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第三部「魔法使いの掟とソフィラの願い」編
後日談「君の行く道」
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それから、しばらく時は流れて。
村には収穫祭の時期が訪れた。クルスやルパートが駆けずり回り、周囲の人々はのんびり酒瓶片手に語り合う。子供たちは子供たちで、新たに加わったノヴァを中心に、屋台を回りつつ駆け回っている。
そんな賑やかな祭りの日に、暗い顔をしているのは魔法使いの親子だけだった。キールとフラメウは、今回の騒ぎの責任を取る形で、祭りの裏方を引き受ける羽目になってしまったのだ。
「キール、一生の頼みがあるのだが」
「何。それさっきから十回くらい聞いてるけど。ほら父さん、そっちの支柱しっかり支えてよ。舞台の設営間に合わなかったら、花火を打ち上げる羽目になるんだからね」
「どのみち、私が打ち上げるのだと思うのだが。それよりキール、喉が渇いた」
「そこに井戸あるから好きなだけ水をどうそ。ほら、ちゃんと押さえてってば」
「非常に理不尽である……」
そんなことをしているうちに舞台が出来上がり、キールたちはお役御免となった。見回りに来たルパートが軽く「ごくろーさん」と肩を叩けば、フラメウは無言で棒切れ勝手に襲いかかる。
いい歳した大人たちの戦いを皆で見物していると、キールは背後に気配を感じた。何の気なしに振り返ってみれば、そこにはいつもと違う雰囲気のミレイユがいた。
「うん、どうしたんだい。何か困ったことでもあった?」
「あの、キールさん。ボク……謝りたくて」
「謝る?」
首を傾げたキールの前で、ミレイユは深々と頭を下げた。唐突な行動に皆、驚いたように注目している、さすがに居心地悪くなってキールが頭を振れば、ミレイユは泣き出しそうな声で言葉を続けた。
「ごめんなさい……! ボク、キールさんにとんでもないことを! 本当にごめんなさい!」
「え、いや。あの時は普通の状況じゃなかったし。大丈夫だよ。僕もなんともないし……それよりも、ミレイユが無事でよかった」
「キールさん……ありがとう。でも、それじゃボクの気持ちがおさまらない。だから、いつかこの埋め合わせはします!」
いや、そういうのは本当に。キールが断ろうとするのを遮るように、ミレイユは駆け出していってしまう。そんな若者の様子に、争いの手を止めたルパートとフラメウは呑気につぶやく。
「いやー、青春だねー」
「キールの朴念仁さが際立つな」
「……あのね」
そんなこんなで祭りは進み、夕刻ともなると大人は皆、良い感じに酔いが回り始める。キールは辞退したが、フラメウは気づけばどこかで捕まったのか、酒宴に巻き込まれてしまっていた。
子供たちは相変わらず元気で、周囲を走り回っている。その中にロランの姿を見つけ、手を挙げてみせる。すると少年は、何かを探すように視線を彷徨わせながら駆け寄ってきた。
「キール兄、どっかでノヴァ見なかった?」
「ノヴァ? さあ、ロランたちと遊んでいたんじゃないのか」
「それがさ、さっきから姿が見えないんだよ。オレたちも探してるけど、兄ちゃんも時間があるなら探してくれね? あいつちょっと抜けてるから、気になってさ」
「わかった。回るついでに探してみるよ。ロランたちは、あまり変な場所に入り込むなよ」
わかってる。元気な返事を残し、ロランは仲間たちのところへ戻っていく。去っていく姿を見送り、キールは一息ついてから、ノヴァを探すため歩き出した。
祭りの会場、屋台の合間。探しながら歩くと、日も暮れ始める。そのうち、村人の一人から、村の外れに向かったのを見たという証言を得て、キールは沈んでいく太陽を背に歩んでいく。
村はずれには、穀倉地帯が見渡せる小さな丘があった。明かりもまばらなそこを進んでいくと、丘の上に座る小さな背中を見つける。一度足を止め、再び歩き出したキールは、そっと少女に声をかけた。
「ノヴァ。こんなところでどうしたんだ」
ピクリと耳が動き、ノヴァは驚いたように立ち上がった。その身はなぜが薄闇の中でも、はっきりと浮かび上がっていて——奇妙な事実に、キールは嫌な予感を覚える。
