オカルト研究部員の非日常な日常

秋月一花

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2章:異存

帰還

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 どす黒い血でできた人間ヒトの手が氷漬けになり、銀華ぎんかはパチンと扇子を閉じた。そのまま扇子を勢いよく振り下ろすと、氷華ひょうか界で見た氷の刃がビュンと風を切り人間の手を砕く。

つむぎ!」
「ああ!」

 銀華が砕いたものを、紬の焔刃えんじんで蒸発させる。それを繰り返していくうちにコツを掴んだのか、紬と銀華のコンビネーションで指先まですべて蒸発していった。

 凍り付いていた部室も、紬の炎ですっかりと溶け、ぽたりぽたりと水滴が落ち、その水滴さえも蒸発していく。

 最後に、手のひらの眼を紬が焔刃で貫く。黒板の血文字はどんどんと薄れていき、最後には『コンドコソ』とつづられていた。それを見ていたのは、佑心うみだけだった。

 どす黒い血でできた人間の手が消えた瞬間、校舎全体を揺らすような大きな音がして、ガラガラと崩れるような衝撃が架瑠かけるたちを襲う。

 パァッとまばゆい光が全員を包み込み――架瑠はその光の中に、懐かしさを覚える人影をた――気が付いたら、現実に帰還していた。

 辺りを見渡すとすでに日は落ち、真っ暗だった。茉莉まつりが慌てて時刻を確認すると、午後の八時。見回りにきた教師に「まだ残っていたのか!?」と呆れられてしまったが、無事に帰ってきたことを実感して、全員その場に座り込む。

「お、おい、どうした? お前たち……」

 心配そうな教師の声を聞きながら、ハッとしたように紬に顔を向ける。彼の姿はあの鬼の姿ではなく、いつもの姿に戻っていた。

 そして、銀華と狐のような生き物の姿はなく、彼女たちはいったいどこに? と辺りを見渡す。

「もう遅いから、気をつけて帰るように」

 教師の言葉に全員が「はい」と返事をし、のろのろとした動きで自分たちの荷物を手にして、学校をあとにする。校門前には、なぎが待っていて、紬の姿を見ると恭しく頭を下げた。

「ご覚醒、おめでとうございます、紬さま」
「……気付いたのか?」
「はい。屋敷の者たちも喜んでおります。離れた場所にいても、紬さまの眷属である我々にはすぐにわかりました」

 顔を上げてにこやかな笑顔を見せる凪に、紬は肩をすくめて架瑠たちを振り返る。

「遅い時間だから、乗っていけ。いいよな?」
「もちろんでございます、紬さま」
「では、お言葉に甘えることにしよう。もうくたくただ」

 佑心が率先して車に乗り込んだ。それに続くように、茉莉も乗り込む。

 架瑠が迷っていると、ぽんと彼の背中を押し、乗るようにうながす。

 紬に視線を向けると、彼は早く乗れ、とばかりに顎を動かした。
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