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第四部「さよならを告げる風の彼方に」編
4.承認の意義と彷徨の理由
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認められないことは、どうあっても認められないのだ。のろのろと歩んだところで、目の前の現実が消えることもない。所詮自分のやっていることなど、駄々をこねているだけだと理解もしていた。
「ん、どうしたんだ。疲れたならアンヌ……馬に乗るかい?」
気軽な調子で振り返り、その男はヴィルに笑いかける。その気さくな様子とかつての父の姿が重ならなくて、ヴィルは無言でそっぽを向いた。するとギルベルトは気弱に眉を下げ、しばらく前から黙り込んでいる魔法使いに視線を向ける。
「おれ、もしかして嫌われてる?」
「もしかしたら、とは何かの冗談なのか。そもそも存在自体が冗談の分際で、笑いを取ろうなどとは百年早い」
「どうしたイクス。今にも死にそうだぞ?」
「出不精の人間を出歩かせる無謀さに死にそうなのだ」
疲弊しきった声で告げて、魔法使いは再び肩を落とし歩き出した。少し足の裏をこするような歩き方は、元々の癖なのだろう。地面を削るような音を響かせながら、イクスは低い声で少年に語りかける。
「……納得行かなそうな顔だな」
「当然だろ。大体が突然連れてこられて、納得しろとか理不尽すぎる。ここどこなんだよ」
「うむむ、それか。ここはあの本の世界なのだ。魔導具《アーティファクト》である羅針盤の力で、ここに導かれている。つまりここは、本の記憶であり過去でもある……わかるか?」
「わからないけど言ってることはわかる。その本の記憶とあいつはどういう繋がりがあるんだ」
「それは、まあ」
言い澱まれると、不安が増大することに気づかないのか。口から出そうになった文句をこらえ、ヴィルは魔法使いを睨む。説明しても理解できないほど子供ではない。視線にそう込めれば、灰色の目がわずかに緩められる。
吐き出された息一つ分の空白。薄く微笑んだ瞳が前を行く姿を捉え、そっと静かにその事実を告げた。
「あの本があいつの日記だからだよ、少年」
————
——
—
魔法使いは語る。今彼らがいるのは、ギルベルトが記した日記の世界なのだと。
かつてのギルベルトが何を思い、どう生きていたのか。彼亡き今、それを知ることができるのはここしかない。たとえヴィルが望むことがないのだとしても、ギルベルトは魔法使いにこの日記を託した。
「その想いを理解しないのは公平とは言えないよな。……少なくとも、あいつはお前に知って欲しいと思っていたのだ。己がお前たちに向けていた、本当の想いのカタチを」
そんなこと理解できるわけもない。自分勝手にもほどがあると、ヴィルは首を振り前方を睨みつける。先を行く姿は変わることなく安穏としていて、それがひどく癪に触った。
「おい……! ギルベルト・シュタイツェン=ヴァールハイト!」
「え、うん? なに、どうしたの。てか、おれ名乗ったっけ」
「俺の名前はヴィルヘルムだ。あんた、自分の子供に対してなんの思いもないのか!」
「へっ。子供って君がおれの?」
さすがの魔法使いも驚き目を剥いた。ギルベルトと言えば、ぽかんと口を半開きにするのみ。自分の発した言葉に呆然としながらも、少年はぐっと唇を噛み締め男を見据える。
視線一つで人を威圧できるはずもないのに、薄青い瞳にギルベルトはたじろぐ。オロオロと周囲を見回すその様子は、到底人の上に立つような姿に見えない。一体この齟齬は何なのか。疑問に解答を得るより先に、ヴィルは黒髪の男に近づき——そのまま鳩尾に拳を叩き込んだ。
「ぐっ……ぇえー?」
「あーもう、見てるだけでイライラする! 何なんだよあんた! 仮にも騎士団の長とあろう者が、なにちょっとのことでオロオロしてんだよ! 見苦しいにもほどがあるだろ⁉︎」
「は、はぃ……おれ、騎士団長なの……?」
「口答えを、すんな」
「は、はい申し訳ございません」
長身を文字通り半分に折り、ギルベルトは少年に涙目を向ける。傍らの黒馬は、そんな主人に小さく鼻を鳴らす。魔法使いは白い顔をさらに白くして、親子であるはずの二人から後退ろうとした。
「それと、おい魔法使い」
「へ、おお俺? 私に物理攻撃は厳禁だ⁉︎」