「キールちゃん、来ちゃだめ」
一歩下がるごとに、ノヴァから光の粉が舞い上がる。キールは驚きつつも、それほど動揺していない自分に気づいていた。遠ざかろうとするノヴァに、キールは確信を込めて言葉を投げかける。
「もう、君は消えてしまうのか」
ノヴァは何も答えず首を横に振った。否定ではなく、それは紛うことなき肯定だった。光が舞うに従い、ノヴァの姿は薄れていく。消えてしまう。その考えた瞬間、キールは少女の腕を掴んでいた。
「行かせない」
「だめ、だよ。だって、ノヴァ、全部の力、使っちゃったんだよ。おしさまがノヴァにくれたもの全部。だからもう、ノヴァは終わりなの。もう、みんなと一緒にはいられないの」
涙に濡れた瞳で青年を見上げ、ノヴァは唇を噛み締め俯いた。だから、勝手に消えようとしたのか。怒りよりも寂しさで目の前が暗くなった。キールは少女の肩を両手で掴むと、しっかりとした口調で訴える。
「だからって、黙って行ってしまうな。みんな、君がいなくなったら悲しむ。それにノヴァだって、みんなと一緒にいたいと思っているんだろう?」
「でも、もう無理だよ……ノヴァがノヴァでいられるのは、おしさまの魔法の力が身体に流れているからだよ。それがなくなっちゃったら……どうやっても、きえてしまうの……!」
こぼれ落ちる涙を拭うことなく、少女は泣いた。悲しい想いを表しながらも、彼女は自分が消えてしまうことを受け入れている。そのことが悲しくて辛くて、キールは強く少女を揺さぶった。
「僕は、約束したんだ。ノヴァを助けてあげるって」
「キール、ちゃん」
「だからずっと、考えていた。僕に何ができるだろうって。ずっと考えて、考えて。やっと今、僕も決心がついた」
キールは片手を自分の胸に当て、大きく息を吐いた。決心したとはいえ、うまくいくとは限らない。目を瞬かせるノヴァに笑ってみせると、彼は静かに言葉を吐き出した。
「ノヴァに、僕の魔力を全部あげる」
胸に当てた手のひらから、白く小さな花が咲き始める。その花はシフソフィラ。叶えられた願いを反映した魔法は、小さな輝きを放ちながら、一つの白い石を形作り始める。
「キールちゃん……! そんなことしたら、キールちゃんは」
「もう二度と、魔法は使えなくなるだろうね。だけどもういいんだ。僕が本当に欲しかったものは手に入っている。だからノヴァには、これを受け取って欲しいんだ」
白い小さな、手のひらに収まってしまうほどの花の形をした石だった。それを消え行こうとするノヴァに差し出して、キールは困ったように笑った。最後の魔法がこんな風な形だったとしても、彼は悔やむことはなかった。
「これが僕に出来る、ノヴァへの贈り物。こういうプレゼントも、たまには悪くないだろう?」
キールの手から白い花の石が離れ、輝きながら少女の胸へと吸い込まれていく。その瞬間、ノヴァの身体が一際強く輝き、消えて行こうとしていた光が再び戻ってくる。
ゆるやかに安らかに。光に包まれた少女と青年の向こうで、一筋の花火が上がる。夜空に大輪の花を咲かせた輝きが散って落ちる頃、ノヴァはキールの前で穏やかに微笑んだ。
「キールちゃんも、結構無茶苦茶だよね」
そう言って笑うノヴァの頭には、獣の耳はなかった。後ろで揺れる尻尾も、特徴的だった獣の瞳すらも消え去り、そこに立っていたのは一人のどこにでもいる少女だった。
「僕の力は確かに不完全だから、ノヴァの不完全な部分を補うくらいしかできない。でも、たぶんそれが正解だ。下手に完全なものを作り出そうとするより、埋め合う方がよほど人らしいと思わないか」
キールも笑い、ノヴァの頭に軽く触れた。何度も打ち上がる花火は、きっとフラメウの力の賜物だ。けれど、キールはそれを羨むことはなかった。フラメウにはフラメウの、キールにはキールの道がある。そしてきっと、ノヴァにだって。
「道はどこまで続くかわからないけど、生きよう。みんなと一緒に」
飾り気のない言葉に微笑むと、ノヴァは輝くような笑顔で笑った。
生きることは結局、何かを失っていくことなのかもしれない。
だがそれでも人は何かを得て、誰かを愛することを知る。
