オカルト研究部員の非日常な日常

秋月一花

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3章:探求

合宿 5話

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 男子トイレを回るといっても、ただ中に入ってすぐに戻る、という数分もしないでできることだったので、あっという間に終わってしまった。というよりも、オカルト研究部の男性陣が一斉に入ってきたので、トイレにいた生徒たちは『またなんか変なことをやり始めている』という認識のようだ。

「……やっぱり昼間だとなにもないねぇ」

 残念そうに肩を落とす佑心うみに、架瑠かけるは「校内も賑やかですしね」と彼の背中に手を置く。

 オカルト好きな佑心は、いつだって刺激を求めていろいろなことを試していた。

 今年度に入って、異界に行ったり怪異に巻き込まれたりと、非日常な日常が続いている。

 つむぎは佑心をじっと見つめて、腕を組む。

「前々から思っていたが、どうしてお前はそんなにオカルトが好きなんだ?」

 その問いかけが意外だったのか、佑心は目を丸くして、すぐにふっと柔らかく笑みを浮かべて、両腕を広げた。

「人の目に視えないモノ、普段は行けない場所、ではないか!」

 佑心の目はキラキラと好奇心できらめていた。紬は呆れたように額に手を置き、緩やかに首を振る。

「それに、謎に満ちているから『怖い』のであって、真相がわかれば『怖くなくなる』のかも検証できるしね。もともと、架瑠くんは怪異を『知ること』が目的だろう?」

 突然話を振られて、架瑠は慌ててうなずいた。

 とはいえ、怪異は謎に満ちていて、真相にたどりつくのは時間がかかりそうだ、とひっそりと思っている。

 架瑠の様子を眺め、紬は組んでいた腕を崩し、腰に手を添えた。

「……胡散臭い」
「それ、きっとキミに言われたくないと思うよ、怪異も」

 男子トイレだけを見て回るのもなんだから、と構内をめぐる。

 校庭からは部活動をしている生徒たちの声、音楽室からは吹奏楽部が練習している音色、その他にもいろいろな音が聞こえ、架瑠はふっと表情を和らげた。

 いろんな音に包まれていると、ここに一人ではないと実感できる。

「さっきの、どういう意味だ?」
「言葉の通りさ。銀華ぎんかくんではないが、キミだって怪異側そっちに近い存在だろう?」

 片目を閉じる佑心に、近くを通りかかった女生徒たちの「キャー!」という黄色い悲鳴が耳に届く。

 佑心の容姿の良さを、改めて感じ、架瑠は苦笑を浮かべた。

「相変わらず人気者ですね」
「この顔のおかげだねぇ」

 自身もそう思っていたのか、女子生徒たちに向かいにっこりと笑顔を見せる佑心。彼女たちは再び「キャー!」と歓声を上げ、まるでアイドルにファンサを求めるように手を振る。

 それに応える佑心に、架瑠は人気者って大変そうだなぁとぼんやり考えた。
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