「なに言ってんだよこの棒切れ魔法使い! 良いから状況説明! どうすれば終わるんだよこれ!」
地面が抉れるほど強く蹴り付け、ヴィルは大人たちを威圧する。ギルも完全に無力化され、逃げ場を失った魔法使いは、両手を軽く掲げたまま苦笑いを浮かべた。
「状況説明、とな。……ギルベルト、現状報告を頼む」
「え、へ。はい? 現状、我々はラッセン公国領からカーディス王国首都フレースベルグに帰還する最中でありますー。現在地は首都から徒歩三日ほどの場所にある、アルヴム旧道で……もうすぐミシェルと言う小さな村にたどり着きます。で、大丈夫?」
アルヴム旧道というのは、街道が整備される前に使われていた道の一つらしい。そんな説明を聞きながら、ヴィルは無言でイクスの腕を捕まえると、再び木陰に引きずっていく。
二度目ともなればなんであろうと慣れたもの、とは行かず。慌てふためく魔法使いは、少年の腕を払いながらふらふらと間合いを取った。
「な、何だ。まだ私に因縁をつけるか」
「因縁? はは、面白いなぁ。俺がいつあんたに因縁つけたって?」
「笑いながら怒るなヴィル少年。聞きたいことがあるなら答えるから、凄むなこわい」
「ならさっさと答えろ。これが日記の記憶だというのは理解した。でも、何であいつは俺が息子だと認識していないんだ。しかも、ここはカーディス王国なのか? 記憶なのに」
「つ、つまりだな。これはギルベルトの日記の世界であり、やつの過去の記憶でもあるのだ。だからあいつは、現在のお前を息子とは認識できない。なにせ、過去の記憶の存在であるわけで」
つまるところ、過去の記憶を根底に構築された別世界、ということなのか。顔をしかめて確認すれば、イクスは気楽に「そうだ」と答える。
「ギルベルトの主観で構築されたカーディス王国。ということだな。だからまあ、やつが無事に首都に帰還できた折には……我々も、無事に現実に戻れる、というところで」
「ということは、三日はこのままということなのか……他に帰る方法は」
「ない、とは言わないが、お勧めはしない。無理に帰ろうとすれば、お前には何らかの悪影響が出る可能性がある。無理に閉じた扉をこじ開けるには、代償が必要だろう?」
扉が開かれるのを待つ方が得策ということだろう。理性は納得しても、感情の方はなだめることができない。じっと足元を見つめた後、ヴィルはため息混じりに歩き出した。——父であるはずの男に向かって。
「ん、話は終わったのかい」
のんびりと振り返った顔は、やはり若くとも父のものだった。どれほど記憶と重ならなくとも、相手がヴィルを認識しなくとも。やはり彼はヴィルヘルムにとって、父に違いなかった。だから。
「許さないぞ、ギルベルト」
お前だけは、許さない。俺たちを振り返ることもしなかった、お前だけは。
低く唸るように告げて、少年は男の瞳を見上げる。驚きに彩られた顔に溜飲が下がるかと思ったら、さらなる苛立ちを呼ぶだけだった。しかし決して目を逸らさない。言うだけ言って逃げ出したなどと思われるのは、腹立たしいを通り越して気が狂いそうだ。
少年の激情を前に、ギルベルトはしばらく俯き黙り込んでいた。けれど不意に瞬き、顔を上げた彼は——一歩踏み出すと、少年をそっと抱きしめた。
「悲しいことが、あったんだね」
強くもなく、かといって弱くもなく。それでも包み込む両腕は温かい。訳もわからず、目を見開いたヴィルは、すぐそばにある瞳の優しさに言葉を失った。
「何があったのかは、おれにはわからないけど。でも、君は何も悪くないよ」
「なんで、そんなことがわかる」
「だって、君。すごく辛そうに見えるから。おれにも君と同じ名前の小さな息子がいてね……その子も、いつもそんな顔をしてる。だからたぶん、君は悪くない。おれが……全部悪いんだよ」
ごめんな。そうやって頭を撫でてくれる手は、あくまでも温かだった。穏やかな声音の謝罪に、ヴィルはぎゅっと目を瞑り、結局そのぬくもりを突き放す。許さない。唇だけで言葉を刻み、少年は父である男に背を向けた。
「謝ったって意味なんかない。俺も……その子も。あんたのことを許したりしない」
だって、どうせ手遅れなのだから。両手を握りしめ、湧き上がる震えに耐える。父はもういない。目の前にいるこれは、ただの幻影でしかないのだ。こんなものに想いを傾けられて喜ぶほど、幼くも悪趣味でもない。
「さあ、行こう。こんな茶番はさっさと終わらせてやる」