それが幸せだというのならば、生まれてきたことこそ、生涯ただ一度の奇跡なのだろう。
どうか全ての子らよ幸せに。
そんな願いとともに、命は巡り生き続ける。
村には収穫祭の時期が訪れた。クルスやルパートが駆けずり回り、周囲の人々はのんびり酒瓶片手に語り合う。子供たちは子供たちで、新たに加わったノヴァを中心に、屋台を回りつつ駆け回っている。
そんな賑やかな祭りの日に、暗い顔をしているのは魔法使いの親子だけだった。キールとフラメウは、今回の騒ぎの責任を取る形で、祭りの裏方を引き受ける羽目になってしまったのだ。
「キール、一生の頼みがあるのだが」
「何。それさっきから十回くらい聞いてるけど。ほら父さん、そっちの支柱しっかり支えてよ。舞台の設営間に合わなかったら、花火を打ち上げる羽目になるんだからね」
「どのみち、私が打ち上げるのだと思うのだが。それよりキール、喉が渇いた」
「そこに井戸あるから好きなだけ水をどうそ。ほら、ちゃんと押さえてってば」
「非常に理不尽である……」
そんなことをしているうちに舞台が出来上がり、キールたちはお役御免となった。見回りに来たルパートが軽く「ごくろーさん」と肩を叩けば、フラメウは無言で棒切れ勝手に襲いかかる。
いい歳した大人たちの戦いを皆で見物していると、キールは背後に気配を感じた。何の気なしに振り返ってみれば、そこにはいつもと違う雰囲気のミレイユがいた。
「うん、どうしたんだい。何か困ったことでもあった?」
「あの、キールさん。ボク……謝りたくて」
「謝る?」
首を傾げたキールの前で、ミレイユは深々と頭を下げた。唐突な行動に皆、驚いたように注目している、さすがに居心地悪くなってキールが頭を振れば、ミレイユは泣き出しそうな声で言葉を続けた。
「ごめんなさい……! ボク、キールさんにとんでもないことを! 本当にごめんなさい!」
「え、いや。あの時は普通の状況じゃなかったし。大丈夫だよ。僕もなんともないし……それよりも、ミレイユが無事でよかった」
「キールさん……ありがとう。でも、それじゃボクの気持ちがおさまらない。だから、いつかこの埋め合わせはします!」
いや、そういうのは本当に。キールが断ろうとするのを遮るように、ミレイユは駆け出していってしまう。そんな若者の様子に、争いの手を止めたルパートとフラメウは呑気につぶやく。
「いやー、青春だねー」
「キールの朴念仁さが際立つな」
「……あのね」
そんなこんなで祭りは進み、夕刻ともなると大人は皆、良い感じに酔いが回り始める。キールは辞退したが、フラメウは気づけばどこかで捕まったのか、酒宴に巻き込まれてしまっていた。
子供たちは相変わらず元気で、周囲を走り回っている。その中にロランの姿を見つけ、手を挙げてみせる。すると少年は、何かを探すように視線を彷徨わせながら駆け寄ってきた。
「キール兄、どっかでノヴァ見なかった?」
「ノヴァ? さあ、ロランたちと遊んでいたんじゃないのか」
「それがさ、さっきから姿が見えないんだよ。オレたちも探してるけど、兄ちゃんも時間があるなら探してくれね? あいつちょっと抜けてるから、気になってさ」
「わかった。回るついでに探してみるよ。ロランたちは、あまり変な場所に入り込むなよ」
わかってる。元気な返事を残し、ロランは仲間たちのところへ戻っていく。去っていく姿を見送り、キールは一息ついてから、ノヴァを探すため歩き出した。
祭りの会場、屋台の合間。探しながら歩くと、日も暮れ始める。そのうち、村人の一人から、村の外れに向かったのを見たという証言を得て、キールは沈んでいく太陽を背に歩んでいく。
村はずれには、穀倉地帯が見渡せる小さな丘があった。明かりもまばらなそこを進んでいくと、丘の上に座る小さな背中を見つける。一度足を止め、再び歩き出したキールは、そっと少女に声をかけた。
「ノヴァ。こんなところでどうしたんだ」
ピクリと耳が動き、ノヴァは驚いたように立ち上がった。その身はなぜが薄闇の中でも、はっきりと浮かび上がっていて——奇妙な事実に、キールは嫌な予感を覚える。
「キールちゃん、来ちゃだめ」
