルトは……お前を置き去りにして死んだのではない。ただ、お前が父を追い越して生きて行くだけの話なのだ」
「そんな言葉遊びはどうでも良い……! なんで、俺にこんなものを見せた? 二度と手に入らないと思い知らせるために、あんなのを見せつけたっていうのかよ……⁉︎」
怨念にも似た想いを込め、ヴィルは魔法使いを睨みつける。ずっと欲しかったものは、父の死とともに失われてしまった。現実においてギルベルトが振り返ってくれることはもう二度とない。
愛も思慕も、死によって永遠に断絶した。どんなに望んだところで、ギルベルトはもう帰ってこない。二度と、ヴィルのそばに寄り添ってくれることもないのだ。
日記のページに指を当て、魔法使いは震えるだけの少年を見下ろした。乾いた書庫の空気の中に、涙に濡れた声音が響く。反響する悲しみの音が、胸に返ってくるのはわずかな間のこと。俯くことしかできないヴィルは、幼い子供のように激しく首を振る。
「手に入らないってわかっているなら、知りたくなんかなかった! ギルベルトが……父さんが、俺たちを想ってくれたとしても……! 俺はもう、それに何も返せないのに!」
「ヴィルヘルム」
魔法使いは短く息を吐くと、少年の前に膝をついた。色の薄い瞳に浮かぶ感情は、決して優しいばかりではない。さらりと流れ落ちた前髪の下で、彼は静かに言葉を紡いでいく。
「それが、永遠に分かたれるということなのだ」
人は永遠に生きない。それは定められたことで、誰にも覆せないのだと。だからこそ、生きる限り人は後悔を続けるだろうし、ゆえに後悔のない人生など存在しない。
魔法使いは日記の表紙を指でなぞってから、そっとそれをヴィルに差し出した。無言で見つめ返す少年の瞳には、うっすらと透明な膜が張っている。それが溢れて落ちる前に、まだ小さな手の中に日記が収められた。
「それでも俺たちは生きるのだろう。去っていったものに返せるものなど、生き続けることで人生を全うすることくらいなものなのだから。お前は後悔したのだろう? もう二度と父に会えず、父の想いに何も報いることができないことを。ならば、それがお前の中にある答えだ」
少年の手の中で日記が開かれた。自然にめくられて行くページは、全てギルベルトの想いで埋め尽くされている。黒ずむほどに書き込まれたそれを見つめ、子供は堪えきれずに涙をこぼす。
「お前もまた、父を愛していた。それを今——伝えてやるが良い」
そして、日記のページは白紙となる。だが、それで終わりではなかった。じっと見つめるだけだった少年の目の中に、見慣れた右斜めに傾いた文字が浮かび上がって行く。
——ヴィルヘルム。
これを読んでいる君は、一体いつの君だろうか。空は晴れているのだろうか、それとも曇っているのかな。雨でなければ良いと思う。君は雨が嫌いだったし、晴れている方が私も好きだから。
きっと私は、君に何も言えずに去ってしまったことだろう。まだ幼い君たちを残し、去ってしまう不義理を許してほしい。もっと時間があれば、せめて君たちが大人になる姿を見れたなら、どんなに良かっただろう。けれど私の身体は、それまで保たないみたいだ。
ずっと、悔やんでいたことがある。ヴィルヘルム、君に対する態度のことだ。
きっと君にとって、私は良い父親ではなかっただろう。どうしても、君とうまく言葉を交わすことができなかった。君が私を求めてくれているのを知っていたのに、私は君を抱きしめることもできなかった。
私は、薄情な父親だった。すまない、と言って許されるとは思っていない。
誰でもない私自身が、君の心を追い詰めてしまった。戦うことで君たちを守っているつもりだった。だが結局それは、ただの自己満足だったのだろう。
どうやっても取り戻せない。もっと時間があれば良いと今にして思うよ。どうしてこんな風になってしまったのだろう。もっとうまくやりようがあったのに、どうしてこんな風に。
「そんなの、決まっている」
そんなの決まっているよな。私がすべて悪いんだ。
「そうだよ、あんたが悪いんだ」