意気揚々、などとは程遠く。歩き出した彼らの行く先にあるのは小さな村。ほんのわずかばかりの時間、惑った薄青い瞳が見つめたもの。それは所詮、過去への愛惜だったのか——
「ん、どうしたんだ。疲れたならアンヌ……馬に乗るかい?」
気軽な調子で振り返り、その男はヴィルに笑いかける。その気さくな様子とかつての父の姿が重ならなくて、ヴィルは無言でそっぽを向いた。するとギルベルトは気弱に眉を下げ、しばらく前から黙り込んでいる魔法使いに視線を向ける。
「おれ、もしかして嫌われてる?」
「もしかしたら、とは何かの冗談なのか。そもそも存在自体が冗談の分際で、笑いを取ろうなどとは百年早い」
「どうしたイクス。今にも死にそうだぞ?」
「出不精の人間を出歩かせる無謀さに死にそうなのだ」
疲弊しきった声で告げて、魔法使いは再び肩を落とし歩き出した。少し足の裏をこするような歩き方は、元々の癖なのだろう。地面を削るような音を響かせながら、イクスは低い声で少年に語りかける。
「……納得行かなそうな顔だな」
「当然だろ。大体が突然連れてこられて、納得しろとか理不尽すぎる。ここどこなんだよ」
「うむむ、それか。ここはあの本の世界なのだ。魔導具《アーティファクト》である羅針盤の力で、ここに導かれている。つまりここは、本の記憶であり過去でもある……わかるか?」
「わからないけど言ってることはわかる。その本の記憶とあいつはどういう繋がりがあるんだ」
「それは、まあ」
言い澱まれると、不安が増大することに気づかないのか。口から出そうになった文句をこらえ、ヴィルは魔法使いを睨む。説明しても理解できないほど子供ではない。視線にそう込めれば、灰色の目がわずかに緩められる。
吐き出された息一つ分の空白。薄く微笑んだ瞳が前を行く姿を捉え、そっと静かにその事実を告げた。
「あの本があいつの日記だからだよ、少年」
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魔法使いは語る。今彼らがいるのは、ギルベルトが記した日記の世界なのだと。
かつてのギルベルトが何を思い、どう生きていたのか。彼亡き今、それを知ることができるのはここしかない。たとえヴィルが望むことがないのだとしても、ギルベルトは魔法使いにこの日記を託した。
「その想いを理解しないのは公平とは言えないよな。……少なくとも、あいつはお前に知って欲しいと思っていたのだ。己がお前たちに向けていた、本当の想いのカタチを」
そんなこと理解できるわけもない。自分勝手にもほどがあると、ヴィルは首を振り前方を睨みつける。先を行く姿は変わることなく安穏としていて、それがひどく癪に触った。
「おい……! ギルベルト・シュタイツェン=ヴァールハイト!」
「え、うん? なに、どうしたの。てか、おれ名乗ったっけ」
「俺の名前はヴィルヘルムだ。あんた、自分の子供に対してなんの思いもないのか!」
「へっ。子供って君がおれの?」
さすがの魔法使いも驚き目を剥いた。ギルベルトと言えば、ぽかんと口を半開きにするのみ。自分の発した言葉に呆然としながらも、少年はぐっと唇を噛み締め男を見据える。
視線一つで人を威圧できるはずもないのに、薄青い瞳にギルベルトはたじろぐ。オロオロと周囲を見回すその様子は、到底人の上に立つような姿に見えない。一体この齟齬は何なのか。疑問に解答を得るより先に、ヴィルは黒髪の男に近づき——そのまま鳩尾に拳を叩き込んだ。
「ぐっ……ぇえー?」
「あーもう、見てるだけでイライラする! 何なんだよあんた! 仮にも騎士団の長とあろう者が、なにちょっとのことでオロオロしてんだよ! 見苦しいにもほどがあるだろ⁉︎」
「は、はぃ……おれ、騎士団長なの……?」
「口答えを、すんな」
「は、はい申し訳ございません」
長身を文字通り半分に折り、ギルベルトは少年に涙目を向ける。傍らの黒馬は、そんな主人に小さく鼻を鳴らす。魔法使いは白い顔をさらに白くして、親子であるはずの二人から後退ろうとした。
「それと、おい魔法使い」
「へ、おお俺? 私に物理攻撃は厳禁だ⁉︎」
「なに言ってんだよこの棒切れ魔法使い! 良いから状況説明! どうすれば終わるんだよこれ!」
地面が抉れるほど強く蹴り付け、ヴィルは大人たちを威圧する。ギルも完全に無力化され、逃げ場を失った魔法使いは、両手を軽く掲げたまま苦笑いを浮かべた。
「状況説明、とな。……ギルベルト、現状報告を頼む」