一歩下がるごとに、ノヴァから光の粉が舞い上がる。キールは驚きつつも、それほど動揺していない自分に気づいていた。遠ざかろうとするノヴァに、キールは確信を込めて言葉を投げかける。
「もう、君は消えてしまうのか」
ノヴァは何も答えず首を横に振った。否定ではなく、それは紛うことなき肯定だった。光が舞うに従い、ノヴァの姿は薄れていく。消えてしまう。その考えた瞬間、キールは少女の腕を掴んでいた。
「行かせない」
「だめ、だよ。だって、ノヴァ、全部の力、使っちゃったんだよ。おしさまがノヴァにくれたもの全部。だからもう、ノヴァは終わりなの。もう、みんなと一緒にはいられないの」
涙に濡れた瞳で青年を見上げ、ノヴァは唇を噛み締め俯いた。だから、勝手に消えようとしたのか。怒りよりも寂しさで目の前が暗くなった。キールは少女の肩を両手で掴むと、しっかりとした口調で訴える。
「だからって、黙って行ってしまうな。みんな、君がいなくなったら悲しむ。それにノヴァだって、みんなと一緒にいたいと思っているんだろう?」
「でも、もう無理だよ……ノヴァがノヴァでいられるのは、おしさまの魔法の力が身体に流れているからだよ。それがなくなっちゃったら……どうやっても、きえてしまうの……!」
こぼれ落ちる涙を拭うことなく、少女は泣いた。悲しい想いを表しながらも、彼女は自分が消えてしまうことを受け入れている。そのことが悲しくて辛くて、キールは強く少女を揺さぶった。
「僕は、約束したんだ。ノヴァを助けてあげるって」
「キール、ちゃん」
「だからずっと、考えていた。僕に何ができるだろうって。ずっと考えて、考えて。やっと今、僕も決心がついた」
キールは片手を自分の胸に当て、大きく息を吐いた。決心したとはいえ、うまくいくとは限らない。目を瞬かせるノヴァに笑ってみせると、彼は静かに言葉を吐き出した。
「ノヴァに、僕の魔力を全部あげる」
胸に当てた手のひらから、白く小さな花が咲き始める。その花はシフソフィラ。叶えられた願いを反映した魔法は、小さな輝きを放ちながら、一つの白い石を形作り始める。
「キールちゃん……! そんなことしたら、キールちゃんは」
「もう二度と、魔法は使えなくなるだろうね。だけどもういいんだ。僕が本当に欲しかったものは手に入っている。だからノヴァには、これを受け取って欲しいんだ」
白い小さな、手のひらに収まってしまうほどの花の形をした石だった。それを消え行こうとするノヴァに差し出して、キールは困ったように笑った。最後の魔法がこんな風な形だったとしても、彼は悔やむことはなかった。
「これが僕に出来る、ノヴァへの贈り物。こういうプレゼントも、たまには悪くないだろう?」
キールの手から白い花の石が離れ、輝きながら少女の胸へと吸い込まれていく。その瞬間、ノヴァの身体が一際強く輝き、消えて行こうとしていた光が再び戻ってくる。
ゆるやかに安らかに。光に包まれた少女と青年の向こうで、一筋の花火が上がる。夜空に大輪の花を咲かせた輝きが散って落ちる頃、ノヴァはキールの前で穏やかに微笑んだ。
「キールちゃんも、結構無茶苦茶だよね」
そう言って笑うノヴァの頭には、獣の耳はなかった。後ろで揺れる尻尾も、特徴的だった獣の瞳すらも消え去り、そこに立っていたのは一人のどこにでもいる少女だった。
「僕の力は確かに不完全だから、ノヴァの不完全な部分を補うくらいしかできない。でも、たぶんそれが正解だ。下手に完全なものを作り出そうとするより、埋め合う方がよほど人らしいと思わないか」
キールも笑い、ノヴァの頭に軽く触れた。何度も打ち上がる花火は、きっとフラメウの力の賜物だ。けれど、キールはそれを羨むことはなかった。フラメウにはフラメウの、キールにはキールの道がある。そしてきっと、ノヴァにだって。
「道はどこまで続くかわからないけど、生きよう。みんなと一緒に」
飾り気のない言葉に微笑むと、ノヴァは輝くような笑顔で笑った。
生きることは結局、何かを失っていくことなのかもしれない。
だがそれでも人は何かを得て、誰かを愛することを知る。
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