それでいい。そうして私をいつか忘れてくれ。こんな父親のことなど、覚えていなくても。
「バカなのか……!」
ヴィルヘム。それでも私はお前たちの事を想っているよ。ずっといつまでも、許されなくても良い。
「許すとか許さないとか、そんな事じゃなく」
それでも、愛しているよ。何があろうとそれは変わらない。私の魂がいつか巡ることがあったなら、もう一度君たちに会いに行く。何度でも、どこにいたとしても。
「どうでも良いよ、そんなの! 俺はただ、ずっと」
必ず行くから。すぐに戻るから。……もう一度、君たちに会いに行くから。
「ずっと、生きている父さんに会いたい……!」
だから今はさよならだ。
「嫌だ」
さようなら、おれの一番大切な子供たち。
「嫌だって言ってるだろ……!」
愛しているよ。
「行かないで」
何があろうと、愛しているよ。
「そんなの良いから」
ありがとう。
「父さん……!」
ありがとう、愛しいものたちよ。
文字が薄れ浮かび上がって行く。光が尾を引いてその言葉を追いかける。さようならと微笑みながら消えて行く文字たちに、ヴィルは手を伸ばす。伸ばしても手はすり抜ける。それでも手を伸ばせば、指先に冷たい感触が触れる。
——とこしえに、君を想うだろう。
きらりと輝いて消えたその跡形に、小さなロケットが浮かび上がっていた。古びた銀色は、いくつも傷がつき蓋も壊れかけている。だが中に残る家族の肖像は色褪せない。幼い子供たちの姿に最後の光が触れて、すっと音もなく消えて行く。
「なんでだ、よ」
手の中に日記とロケットを収め、少年はぽたぽたと雫をこぼす。もう二度と後戻りできない。わかっている。けれどそれでも、もう一度戻れるなら戻りたかった。
「とう、さん」
そっと、頭に温かな手が触れる。顔を上げれば、魔法使いが微かな笑みを浮かべて見つめていた。
「良いんだよ、もう」
その微笑みで、何もかも理解してしまった。ああ、そうなのだ。父はもう、この世界のどこにもいない。二度と、会うことはできないのだと——
「お、れ。父さんに会いたい……!」
「うん」
「な、んにも……何にも言えなかった! ちゃんと、おかえりなさいって、だいすきだよって」
「……うん」
「いえ、なかった……! ごめんなさい、とうさん……ちゃんと伝えられなくて」
ああ、そうか。ヴィルはやっと理解した。何故、父が死んだことを受け止められなかったのか。それはただ、自分の後悔が原因だったのだ。
父に対して伝えられなくなってしまった想いが、宙ぶらりんになって彷徨い続けていた。憎しみなんて初めから存在していなかったのだ。ヴィルはただ、父に知って欲しかっただけだった。
ヴィルヘルムが、ずっと父に憧れていたこと。そして、心から敬愛していたことを。
何も、伝えられなかった。涙だけが溢れて言葉をかき消して行く。どうやっても戻れない。これが後悔なのだと、その痛みの中で少年は泣き叫ぶ。
「良いんだよ、もう」
泣き続ける子供の背を撫でながら、魔法使いは優しい声で語りかける。後悔したって戻れないものは戻れない。わかっているからこそ、心は決して己を許さない。
その想いすらも飲み込むように、イクスは少年に穏やかな目を向けていた。痛みも悲しみも、すべては過去に変わっていく。だから今は、眠るようにやさしいぬくもりに包まれて。
「どうせ、あいつは全部わかっているよ。でなければ、お前がそんなに悲しくなるはずがないだろう?」
目を閉じれば、温かな光景が広がる。だがそれは過去だ。わかっているからこそ、思い出はいつも優しく——まぶたにゆっくりと幕を下ろしていく。
永遠などなくても良いと思えるようになるには、まだ足りない。けれど子供はいつか大人を追い越していく。
生きていればこそ、空が晴れる日も来るだろう。太陽の下でまた笑えるように、今はただ目を閉じていた。
「良かったのか、これで」
灰色の魔法使いは、半ば呆然と座り込む少年に寂しげな目を向けた。これで良いのか。問いに顔を上げたヴィルは、薄く笑いながら唇を震わせる。