「え、へ。はい? 現状、我々はラッセン公国領からカーディス王国首都フレースベルグに帰還する最中でありますー。現在地は首都から徒歩三日ほどの場所にある、アルヴム旧道で……もうすぐミシェルと言う小さな村にたどり着きます。で、大丈夫?」
アルヴム旧道というのは、街道が整備される前に使われていた道の一つらしい。そんな説明を聞きながら、ヴィルは無言でイクスの腕を捕まえると、再び木陰に引きずっていく。
二度目ともなればなんであろうと慣れたもの、とは行かず。慌てふためく魔法使いは、少年の腕を払いながらふらふらと間合いを取った。
「な、何だ。まだ私に因縁をつけるか」
「因縁? はは、面白いなぁ。俺がいつあんたに因縁つけたって?」
「笑いながら怒るなヴィル少年。聞きたいことがあるなら答えるから、凄むなこわい」
「ならさっさと答えろ。これが日記の記憶だというのは理解した。でも、何であいつは俺が息子だと認識していないんだ。しかも、ここはカーディス王国なのか? 記憶なのに」
「つ、つまりだな。これはギルベルトの日記の世界であり、やつの過去の記憶でもあるのだ。だからあいつは、現在のお前を息子とは認識できない。なにせ、過去の記憶の存在であるわけで」
つまるところ、過去の記憶を根底に構築された別世界、ということなのか。顔をしかめて確認すれば、イクスは気楽に「そうだ」と答える。
「ギルベルトの主観で構築されたカーディス王国。ということだな。だからまあ、やつが無事に首都に帰還できた折には……我々も、無事に現実に戻れる、というところで」
「ということは、三日はこのままということなのか……他に帰る方法は」
「ない、とは言わないが、お勧めはしない。無理に帰ろうとすれば、お前には何らかの悪影響が出る可能性がある。無理に閉じた扉をこじ開けるには、代償が必要だろう?」
扉が開かれるのを待つ方が得策ということだろう。理性は納得しても、感情の方はなだめることができない。じっと足元を見つめた後、ヴィルはため息混じりに歩き出した。——父であるはずの男に向かって。
「ん、話は終わったのかい」
のんびりと振り返った顔は、やはり若くとも父のものだった。どれほど記憶と重ならなくとも、相手がヴィルを認識しなくとも。やはり彼はヴィルヘルムにとって、父に違いなかった。だから。
「許さないぞ、ギルベルト」
お前だけは、許さない。俺たちを振り返ることもしなかった、お前だけは。
低く唸るように告げて、少年は男の瞳を見上げる。驚きに彩られた顔に溜飲が下がるかと思ったら、さらなる苛立ちを呼ぶだけだった。しかし決して目を逸らさない。言うだけ言って逃げ出したなどと思われるのは、腹立たしいを通り越して気が狂いそうだ。
少年の激情を前に、ギルベルトはしばらく俯き黙り込んでいた。けれど不意に瞬き、顔を上げた彼は——一歩踏み出すと、少年をそっと抱きしめた。
「悲しいことが、あったんだね」
強くもなく、かといって弱くもなく。それでも包み込む両腕は温かい。訳もわからず、目を見開いたヴィルは、すぐそばにある瞳の優しさに言葉を失った。
「何があったのかは、おれにはわからないけど。でも、君は何も悪くないよ」
「なんで、そんなことがわかる」
「だって、君。すごく辛そうに見えるから。おれにも君と同じ名前の小さな息子がいてね……その子も、いつもそんな顔をしてる。だからたぶん、君は悪くない。おれが……全部悪いんだよ」
ごめんな。そうやって頭を撫でてくれる手は、あくまでも温かだった。穏やかな声音の謝罪に、ヴィルはぎゅっと目を瞑り、結局そのぬくもりを突き放す。許さない。唇だけで言葉を刻み、少年は父である男に背を向けた。
「謝ったって意味なんかない。俺も……その子も。あんたのことを許したりしない」
だって、どうせ手遅れなのだから。両手を握りしめ、湧き上がる震えに耐える。父はもういない。目の前にいるこれは、ただの幻影でしかないのだ。こんなものに想いを傾けられて喜ぶほど、幼くも悪趣味でもない。
「さあ、行こう。こんな茶番はさっさと終わらせてやる」
意気揚々、などとは程遠く。歩き出した彼らの行く先にあるのは小さな村。ほんのわずかばかりの時間、惑った薄青い瞳が見つめたもの。それは所詮、過去への愛惜だったのか——
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