上 下
3 / 3

3話

しおりを挟む

 まぁ、それはともかく……。……寮に向かおうっと!
 多分、私服を着ている人たちの後を追えばつくよね。……それにしても流石乙女ゲームの世界。見渡す限り美男美女。『ルシル』も結構美人……いや、可愛い系かこの顔は。確か寮生活は相部屋なのよね。誰と相部屋なのか楽しみだわ。

「……ここが寮? お城じゃなくて……?」

 寮の外観を初めて見た。お城と言われても納得する見た目だ。とにかく中へ入ってみよう。中に入ると、私服の人たちがたくさん居た。わー、賑やか! この中に私と同室の子が居るってことだよね。

「新入生かしら?」
「はい!」
「では、くじを引いて下さる?」

 すっと中身の見えない箱を差し出された。私は首を傾げながらもごそごそとくじを引き抜く。

「何番だった?」
「ええと……十番です」
「そう。十番の子、まだいらっしゃる?」
「あ、はい! わたし、十番です!」
「わたくしも」

 手を上げたのは私よりも背の低い女の子と、背の高い女の子だった。わぁ、背の小さい女の子は可愛いし、背の高い女の子は美人だった。あ、もしかして同室の子かな?

「じゃあ、一緒に移動してね。廊下を真っ直ぐ歩くと、階段があるから、階段を上って左側の奥。角部屋ね。そこがあなたたちの部屋よ。最初に鍵を渡しておくわね。はい、部屋の鍵。無くしちゃダメよ」
「わかりました」

 鍵を受け取って、女の子たちと一緒に移動する。……それにしても、相部屋の決め方がまさかのくじ引きとは……。とりあえず部屋についたから、扉をノックする。すると、「はーい」と声が返って来た。

「いらっしゃい、新入生のみんな!」
「ご、ごきげんよう!」

 ガチャっと扉が開いて、笑顔で出迎えてくれた人がいた。この人も美人だ……。流石ね、乙女ゲーム……!

「歓迎するわ、入って入って」

 歓迎された……。私たちが部屋に入り、荷物を置くと改めて部屋の中を見渡す。四人部屋ってことかな。広いなぁ。ベッドが四つ、置いてある。どれも天蓋付き。……どんだけ広いんだ、この部屋。四人部屋と言っても仕切りがついているからちょっとした個人部屋のようにも見える。仕切られた中にクローゼットとドレッサーがあるから余計に、かな。

「……すごい……」
「思ったより広い……!」
「……寮の部屋って全部こんな感じなのかしら……?」

 ここから、学園生活がスタートするんだ……! 楽しみだなぁ!
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は婚約破棄したいのに王子から溺愛されています。

白雪みなと
恋愛
この世界は乙女ゲームであると気づいた悪役令嬢ポジションのクリスタル・フェアリィ。 筋書き通りにやらないとどうなるか分かったもんじゃない。それに、貴族社会で生きていける気もしない。 ということで、悪役令嬢として候補に嫌われ、国外追放されるよう頑張るのだったが……。 王子さま、なぜ私を溺愛してらっしゃるのですか?

変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ

奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。  スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな

転生できる悪役令嬢に転生しました。~執着婚約者から逃げられません!

九重
恋愛
気がつけば、とある乙女ゲームの悪役令嬢に転生していた主人公。 しかし、この悪役令嬢は十五歳で死んでしまう不治の病にかかった薄幸な悪役令嬢だった。 ヒロインをいじめ抜いたあげく婚約者に断罪され、心身ともに苦しみ抜いて死んでしまう悪役令嬢は、転生して再び悪役令嬢――――いや悪役幼女として活躍する。 しかし、主人公はそんなことまっぴらゴメンだった。 どうせ転生できるならと、早々に最初の悪役令嬢の人生から逃げだそうとするのだが…… これは、転生できる悪役令嬢に転生した主人公が、執着婚約者に捕まって幸せになる物語。

【完結】異世界転生した先は断罪イベント五秒前!

春風悠里
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、まさかの悪役令嬢で断罪イベント直前! さて、どうやって切り抜けようか? (全6話で完結) ※一般的なざまぁではありません ※他サイト様にも掲載中

気配消し令嬢の失敗

かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。 15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。 ※王子は曾祖母コンです。 ※ユリアは悪役令嬢ではありません。 ※タグを少し修正しました。 初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

悪役令嬢に転生したので、やりたい放題やって派手に散るつもりでしたが、なぜか溺愛されています

平山和人
恋愛
伯爵令嬢であるオフィーリアは、ある日、前世の記憶を思い出す、前世の自分は平凡なOLでトラックに轢かれて死んだことを。 自分が転生したのは散財が趣味の悪役令嬢で、王太子と婚約破棄の上、断罪される運命にある。オフィーリアは運命を受け入れ、どうせ断罪されるなら好きに生きようとするが、なぜか周囲から溺愛されてしまう。

軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら

夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。  それは極度の面食いということ。  そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。 「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ! だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」  朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい? 「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」  あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?  それをわたしにつける??  じょ、冗談ですよね──!?!?

処理中です...