「良かったか、だって? そんなこと、本気で聞いてるんじゃないだろうな」
「お前が父に望んだことが、二度と果たされないことだと理解できただろう。ギルベルトは……お前を置き去りにして死んだのではない。ただ、お前が父を追い越して生きて行くだけの話なのだ」
「そんな言葉遊びはどうでも良い……! なんで、俺にこんなものを見せた? 二度と手に入らないと思い知らせるために、あんなのを見せつけたっていうのかよ……⁉︎」
怨念にも似た想いを込め、ヴィルは魔法使いを睨みつける。ずっと欲しかったものは、父の死とともに失われてしまった。現実においてギルベルトが振り返ってくれることはもう二度とない。
愛も思慕も、死によって永遠に断絶した。どんなに望んだところで、ギルベルトはもう帰ってこない。二度と、ヴィルのそばに寄り添ってくれることもないのだ。
日記のページに指を当て、魔法使いは震えるだけの少年を見下ろした。乾いた書庫の空気の中に、涙に濡れた声音が響く。反響する悲しみの音が、胸に返ってくるのはわずかな間のこと。俯くことしかできないヴィルは、幼い子供のように激しく首を振る。
「手に入らないってわかっているなら、知りたくなんかなかった! ギルベルトが……父さんが、俺たちを想ってくれたとしても……! 俺はもう、それに何も返せないのに!」
「ヴィルヘルム」
魔法使いは短く息を吐くと、少年の前に膝をついた。色の薄い瞳に浮かぶ感情は、決して優しいばかりではない。さらりと流れ落ちた前髪の下で、彼は静かに言葉を紡いでいく。
「それが、永遠に分かたれるということなのだ」
人は永遠に生きない。それは定められたことで、誰にも覆せないのだと。だからこそ、生きる限り人は後悔を続けるだろうし、ゆえに後悔のない人生など存在しない。
魔法使いは日記の表紙を指でなぞってから、そっとそれをヴィルに差し出した。無言で見つめ返す少年の瞳には、うっすらと透明な膜が張っている。それが溢れて落ちる前に、まだ小さな手の中に日記が収められた。
「それでも俺たちは生きるのだろう。去っていったものに返せるものなど、生き続けることで人生を全うすることくらいなものなのだから。お前は後悔したのだろう? もう二度と父に会えず、父の想いに何も報いることができないことを。ならば、それがお前の中にある答えだ」
少年の手の中で日記が開かれた。自然にめくられて行くページは、全てギルベルトの想いで埋め尽くされている。黒ずむほどに書き込まれたそれを見つめ、子供は堪えきれずに涙をこぼす。
「お前もまた、父を愛していた。それを今——伝えてやるが良い」
そして、日記のページは白紙となる。だが、それで終わりではなかった。じっと見つめるだけだった少年の目の中に、見慣れた右斜めに傾いた文字が浮かび上がって行く。
——ヴィルヘルム。
これを読んでいる君は、一体いつの君だろうか。空は晴れているのだろうか、それとも曇っているのかな。雨でなければ良いと思う。君は雨が嫌いだったし、晴れている方が私も好きだから。
きっと私は、君に何も言えずに去ってしまったことだろう。まだ幼い君たちを残し、去ってしまう不義理を許してほしい。もっと時間があれば、せめて君たちが大人になる姿を見れたなら、どんなに良かっただろう。けれど私の身体は、それまで保たないみたいだ。
ずっと、悔やんでいたことがある。ヴィルヘルム、君に対する態度のことだ。
きっと君にとって、私は良い父親ではなかっただろう。どうしても、君とうまく言葉を交わすことができなかった。君が私を求めてくれているのを知っていたのに、私は君を抱きしめることもできなかった。
私は、薄情な父親だった。すまない、と言って許されるとは思っていない。
誰でもない私自身が、君の心を追い詰めてしまった。戦うことで君たちを守っているつもりだった。だが結局それは、ただの自己満足だったのだろう。
どうやっても取り戻せない。もっと時間があれば良いと今にして思うよ。どうしてこんな風になってしまったのだろう。もっとうまくやりようがあったのに、どうしてこんな風に。
「そんなの、決まっている」
そんなの決まっているよな。私がすべて悪いんだ。
「そうだよ、あんたが悪いんだ」
それでいい。そうして私をいつか忘れてくれ。こんな父親のことなど、覚えていなくても。
「バカなのか……!」
ヴィルヘム。それでも私はお前たちの事を想っているよ。ずっといつまでも、許されなくても良い。
「許すとか許さないとか、そんな事じゃなく」
それでも、愛しているよ。何があろうとそれは変わらない。私の魂がいつか巡ることがあったなら、もう一度君たちに会いに行く。何度でも、どこにいたとしても。
「どうでも良いよ、そんなの! 俺はただ、ずっと」
必ず行くから。すぐに戻るから。……もう一度、君たちに会いに行くから。
「ずっと、生きている父さんに会いたい……!」
だから今はさよならだ。
「嫌だ」
さようなら、おれの一番大切な子供たち。
「嫌だって言ってるだろ……!」
愛しているよ。
「行かないで」
何があろうと、愛しているよ。
「そんなの良いから」
ありがとう。
「父さん……!」
ありがとう、愛しいものたちよ。
文字が薄れ浮かび上がって行く。光が尾を引いてその言葉を追いかける。さようならと微笑みながら消えて行く文字たちに、ヴィルは手を伸ばす。伸ばしても手はすり抜ける。それでも手を伸ばせば、指先に冷たい感触が触れる。
——とこしえに、君を想うだろう。
きらりと輝いて消えたその跡形に、小さなロケットが浮かび上がっていた。古びた銀色は、いくつも傷がつき蓋も壊れかけている。だが中に残る家族の肖像は色褪せない。幼い子供たちの姿に最後の光が触れて、すっと音もなく消えて行く。
「なんでだ、よ」
手の中に日記とロケットを収め、少年はぽたぽたと雫をこぼす。もう二度と後戻りできない。わかっている。けれどそれでも、もう一度戻れるなら戻りたかった。
「とう、さん」
そっと、頭に温かな手が触れる。顔を上げれば、魔法使いが微かな笑みを浮かべて見つめていた。
「良いんだよ、もう」
その微笑みで、何もかも理解してしまった。ああ、そうなのだ。父はもう、この世界のどこにもいない。二度と、会うことはできないのだと——
「お、れ。父さんに会いたい……!」
「うん」
「な、んにも……何にも言えなかった! ちゃんと、おかえりなさいって、だいすきだよって」
「……うん」
「いえ、なかった……! ごめんなさい、とうさん……ちゃんと伝えられなくて」
ああ、そうか。ヴィルはやっと理解した。何故、父が死んだことを受け止められなかったのか。それはただ、自分の後悔が原因だったのだ。
父に対して伝えられなくなってしまった想いが、宙ぶらりんになって彷徨い続けていた。憎しみなんて初めから存在していなかったのだ。ヴィルはただ、父に知って欲しかっただけだった。
ヴィルヘルムが、ずっと父に憧れていたこと。そして、心から敬愛していたことを。
何も、伝えられなかった。涙だけが溢れて言葉をかき消して行く。どうやっても戻れない。これが後悔なのだと、その痛みの中で少年は泣き叫ぶ。
「良いんだよ、もう」
泣き続ける子供の背を撫でながら、魔法使いは優しい声で語りかける。後悔したって戻れないものは戻れない。わかっているからこそ、心は決して己を許さない。
その想いすらも飲み込むように、イクスは少年に穏やかな目を向けていた。痛みも悲しみも、すべては過去に変わっていく。だから今は、眠るようにやさしいぬくもりに包まれて。
「どうせ、あいつは全部わかっているよ。でなければ、お前がそんなに悲しくなるはずがないだろう?」
目を閉じれば、温かな光景が広がる。だがそれは過去だ。わかっているからこそ、思い出はいつも優しく——まぶたにゆっくりと幕を下ろしていく。
永遠などなくても良いと思えるようになるには、まだ足りない。けれど子供はいつか大人を追い越していく。
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